「タイトルなし(ネタバレ)」夕霧花園 LSさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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第二次大戦での日本軍のマラヤ(マレー半島)占領や戦後のマラヤ共産党武装蜂起(非常事態)を背景に、悲惨な体験をした華人女性が、現地に残留した日本人庭師と過ごした日々を追想する。
日本軍の蛮行とストイックでミステリアスな庭師の対比で、戦争の理不尽さと愛の深さを示すシリアスなストーリー、と思っていたら、(ここからネタバレ)実はすべての伏線が、山下将軍の秘宝をめぐる謀略と争いに収斂するのであった。この落差に、何とも気持ちのもって行きようがなくモヤる(自分の山下財宝のイメージがしごくエンタメ寄りであるからか)。
映像は端正で、舞台であるキャメロン・ハイランドや密林の緑が気持ちいい。主演俳優リー・シンジエ(宮崎あおいを彷彿)が教養ある芯の強い女性を好演。阿部寛は英語の演技でも阿部寛らしい(ほめてる)。
ちなみにマラヤ非常事態をめぐる映画は昔「第七の暁」(1964英、丹波哲郎が出演)を観たが、それもこの映画も、マレーシアにおける英国人の独特な存在が描かれていて興味深い。
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