劇場公開日 2022年10月14日

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「『実際の悲劇に基づく寓話』」スペンサー ダイアナの決意 yukarinさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0『実際の悲劇に基づく寓話』

2022年10月24日
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鑑賞方法:映画館

冒頭にそう出てくる本作

始まってすぐ車をひとり走らせるダイアナが出てくる
護衛もなく、こんなことが許されたとは思えないことは、そっと気づかない振りをする
これ、ラストも、同じことを感じることになる

口を開くダイアナ演じるクリステンスチュワートのブリティッシュイングリッシュと、ダイアナっぽさに驚く
すこーし、ブリティッシュイングリッシュには違和感があるものの、さすが役者だなと思わさせる

場面が変わり、恐らくはアン王女が、なにやらガチャガチャいわせながら、イスに座る
どうやら体重をはかるらしい
なんだ?そのしきたりは?と思わさせられたけど、クリスマスを楽しんで帰りに体重を増やせということらしい

さらに場面は変わり、道に横たわる鳥を映しながら、向こうから来る数台の車が、鳥ぎりぎりを駆け抜けていく
この鳥、後々意味がわかる

そんな形で始まる物語

少し前に観たドキュメンタリーでも思ったけれど
以前は、ダイアナが100%被害者だと思っていた
いや、被害者だけど
でも、今は、映画やドラマで、王室側の視点も見て、私も十分に大人になり、どう考えてもそれはダイアナが被害者だと思う始まりはさておき、この結婚を悲劇にしてしまったのは、決して彼らだけのせいではない気がしてきていた
ダイアナは、正直この複雑な結婚と人生と役割には、幼すぎた気すらした
さらに、成長とともに、彼女は子供たち以外の全てを拒絶したようにも見えた
自らが自らを傷つけるような生き方
本作はそれがさらに色濃くなるようだった
王室の一員になるのであれば、恐らくは従わざるを得ないいくつかのルール(女王より先に動いていなくてはいけない等)すら無視をする
個人的に、やることやらずに文句だけ言うのはない、と思ってるので、ちょっと共感しにくかった

ただ、だからこそ、この後の選択をしたことが、本当によかったと思う
あのままじゃどんどん自分を傷つけて、恐らく壊れてしまっただろうから
離婚してもなお持ち続けたPrincess of Wales(皇太子妃)の称号、カミラが再婚後も名乗れなかったその称号
彼女に残った強さ、おそらくギリギリのところで失わずにすんだ強さ、そういったものが見えた気がした

yukarin