竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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サマーウォーズとの対比で見ました
冒頭からサマーウォーズを思わせる作りで、これは意図的な物でしょう。サマーウォーズで語り足りなかったのか、あるいは反省があったのか・・・。そして、そうであればOzを再利用しても良さそうだが、そうしなかったのは決定的に違う点があるため。それは生体データからアバター(アズ)が自動生成されるという点で、Cパートのアンベイルされることの重大さにも繋がってくる。竜、というのは、時々ネットに湧いてくる、困ったちゃん、という所でしょうか。
インターネットには負の側面も色々あるが、それに対する希望がテーマかと思う。単なる画面の向こうで頑張れと言うだけで無く、実際の行動に繋がってくれれば、という事かと思われる。ラスボスが前作のAIから、ネット上の人格では無い大人の男になった点も象徴的。実際の脅威は現実世界にある。
全体的印象としては、やはりさわやかに纏める手腕はさすが。豪華絢爛な画面作りや、音楽の素晴らしさも言うまでも無いこと。
少し、気になった点。東京に行く際、なぜ、彼女1人を行かせた。リアルに危険な相手なのだから、ここは大人を含め複数人で行くべきで、現地で手分けしようと単独行動になった際に遭遇した事にしても良かった。おとーさんとしては心配でした。
ツッコみどころは多いが悪くはない
細かい所を突けばいくらでもボロは出るがアンベールしたすずが歌い上げる後半の山場、ラストのオチは説得力あったよ。
途中、竜の正体はしのぶ君じゃないかと危惧したがそうではなかったのは良かった。ウン十億のアカウントが集まる巨大仮想空間なのに重要人物がみんな仁淀川に集まってるなんてのは白けるからね。まぁ相手が武蔵小杉にいるってのもご都合主義な気はするが、赤の他人が正体というのはネット時代らしいオチで良い。
個人的にはペギー・スーはもっと使い所あったんではないかなぁ、と。ジャスティンとかいう『タイバニ』を腐らせたような連中が敵役というのは物足りない。
中盤のウォーゲームをモチーフにした演出は正直シラけた。あそこ削って竜の物語掘り下げたらもうちょっと結末に説得力を与えられたんではないかなぁと。
悪い点ばかり上げちゃったけどU世界の演出や音響は素晴らしい。カンヌが総立ちというのも偏に後半の歌のシーンのおかげだろう。中村佳穂さんの歌の説得力で細かい問題点は吹き飛ばされた印象。
見どころはなんと行っても歌とCGなのでIMAXとかで見るのをオススメします。
映像や音楽には満足も…
細田守監督の作品はもともと大好きなので、作画や映像美に関しては言うことありませんでした。
キャラクターデザインも好みは分かれそうではありますが、いままでの細田作品が嫌いじゃなければ特には気にならないと思います。
ストーリーの展開も、ネット世界が現実に繋がっていくことでハラハラさせられますが、そこはアニメ作品ならではのリアルさとファンタジー感が混在していて、エンターテイメントとして楽しむことはできました。
母親が行ってしまうことを泣きながら引き止める幼少期の主人公の姿。主人公がどこの誰かもわからない人のために一生懸命になっていることに気づくシーン。父親が主人公に向けたメールの場面では涙が出てしまいそうになりました。親世代の方々はうるっと来てしまうのではないでしょうか。
しかし、匿名アカウントが現実の誰なのか、田舎の女子高生でもネットを駆使すれば特定一歩手前までいけるような世の中で、現実の姿を明かすということの危険さについてはもう少し目を向けたほうがいいのかなと思ってしまいました。全世界に素顔が公開されて、その後は安全に暮らせる訳がないという、心配になる気持ちがかなり大きく残りました。世界的に大人気のVチューバーがいきなり顔出ししたようなものですよね。
作中でネットの怖さのようなものを描いていながらも、終盤での行動は正義のためとはいえ、さすがに危機感に欠けすぎではないかとどうしても感じてしまいます。
実際に映画館で観ているときには先の展開にハラハラしつつも、音楽の素晴らしさなどに感激して、ハッピーエンドになったとこに安心をしましたが、やはり心のどこかではその後の主人公の身を案じる気持ちが残ってしまいます。
まあ、ファンタジーなので大丈夫なのですが…
エンドロールで主題歌の作詞作曲がKingGnuの常田さんであったことには驚きました。多才ですねぇ。
見終わった後の満足度は高いですし、円盤化したら購入してゆっくり観たい気持ちもありますが、やはり上記の心配といいますか、そういう気持ちが残ってしまったので⭐︎4です。
2時間じゃ足りない?
