恋する遊園地のレビュー・感想・評価
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病気なのか、理解すべき恋愛の一つなのか
主人公のジャンヌは遊園地のスタッフとして働く。その遊園地内の一つのアトラクションに恋をしジャンボと名づける。
この恋というのは人間同士が恋愛するのと同じでジャンヌにとってジャンボは恋愛対象であり性的な興奮も覚えている。
彼女の母親、同じ遊園地で働く同僚はそれを病気だと非難否定する。
物に対して人よりも愛着心が湧く、抱く自分ではあるが流石に恋愛感情まで生まれる経験は全くない為驚かさせられた。
当初はもちろん僕もジャンヌを病的な存在として見ていたのだが、この作品の面白いところはストーリーが進むにつれてジャンヌのこの恋愛を理解したくなり、最後は一定のところまでは理解している気持ちに変わっている自分がいた。
この変化はジャンヌの母親も同じだった。当初は病気だとジャンヌを強く非難否定していた。時には武力行使にもでた。ただそこには不快感は覚えない。母親であれば心配からくるこれらの言動行動は十分に理解できる。
もちろん最後もジャンヌの気持ちの全てを理解する事は僕もそしてジャンヌの母親もできていないだろう。最後の結婚式でも母親とジャンヌの表現の違いは多々あった。
この変化はなぜ起きるのか。ジャンヌ役の女優さんの迫真の演技によりジャンヌの思いが本気である事が伝わるからであろう。
やはり人は本気である相手に対して非難否定はしづらくなり、そこから少しでも理解しようとする気持ちに変わるのはよくある事だ。この作品でいえばジャンヌの姿もまた同じ事がいえる。
ただ全ては理解できていないのも事実の一つ。冒頭の時と鑑賞後ではもちろんジャンヌへの理解は全く違うものとなったが、やはりジャンヌの生活環境は特殊である。
父親はおらず、一緒に過ごす母親は男を取っ替え引っ替えしている生活を送っている。
その様な特殊な環境下で育ってしまうとやはり拗らせてしまう例も沢山あるのも事実だ。
ジャンヌの感情が拗らせた故の生まれた感情とまでは言えないが、その辺りの背景も見てしまってる以上ジャンヌの気持ちを全てを理解したとは残念ながら言える事はできなかった。
LGBTは立派な恋愛の一つだ、認め合う社会にしようと世界が目指している時代の中さらに先をゆく物への恋愛感情を理解しようというのはまだ時代が追いつけないのではないか。
ただこの作品でも描かれていたように、人に迷惑をかけないのであれば人と違う事を頭ごなしに非難否定するのではなく、相手の気持ちをこちらも真剣に聞き少しでも理解しようとする姿勢は大切なのだろう。
それはおとぎ話を信じてる人や、幽霊などを見える信じる人と根本は変わらないのかもしれない。
この作品の様に自分の感情や考え方が最初と最後で変わるのはとても興味深く、そして貴重な時間を過ごせた。
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