劇場公開日 2021年3月26日

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「やや難はあるが、正統的なサイエンス映画。」テスラ エジソンが恐れた天才 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0やや難はあるが、正統的なサイエンス映画。

2021年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年53本目(合計119本目)。(ガルパン第3章も見ましたが、このレビューをしてもあまり意味はないと思うので飛ばしてます)

去年(2020年)公開された「エジソンズ・ゲーム」を反対側のテスラから描いた作品です。実質同じ内容なので、電気学会などからの後援もなかったようですが(まぁ、予算の都合もありますし)、内容的にはほぼ同一といっていい内容です。

ストーリーの進め方が教育番組的(Eテレ/NHK教育)という印象は確かに持ちました。ちょっとみないタイプですが、何か意図があったのかなと思う一方、理解を妨げるほどではありません。

とはいえ、「エジソンズ・ゲーム」と同等レベルの物理(電磁気学)の知識がないと厳しく、最低でも中学理科、欲を言えば大学理学部教養レベル、中間点で言えば高校物理・高専・工学系高校程度の知識がないと序盤から専門用語がバリバリ飛んでくるので、何を言っているのか全く不明な状況は結構続きます(エジソンズ・ゲームと違い、上述通り「教育番組」的な作りになっているので、サイエンス的な話題は結構多い)。
映画は違いますが、「エジソンズ・ゲーム」のパンフレットやサイト等があれば、そちらで最低限の予習をしておくのをお勧めします。

さて、個人的に気になった点。
このお話は今から150年ほどの前のアメリカのお話ですが、1880年ごろといえば、もう現代とは言わないにしろ近現代とは言えます。当時はアメリカでも電気椅子処刑が行われていたのですが、交流・直流のどちらが良いかの論争にエジソン・テスラ陣営もかかわっていて、自分の考え方(直流/交流)のほうが良いと強力に推した一方、「加害者の最低限の人権」も考慮されなかった(このころはまだそういう意識が少なかった)ため、無茶苦茶な処刑になってしまっています(映画参照)。
これは現在では、注射による薬物処刑でも医師の立ち合いを必要とするところ、「医師は人の命を救うのが使命で、死刑囚のそれに立ち会うのは倫理にもとる」と州の(アメリカでは州ごとに処刑方法が違ったり選択できたりする)すべての医師が拒絶したためにできなくなったりと、今では「科学者(医学や工学も、広い意味では科学者ですね)は学問を追求するもので、野蛮な行為に手を貸すものではない」という考え方が普通です(学問と現実との分離)。ところが、150年とはいえ近現代といえる当時、そのような議論は全くなされておらず、むしろ直流/交流の争いに科学者が「積極的に」参加して死刑執行といったある意味「厳かな行為」に「安易に」手を貸していた、というのは驚きです(それは、どちらの陣営のサイドから見ても)。

 ※ もちろんこれは「加害者の人権も厚く保護しろ」という主張ではなく、上述通り「科学者なるものが、人体実験に積極的に関与していた」という、科学/工学(医学)の在り方以前に、倫理的にどうか」という指摘にとどまります。

 エンディング直前に電気椅子が20秒間ほど描写されるのも、その(暗黙の)映画作者からの批判なのかな…とも思いました(真相は不明)。

 採点は下記ですが、大きな傷とはいいがたいので、5.0まで切り上げています。

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 (減点0.2) 実際、出てくる語が非常にマニアックです。理系の方には楽しい映画だと思いますが、説明がほとんどないので(字幕含め)、物理(電磁気学)が苦手という方や、文系の方だとかなりきついのではないか…と思える描写・字幕は結構あります(中には、何を言っているのか辛うじてわかる程度のところさえあります)。

 このあたり、サイエンス映画は多くの人が見ますので、意味を変えたりしない程度に説明が加わっていれば…と思ったところです(序盤から量・レベルで押してくるので、チンプンカンプンな人も結構出てきそう)。

 ※ 中学理科程度の電磁気学の知識を前日に予習している程度でもだいぶ違います。
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yukispica