正直、各キャラの背景が薄いので、特にだけど龍が誰なんだろ?という興味があまり沸かない
そして50億人から1人を探さなきゃ!ってシーンも尺の都合なのか、すぐ見つかる
その見つけた龍に会うために東京に向かい、これも尺の都合なのかすぐ見つかる笑
カヌーと吹奏楽の告白シーンに5分くらいかけるなら、龍を探すシーンを5分増やして欲しい
全体的に薄っぺらいし、盛り上がりに欠けるんよね
ただ作中で使用されてる歌に関しては物凄く濃厚
むしろPVみたいな感じなので、ストーリー3で、PV5の評価で中間の4
結果として満足なんだけど、中身がうーんって感じ
細田守として見ちゃいけないと思う
ミニマルな世界の自己再生のはなし
先日、みんな大好き(僕も好き)『サマーウォーズ』が金曜ロードショーで公開されてて、久々に視聴しました。ババアのコネと数学の才能とおばあちゃん譲りの花札で世界を救う映画で一番ドラマとして心に残ったのは侘助おじさんの葛藤でした。愛に飢えた少年のまま成長したラブマシーンa.k.a侘助は『サマーウォーズ』では誰に手を差し伸べられるわけでもなく、彼自身の歩み寄りで家族という集団に取り込まれていきました。
そこから12年。改めてインターネットの世界を描いた本作では、世界の存亡など関係なく、コミュニケーションを巡るミニマルな物語に終始していたのがよかったです。
主人公すずは幼い頃に母を亡くしたトラウマから歌うことができず自分の殻に閉じこもっている少女。作品全体を通してすずの視点で物語は進んでいきます。そこではお父さんとの不全な会話や、親友との気の置けない会話、ネットリンチ、「応援する」、嫉妬する/嫉妬される、「好き」、根拠のない憶測・・・などなど、様々なコミュニケーションが図られます。ここの肝は出てくる多くのキャラクターが描き込みが足りない、「他者」として現出することにあると考えます。私のことを気にかけるイケメン幼馴染、タイミングのいい相談を持ちかけてくる美人ブラスバンドリーダー、素っ気ない会話をやり取りする父親、彼ら彼女らはその裏で何を考えていたのかは想像や憶測に頼ることになり、物語が進むにつれてそれらは次第に明かされます。現実の人間関係と同じく他者というのは理解するのが難しいです。それは翻って、周りに心を閉ざすすずも周囲の人から見たら理解しづらい他者だと容易に想像がつきます。この周囲の人たちとの繋がりを横軸に、「自分を見捨てて」他者を助けにいった母との葛藤が縦軸として存在し、その延長としての竜への関心が物語を引っ張ります。
クライマックスのライブシーン、これまで他者の心配に対して「何でもない」と心を開かなかった少女は信頼を勝ち取るため竜に対して、そのものズバリな自己開示を以って応えます。同時にここは(歌うという)コミュニケーションをネットでしか行えなかった彼女が、現実の世界でのコミュニケーションに向かい合うというシーンでもあり、大変エモーションを刺激します。(但し、それを誘導するしのぶくんの強引さには抵抗を感じます。責任とれんのかテメエ。)
ここからは覚醒したすずぼんのコミュニケーション攻撃のつるべうち。まずはお父ちゃんとしっかり向かい合います。(個人的にここが一番催涙効果高かった)そして幼い竜の兄弟と雨の中道路でばったり遭遇し、石黒賢と対決します。ここではっきり石黒賢を見つめるすずの瞳を見ていると、中盤ジャスティンとの対話の中で言っていた「あなたは人を抑えつけようとしているだけ(うろ覚え)」というセリフが思い起こされます。強くなったね、すず。
