「家族の愛の物語」ミナリ M hobbyさんの映画レビュー(感想・評価)
家族の愛の物語
アカデミー賞最有力候補!
と謳われていたので、公開前から楽しみにしており、なかなか鑑賞出来ぬ間に、本作のキーパーソンであるおばあちゃを役を演じた、ユン・ヨジョンさんがアカデミー賞で助演女優賞を受賞。授賞式のスピーチを英語でペラペラと話す姿を見て、新たなヨジョンさんの魅力を知りました。
スピーチでは、ブラックジョークのような事も言いながら、彼女の女優、母親、女性、映画に携わる者としての心構えや意志の強さを感じることができました。
個人的に韓国人俳優は世界一演技が上手いんじゃないかと思うくらい大好きなので、今回の受賞で昨年のパラサイトに続き韓国が注目されることを嬉しく思います。
ヨジョンさんが言った、American hospitalityであったかもしれない今回の受賞ですが、それであったとしても注目される事に大きな意味があると感じました。
さてさて本題へ。
本作をアカデミー賞最有力候補として鑑賞してしまい、過度の期待を込めてしまったのは正直やっちまったな。でした。
純粋に余計な情報なしに鑑賞した方が、ずっと楽しめただろうに、、、
ただし、面白くないわけでは決してなく。
どうしてこの作品がこれほどまでに注目され、話題になったかと考えると、移民や多文化国家であるアメリカが舞台になっているからなんだなと。
私自身、農家を生業にする家に生まれたわけでもなければ、開拓者でもなく、移民の経験もないし。なんせ共通点がなく感じたのです。
ある移民家族の生き方を淡々と見せて、紆余曲折しながらも、年長者である祖母が離れそうな家族を結びつける。夫婦の喧嘩はド派手やし、一家の大黒柱である父ちゃんは、妻と多分十分な話をせずに、父親のプライドだけで夢を追いかける少々困った父ちゃんで、病気の息子を心配するあまり子供を逆に不安にさせるようなことを言っちゃうママ。まだ小学生であろう姉の、物分かりの良さなどいろいろある中で、素直な悪ガキに育っている末息子デイビッドが非常に可愛く描かれている。
おばあちゃんはおばあちゃんらしくない。
と孫たちに言われるけれど、おばあちゃんはちゃんとおばあちゃんしか出来ないであろうことをやっています。
娘のことを思い移住してきてくれて、娘を元気付けられる食材を持ってきてくれる。知恵のあるおばあちゃんは自然とどう過ごせば健やかに生きられるか、どこにどんなものが適していて、危険があるかなど。
孫を褒めたり、勇気づけるときは一生懸命。
人生にユーモラスが必要であることも教えてくれます。
そんなおばあちゃんが侵してしまった事故は、結果的には家族の成長と絆にとってはとても重要な役割を果たす。
本作品のインタビューを見ると、主演のスティーブンは、「どの家族にも共感できる部分がある」と話し、妻モニカ役のハン・イェリは「家族の愛の物語です」と言っていました。
ミナリ(芹)のように、雑草のようにどこでも根をはって力強く生きていく家族を描いた本作。
美しく広大なアメリカ大地の風景と、その中で一家が寄り添って雑魚寝する姿を1人じっと見つめるおばあちゃんのラストシーンが印象的でした。