ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実のレビュー・感想・評価
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ベトナム戦争の悲劇
徴兵制で多くの若者が犠牲になり大儀無き戦争と反戦運動が高まり、米兵の虐殺行為の報道などでベトナム戦争、帰還兵への差別、冒涜は映画ランボーでも描かれたように酷かったらしい、本作でもPTSDに悩む帰還兵たちが多く登場する。
脚本・監督のトッド・ロビンソンが実在の米空軍のレスキュー隊員ウィリアム・H・ピッツェンバーガーの英雄的功績を知り映画化を試みたが50社以上に断られ実現までに18年を要したそうだ、事程左様にベトナム戦争の悪夢には触れたくないというのがアメリカ人の本音なのでしょう。ピッツェンバーガーの名誉勲章の再申請を巡り隠された軍部のマル秘作戦を暴くミステリー調なプロットですが映画の殆どは元軍人や家族へのインタビューでした、ロビンソン監督は、長年のベトナム戦争の軍人への屈辱を払拭したかったのでしょう。
ラストに…
名演説、沸き起こる感動、エンドロールの本人たちのコメントで更なる深み、地味ですが良い映画だった。ピッツェンバーガーに助けられて、自分が生き残ってしまったことへの恥じらいや怒り、後悔など様々な思いがようやく晴れた、魂が洗われたという見事な演出だった。豪華な俳優陣の名演は言わずもがな。ハフマンの心の移り変わりが早い気もしたし、途中スピリチュアルな部分もあったがラストに心奪われた。30年経っても、それに応えるアメリカの偉大さ、それが映画になるというのも羨ましいと思ってしまう。
(名誉勲章は)仲間の存在を尊く思う者に与えられる
映画「ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実」
(トッド・ロビンソン監督)から。
冒頭「実話を脚色」とのキャプションが目に止まり、
「ベトナム戦争で多くの兵士の命を救った実在の米空軍兵
ウィリアム・H・ピッツェンバーガーの
知られざる真実を描いた社会派ドラマ」と知った。
戦地で彼に命を救われた陸軍兵が中心となって、
30年以上も請願されてきた名誉勲章授与をめぐって、
物語は展開される。
冒頭に「名誉勲章は勇気を称える最高の勲章だ。
将軍も自分の地位と引き換えに欲しがる。
なぜそうまでして欲しがるかわかるか?」「わかりません」
「そこから勉強始めろ」と言われるシーンがあり、
ラストに「地位より名誉勲章を選ぶ理由がわかったろ。
「地位では得られない至高の勲章だから。
仲間の存在を尊く思う者に与えられる」と結ぶシーン。
この間に語られるベトナム戦争帰還兵の葛藤なども含め、
「戦争」について、とても考えさせられる作品となった。
地位でもお金でも手に入らない「名誉勲章」を、
多くの仲間が「どうしても、あいつに授けたい」と動く、
本人は、ベトナム戦争の現地で命を落としたにも関わらず。
映画「ハクソー・リッジ」(メル・ギブソン監督)と同様、
守るのは、家族より戦場の仲間たち、
ここが、アメリカの戦争映画らしさだな。
感動すると分かってて感動して泣きました
レビュー見て、感動する作品なんだと予備知識があったのにそれでも泣きました!
最後、いつの間にかスタンディングオベーションになるところがもう。。
どなたか、立とうとした人がいた、という書き込みの意味が分かりました。。!(涙)
何度も鬼滅の刃見たので例えてすみません、「俺は俺の責務を全うする!」と言ったリアル煉獄さんが存在したんだ。。!!!と感動しました。
途中まででも仕事はちゃんと果たしていたし、逃げられるタイミングで上司が戻れと命令してくれたんだから、あそこで帰還しても良かったのに、帰れたのにあの場から正当に離れることが出来たのに、負傷してた仲間を見捨てられなかった、でもそれはこうして後世に語り継いでくれる人がいなければ、
それを検証して公表し、名誉を授与する人がいなければ他の人達には分からない。
彼のことも、彼の功績のために奔走した人達も凄いと思いました。
概ね泣ける話だと知っていて、感動する話らしいと知っていてなお本当に泣いてしまった映画は久しぶりでした。上映館が少なめのようですが、これは多くの劇場で上映し、多くの人に見てもらいたいと心から願う作品でした。
マニアックな作品だがアメリカの良さが詰まった作品
ベトナム戦争時に戦死した1人の戦士の勲章授与までの道のりを描いた作品。
作品の舞台は1999年。国防省で働く主人公のハフマンは30年前に戦死したウィリアム兵士の調査を任される。そこには当時同じ戦場で共にした仲間達が30年間もウィリアムに勲章を与えるべきだと政府に働きかけていた。
当初は今更与えても意味がないと考え、やる気がなかったハフマンだったが、ウィリアムに助けられた仲間、そして家族、恋人等から当時の話を聞いていくうちに心が変わり、授与を成し遂げる為に政府に立ち向かい最後は成し遂げるストーリーである。
ウィリアムは空軍所属の衛生兵であった。戦場は敵に囲まれ圧倒的に不利な状況であり、上官は戦場で負傷した兵士を助けに行くことを止めた。しかしウィリアムは死ぬ事を承知の上で彼は戦場に行き負傷した兵士達を助け何人もの命を救った。その救われた者たちが勲章授与を30年も働きかけてるわけだ。
この作品は主に生存者達の会話で進む。その為少し聞き逃したり理解できないところがあると少し苦しむかもしれない。
個人的にこの作品の好きなところは故人を何十年経っても偲ぶアメリカらしいところだ。
そらに合わせて心に沁みる言葉が何度も発せられる。
最後のハフマンの息子を前にして「意味がなかった事はないだろ」と放ったシーンは特に好きである。
哲学チックな会話シーンも多々ありそういうのが好みな僕は楽しむ事ができた。
ベトナム戦争から50年近く、そしてこの作品の舞台から20年経った今でもこうやって作品化し故人を偲ぶのはアメリカらしくとても美しい作品である。
エンドロールではこの作品のモデルとなった人達のインタビュー映像とウィリアムのような職の兵士には中々評価されていない状況が紹介される。ぜひ最後まで見て欲しいものだ。
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