シルヴィ 恋のメロディのレビュー・感想・評価
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古き良き時代のラブストーリー
50年代の雰囲気にジャズが楽しみで鑑賞。
観終えてまず思ったことは、本作は悪人がいなかったということ。みんな好い人だったから、良いも悪いも安心して鑑賞することができた。本来悪役にまわりがちなフィアンセも、実はめちゃめちゃ善人で「君に愛されたかっただけだ」の台詞は、観ている私までもが彼に対し申し訳なく思ったほど。
そんな流れだけに、全然つまらなかった訳ではないが、全体を通して刺激が少なく少々大人し過ぎる印象。
とは言え、この時代の雰囲気はすごく魅力的ゆえ、どんなストーリーも良く映える。
黒人カップルのラ・ラ・ランド風メロドラマ
ラ・ラ・ランドもジャズの絡んだロマンティックなメロドラマでしたが本作も似たような切なさのティストを孕んでいます。ただ、本作では悲恋で終わらせず見事にリブート、どちらが良いか、甲乙つけ難い。
メロドラマの見どころと言えばすれ違いなど気を揉ませるプロットですが、まあ、よく考えたものです。登場人物はほとんど黒人、1960年代といえばまだ差別や弾圧が厳しかった頃なのに珍しく本作では直接的には触れませんし、夢もそれなりに叶います。
戦争や不運な事故で運命が変るのではなくそれぞれの意思でもつれる糸、時代を絡めた社会派ドラマではなく只管、二人の恋の行く末を描くことに徹している純粋なメロドラマという印象でした。
人生には様々な選択肢、岐路がありますし、選んだ理由も人それぞれ、自分ならどうするか悩みますし主人公たちの選択どおりでは無いものの理解できる自分が不思議です。
2時間近い長丁場、もどかしさにやきもきするものの、ふんだんに挿入されるロマンティックな名曲の数々で癒されるので退屈せずに済みました。
映画のクレジットに「For Diahann,Nancy and Doris」と出ます、これは、60年前のこの種の映画のスターであったダイアンキャロル、ナンシーウィルソン、ドリスデイへのオマージュということらしい。
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