劇場公開日 2021年9月3日

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「今週(9月3日)の本命筋になることは否めないものの、誤った情報も…」科捜研の女 劇場版 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今週(9月3日)の本命筋になることは否めないものの、誤った情報も…

2021年9月4日
PCから投稿

今年116本目(合計180本目)。
なんばパークスシネマさん、良いですよね。今日は4本連続でみました。なんばパークスシネマさんの「味付けポテト」(バーベキュー味)、すごくおいしいのでお勧めです。

 さて、そんな話はともかく。
この映画、そもそももとのドラマが毎週(?)放送されていて、その映画版という位置づけのようです。私は大阪市在住でテレビには恵まれているほうですが(東京系のサンテレビも、大阪市では事実上放送区域になっている)、このシリーズを見たのは初めてです。

ネタバレなしで書いていますが、ありにしようがなしにしようが、この手の映画は「ネタバレ」をするとそれまでで、しかも「本当に表示しますか?」でクリックするとそれまで(二重、三重のチェックはしてくれない…)という事情もあり、いくらネタバレあり設定にしても「間違って押してしまう」類型はあって、それでスポイル(無駄になる)というのは良くないので、意図的に「ネタバレなし」にして、内容にも大きく触れません。

物語の内容としては、ある奇怪な事件に対して科捜研が追い詰めていくという趣旨のお話。特集で書いてある程度ですね…。もっとも、わかりやすいように(あるいは、最初に「犯人はこの人です」と視聴者に公開して、「さて、主人公たちはどうやって追い詰めるでしょう?」という類型のパターンもあるそう)、開始30分程度で「この人が怪しいなぁ」というのはおおよそ判断がつき(大学レベルの理学部の教養程度でも何ら問題なし)、一方で「じゃ、無理やり微罪逮捕して取り調べて逮捕しました」だと40分で終わっちゃうので、そんな展開にはなっておらず、「どうやって相手が言い逃れできないほど証拠をかき集めていくか」、そういう展開になっています。

映画の性質上、医学薬学、看護系(それらの学生さんも含む)の知識があると「圧倒的に」有利なのかな…とも思えますが(???(リアルで働いている方は、一発でわかるんでしょうか…)、なくても困らない範囲です。
ただ、そこまでは言わないにせよ、高校生物程度・化学(ばけがく)程度の知識は普通に出るので、「理科はもう触れるのも嫌」なくらいだと、ちょっと厳しいかなという感じです。

 ※ 高校程度の物理はあると有利(ごくごく一部、それを前提にした内容が出る)。高校地学(地層、台風、天文など)は一切不要。

特に評価に際して気になる点はないものの、下記がやはり明確に気になりました。
なお、私自身は製薬業界の統計解析の経験が8年ほどあります。

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 (減点0.2) 医学薬学においては、「追試」という概念がとても大切です。つまり、ある人が何かの発表をしたとき、その実験条件を全て公開することで他の科学者も確認できるようにして「その実験結果が正しい」ということをオープンにする、という考え方です(この考え方でモメたのが数年前のリアルな某トラブル。例の「●●細胞はあります!」事件)。

 ただ、そういう部分の描写が乏しい上、これらの内容は一切でないので、「病気の治療法や画期的な薬の開発」に関して(ネタバレなしなので、範囲をあえて広めに書いています)、現在スタンダードに取られているやり方と異なる描写がされており、もっとも、多くの方にとっては、「実際に飲む薬は気になるが、その開発研究には余り興味がない」のかもしれませんが(それこそ、製薬業界くらいでないと扱わない話)、逆に言えば医学薬学に限らず、「数学以外の理学の学問」は、「検証可能性」が重要なのであり(数学も、ある問題に対する証明を発表したら、その証明が正しいかどうかは、査読という制度があります)、その部分が抜け落ちているため、理学全般(ここでは、便宜上、医学薬学、看護学なども含む)に関して間違った知識が生まれないか…という点は、正直すごく気になりました。
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yukispica