劇場公開日 2021年3月19日

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「期待値を上げ過ぎずにタイトルの意味を踏まえながら見ると、見え方が変わる秀作。」ミナリ 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0期待値を上げ過ぎずにタイトルの意味を踏まえながら見ると、見え方が変わる秀作。

2021年3月19日
PCから投稿

本作は、本年度アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞、作曲賞の6部門にノミネートされました。
正直この結果には、2つの驚きがありました。
まずは、舞台はアメリカでも言語はほとんど韓国語なので、ゴールデングローブ賞のように「国際長編映画賞」(外国語映画賞)が対象かと思っていましたが、そこにはノミネートされなかった点。
そして、主要な6部門でのノミネートとなった点です。

この映画は、「期待値を上げ過ぎると、アレ?」となる可能性は低くないと思います。
なぜなら、そこまで大きな事件も起こりませんし、基本「家族の日常」を描いているだけなので。
そのため、「アカデミー賞主要6部門ノミネート」ということで期待値を上げないことが大事です。
作風としては、小津安二郎監督作品に近いと思います。
今で言うと、その流れをくむ山田洋次監督、是枝裕和監督作品といったところでしょうか。
本作は、韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン監督が、半自伝的な映画として脚本も書いています。
1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国から移住した一家が農業で成功するという、アメリカン・ドリームを掲げつつ、丹念にその家族の様が描かれています。
アカデミー賞のノミネートで納得なのは、やはり祖母役のユン・ヨジョンの助演女優賞でしょうか。
「おばあちゃんらしからぬおばあちゃん」を見事に演じ切っていました。
さて、本作を楽しむカギは、やはりタイトルになっている「ミナリ」でしょう。
「ミナリ」は韓国語で、日本では「セリ(芹)」と呼ばれる香味野菜のことです。
このセリは、日本でも普通に栽培されていますし、雑草の如く、たくましく地に根を張り育っています。このセリが、どういう風に作品と関わっていくのかに注目するとメッセージ性がより伝わりやすくなると思います。

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細野真宏