ここで雨に打たれている兄弟は親からの愛を十分に享受できなかったラブマシーン2号3号であり、社会からこぼれ落ちそうな彼らを主体的に拾い上げようとする本作は『サマーウォーズ』から更に進んだアンサーと言えよう。
言及するまでもないかもしれないが、主演中村佳穂の圧倒的なパフォーマンスは素晴らしいの一言二言。冴えない陰キャがネットから現実へ向き合うミニマルな話に華と説得力を添えている。また、ネットと現実のコミュニケーションがシームレスに共存した世界というのも現代的であると思う。
大変好意的に書いたが粗を探せばゴマンと出てくる作品でもある。言及したい部分としては高知からの旅路を女性ひとりで行かせる危険性、虐待された少年に「これからは僕も戦うよ」と言わせ、大人たちは何かするわけでもない描写。
前者はお父さんに車で送って欲しかった。「車で送って行こうか?」と語りかけた前半のセリフは伏線になるし、そのまま良い父/悪い父の対比として描くこともできる。「ただいま」「夕飯どうする」に繋げたかった気持ちもわからんではないが。
後者の描写の問題点は「助ける助ける助ける」と言って助けてくれなかった「大人たち」は結局何もせず、すずの愛(母性とも言い換えられる)を以って立ち直った子どもが自分でなんとかしていく自己責任に落とし込んでしまうことにあると思います。既存の社会制度によるアプローチをきちんと描いて欲しかった。
最後にUの世界の描き込みについて。ビジュアルは素晴らしいんだけど、恐ろしく整合性のないSNSで都度ツッコミを入れたくなった。まあこの世界観には細田監督もそんなに興味ないんだろうなあ。あくまで舞台装置であって、そこから匿名のネットリンチ、衆愚性、新しいコミュニケーションを描きたかったのだと想像。CGと動き回るカメラのネット空間と手書きでフィックスのカメラの現実社会の描き分けは好き。
引き込まれるストーリー
改めてレビュー見たらあまりにも評価が低かったので
細かい感想を追記。
亡くなった経緯は違えども、同じ父子家庭で育った身として、鈴の父親の愛がよく分かる。
だからこそケイとトモの父親が許せなくて、竜の痣が増えるたび心が痛む。
鈴が二人を助けに行くことで、他人の子供を助けた母親の気持ちも分かり、気まずくなっていた父親との関係も改善する。ただ歌えるようになるだけじゃない、鈴の成長も見どころの一つ。
忍が、すずが成長するまでは母代わりとなって静かに見守っていたのに、鈴の成長を経て想いを伝えるところも良い。
鈴の成長がメインなので、あれくらいあっさりした告白で尚良い。
しいてゆうなら宣伝で竜=佐藤健と告知をしたがゆえに「竜は誰だろう…?」がなくて、ケイとトモの映像が出てきた時にすぐに竜=兄、クリオネ?=弟と分かってしまったところが残念。
でもだからこそ、すんなり話が入ってきたのもあるからそれも計算のうち…?
結論、やっぱり満足!
↓以下最初の投稿
主人公もよく泣くし、私もよく泣いた。
・SNSの気軽さと簡単に悪意を撒き散らせる嫌な面を見せる
・同じ境遇なのに、偉大な父の愛と子どもの心を殺す父
・守るべきものがある人は強い
・YouTubeみたいなやつ、子供の名前むっちゃ晒す
・佐藤健は佐藤健でした
・Uと竜、聞き分け難しい
SNSの悪態とか、虐待とか不快に思うところもあったけど、思わず引き込まれる話、何度も涙を流せる話、たまに笑いも入る話で満足。
※ポップコーンは映画の序盤に食べ終わるのがオススメ!
