「あらゆる陰に潜み…」アウシュヴィッツ・レポート MARさんの映画レビュー(感想・評価)
あらゆる陰に潜み…
アウシュヴィッツの収容所にて、記録係として活動していたスロバキアのユダヤ人が脱出し、収容所の真実を伝えるために奔走する物語。
本作は、スリリングな脱走劇と言うよりも、収容所の残忍さ、真実を伝えることの難しさ、そして何よりこの悲劇を繰り返さない為の警鐘をならすことがメインテーマでしょうか。
家族や仲間を利用して吐かせようとするやり方、互いを監視させるようなやり方には改めて怒りがこみ上げます。それでも秘密を守ろうと闘った人たちがいたんですね。
物語自体は説明があまりないので、じっくりみないと、その都度何をしているのかが理解しづらいかも。
赤十字の有力者との会話シーンは印象的。ナチス赤十字のお蔭で…抑えられている…って、状況や団体は違えど2020年にも凄く似たような話を聞いたような気がするんだけど…何か、かなり愕然とさせられた。
それと同時に、命がけのレポート内容を伝えるこのシーンは独特の緊張感と迫力があったように感じます。ワンカット撮影の良さもガンガンに出ていましたね。この勇気ある行動が、12万人のハンガリーの人々を救ったという事実を忘れてはなりませんね。
そしてエンドクレジット。この悲劇から戦後世界がどのように変わったのか、或いは変わっていないのか、改めて考えるきっかけになればと思います。
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こころさんのコメント
2021年8月2日
MARさん
コメントへの返信有難うございます。
恐ろしい映像でした。
彼らの震える身体、瞳から伝う涙、ホロコースト関連の映画やEテレ番組を幾つか観ていますが、この作品から、よりリアルな恐怖を感じました。
多くの人に観て貰いたい作品です。