エンディングまで含めて全体的に静かなシーンが多いので中旬以降食べれる箇所はあまりありません。
母を亡くした少女が「母」になるまでのストーリー
この作品は色々な観点から見れる、非常に面白い作品だと思いました。特に強調されていたのが「母親」という存在についてです。
主人公は過去に母を亡くし、周りないろいろな人から少しずつ優しさや愛情を貰いながら母のいない苦悩と戦ってきました。そこに出てきたのが、主人公と同じ父子家庭で育ったものの、主人公とは違い周りからの優しさ、愛情を受けず、父親からDV(暴力表現はないですが)を受けている少年です。その少年に対して主人公は自分が今まで周りから受けた優しさ、愛情を少年に与えます。この時、周りから守られていた主人公が自らの苦悩を乗り越えて守る側、もっといえば「母親」になったと言えるかもしれません。
このようにこの作品では子供が育っていく過程での「母親」という存在の重要さや「母親」という存在のあり方が、とてもリアルに描かれていました。
SNS社会ならでは?
簡単な話の流れとしては「現実世界で自分に自信のない鈴がUの世界で「竜」と出会うことで成長していくストーリー」です。
観終わってすぐはストーリーの軸(作者の意図)を理解するのが難しかったです。
しかし、考えているうちにSNSが蔓延する今の社会に対してのメッセージを感じました。全体としては「普段匿名で何気なく叩いてる相手にも1人間としての背景があるし(すずの母親の死に対して何も知らない人が叩いてるシーンとか)、ネットで荒らし等をやってる人にも1人間としての背景がある(Uを荒らしてた竜が虐待されてたとか)。
そして、ネットで人気な人も特別なわけではなく、その辺にいる普通の女の子と変わらないんだよ。(すずとベルの関係)」ってことを伝えたかったのかなぁ〜と。
終盤では、「現実では自分に自信のない」すずが母親譲りの優しさによって殻を破り、「現実世界」で竜を助けた。ここでは「ネットの世界ではなく現実・ありのままのあなたに価値がある。」というメッセージを感じました。(フォロワーの多い・少ないなどで自分の良し悪しを判断しがちな現代人へのメッセージ?)
書いているうちにまとまりがなくなってしまいましたが、伝わる人に伝わったら幸いです。
最後に、「日本のアニメ映画ってすげー!」と感動するくらい映像が綺麗なので映像だけでも楽しめるかなと思います。
良い部分だけをまとめた個人的な概要
幼い頃に母を亡くし、歌うことがトラウマであるすずが、過去をのりこえる話。
U もう1つの現実
AZもう1つの自分
自分の抑圧されている、つまり潜在能力を引き出す。それは現実でのトラウマであっても。
人を救うために、現実の自分ともがき、葛藤し、苦しむ。それを支えるのが幼なじみの存在。そして、亡き母の面影。
名も知らない子どもを助けることで命を落とした母。納得できていなかった。だけど、知らずのうちに竜を救いたいベルの姿が自然と母と重なっていく。
やがて、人を救うために自分をさらけ出す。
竜は本当の意味の助けるを求めていた。
その奥底にある心に、歌とぬくもりが伝わる。
彼もまた自分をさらけ出していく。
そして、竜は弱さを。
そばかす姫は過去を。塗りかえていく。
Uの世界ではなく、現実世界で。
AZではなく、自分自身で。
深く考えなければ★ ★ ★ ★
深く考えなければ楽しめると思います。例えば、世界中で50億人が利用している仮想世界での話なのに高知ー東京間で物語が解決しちゃう両極端なスケールの対比は何か意味があるんだろうか?とか、世界中で50億人が利用している仮想世界での話なのにたまたま見かけたアバターに「あなたは誰?」なんていう近視眼的な質問するだろうか?とか。
ストーリーは粗いがテーマは良い。映像・音楽は圧巻。
少女の成長物語として一貫性があり、胸を打つ歌と映像美で劇場で観たことを後悔しないぐらい良作だった。
確かに多くの方の評価にあるように、ストーリーには多少の無理矢理感や疑問が生じる点はあったが、主題を揺るがす程のものではなく私は気にならなかった。逆にそういった細かい点も気になる方からは評価が低いだろうなと感じた。
また監督の過去の作品や美女と野獣と既視感のあるシーンが登場するのも事実。しかし主題は全くの別物なのでここも引っかかるかどうかは個人差が出るだろうなと。
印象深かったのは、母親の死に際の呆気なさとラストの分厚い入道雲の向こうから陽の光が顔を出し始めたカット。
余りにも呆気ない母親の居なくなり方が妙なリアルさすら感じると思って見ていたが、物語後半で、遺された誰かを守りたいという意思が切なくも暖かみをもってすずの歌や父親とのやり取りから滲んでくる演出が素晴らしかった。
全てを終えたラストでも、表向きすずの日常には大きな変化は生じておらず、ただ現実世界でも歌えるようになり父と夕飯を共に出来るようになった程度。一見大した変化ではないがUの世界および鈴の内面では大きな一歩であり、それを象徴するような雲の後ろの太陽が美しく、華美でない印象的なラストとしてこの映画の〆に合っているなと惹きつけられた。
自分は好きでした。
完璧とはいかないかもしれないし、ツッコミどころもあるとは思う。最後の雨の中での一連のやり取りはあまり入ってこなかったけど、大勢が0.5とか1をつけるほど駄作かというとそんなことないと自分は感じました。自分が納得できない点がすべて説明されてきれいに回収されることが良い映画なのかな…とコメントを見ていて考えさせられました。
なによりもすずがオリジンで歌うところなんて歌声や映像の壮大さ・大団円の雰囲気に気持ちがあたたかくなりました。
美女と野獣はミスリード?
上映二日目に映画館で視聴してきました。
CMや、宣伝、ポスターに至るまで押される美女と野獣。視聴後の感想としましては美女と野獣的ボーイミーツガールよりトラウマや重要感に焦点が当てられているように感じました。
細田監督前作、前々作の酷評で相当ダメージ受けたんでしょうね…。
題材での重要感につきましては。
序盤に出てくるYahoo!ニュースのコメント欄並みの母に対する酷評で人と違うことを言う自分カッコいいと言う自己の重要感。Uの治安維持を行う重要感。竜として疑われる人の背景を詮索し自分を優秀だと示す重要感。竜の知り合いだと嘘をつき事情通だと示す重要感。スクールカーストの弱者側にいないことを示す重要感。主人公やキッズの多数派に嫌われている存在を救いたいと思う重要感。
その身勝手な重要感の先にいる他人の気持ちを本当に理解していますか?と投げかけられる序盤と中盤。
終盤、主人公は周囲の人の力添えにより他人と自己の重要感に見切りをつけ、トラウマを克服し人間として成長します。
両作品の対比としまして、美女と野獣のベルは元々人を見た目で判断せずその公平さと聡明さにより人を救済します。竜そばのベルは成長しトラウマを乗り越え救いを求める他者と自己を救済します。
タイトルの竜は登場人物の名ではなく、作中の要素の連想(母→川で水死→寄り神→クジラ→水神→竜)から川で亡くなった母である寄り神であることが予想されます。つまり、本作のテーマは母と主人公の確執であるトラウマ(苦)であります。ベルが歌う際に現れる音響クジラ(鯨鐘)ややけに推されているカツオのたたき(鯨付き)もこれに関する要素であります。
両作品に演出や登場人物など類似点はありましたが、ストーリーとしてはミスリードを誘う要素でした。
没入感を誘う演出や音楽を体感するためにも暗闇で大画面、大音量の映画館で視聴することをお勧めさせていただきます。
現実と仮想世界のギャップを埋めるべくをキャラクター達が駆け抜ける!
仮想世界を通じて自分と向き合い人と接することで成長する物語。
主人公視点で物語は進んでいく。
…こう言うとシンプルだが、個人的には以下の点が優れていると感じた。
①異なるアニメーションで描く「現実世界」と「仮想世界」とのコントラスト
ストーリーには物理的な制限(都会と田舎距離、障害(ワンコの足))、人間関係のしがらみ(親子、友人、社会的な役割)、数多のルール(法律、条例等)に縛られる閉塞感のある現実世界と現実世界の様々な要因から生まれる閉塞感のギャップを匿名アカウントAsによって解消できる仮想世界が存在する。
単調で色彩の鮮やかさに欠ける「現実」と新鮮さ・解放感からくる色鮮やかな「仮想世界」の使い分けが秀逸だった。
②「抑圧」している、されている自分との対峙する各キャラクターの描き方
主人公は母親の事故(本編中では多くは語られないー正確には主人公は語ることが「できない」のであろう(「なぜあの子を助けようとしたの?」と言うセリフ))
をきっかけに母親を想起するもの(父親・歌等)とは半ば無意識に距離をおく主人公が描かれている。
一方、「竜」は「怒り」だけで暴力を振るっているわけではなく、対照に父親からの「暴力・存在否定」と世間からの「孤立感」に苦しんでいた。
この各キャラクターの「抑圧された」心情(悲しみと怒り(「なぜ?」という気持ち)が混在した微妙で難しい感情)やをしっかり形にしているところが素晴らしかった。
③仮想世界を用いて描かれる「自己実現の形の変化」と「アウトプットの大切さ」ー「ベル」と「竜」
(自分が本当に好きなものに気づくこと)+(好きなもので認められること)ことは現代において、多くの人が求めているものであろう。現代における自己実現の形を「ベル」を通じて鮮やかに描かれていてよかった。
対照に父親からの「暴力・存在否定」と世間からの「孤立感」による苦悩をうまく伝えられない「竜」の存在((仮想世界での抑圧されている感情の発散(暴力))+(上手く感情を伝えられないこと)から仮想空間(ネット世界)においても現実世界と同様にアウトプットの仕方が大切であることが丁寧に描かれていてよかった。
④批判、追跡することの意味ー仮想世界での根拠のない否定的な言葉の力はどこまであるのか?
物語で要所要所で出てくる不特定多数からの誹謗中傷の描かれ方が非常にリアルだった。見ていて思わずムッとなるくらいだった。
ただ、自己実現の形が徐々に変化している現代においてこの誹謗中傷はどうしても出てくるものであるし、また一方で正当な手段で自己実現をした人にとって、根拠のない誹謗抽象は何の意味も効力も持たないことを俯瞰的に表現しているのが秀逸で面白かった。
また、途中で警察を自称するキャラがでてくるが、「匿名の解除」を脅しに私的制裁を加える正義のあり方に、やたらと同調圧力を強制するメディアや掲示板のコメント欄と似たような物を感じた。確かにネット上では具体的な法律や違反した場合の罰則がない。悪いことをしないのはもちろんだが、「正義のようなもの」を振りかざし私的制裁をする一個人やメディアには問題はないのだろうか。こういった問題をしれっと描いているところがまた秀逸だった。
⑤自身と他人を受け入れ自己開示、Unveilする勇気
「竜」をもっと知り、そして危機から助けるため、「色鮮やか」な仮想世界の中で自ら本当の自分をUnveilした主人公の描写に感動した。アニメ描写が異なっている点もこだわりを感じた。他者を知り受け入れること、他人の世界に踏み込むことの難しさに対して、仮想空間での権利とも言える「匿名性」を捨ててまで立ち向かう主人公の姿に「勇気」、「誠実」、「愛」を感じた。このときの観客の反応もまた興味深く考えさせられた。ライブ後、仮想世界と現実世界のギャップを埋めに敢えて直接会いにいく描写も良かった。父親からのチャットのシーンからあの母親あっての主人公なのだな、と感じた。
主人公と「ベル」はこのときに初めて一体化し、ラストには現実世界で友人知人と歌えるようになっている姿にまた感動した。
以上である。
及第点としては、主人公が竜に固執するきっかけが薄いように感じたため、ベルと竜の遭遇シーンは別のやり方のほうがいいように感じた。
(事件後に遭遇、手当する→間近で増えていく傷を見る等)
全体的に主要人物の描写が丁寧に描かれており、非常に見応えがある作品になっていた。
また、ミュージカル風になっており、曲調もよく、歌詞もダイレクトに伝わるもので素晴らしい。
改めて次回作が楽しみである。
美しい画像、音楽、素敵でした。
色々な方々が酷評されたり絶賛されたり、賛否両論のレビューがひしめき合ってます。
『美女と野獣』のオマージュがどうとかこうとか言われたりしてますが、細田監督自身がそうおっしゃっているのでそれをついての酷評はいかがなものかと思いますが…
単純な感想、美しい映像美と中村佳穂さんの歌、素晴らしいです。
彼女のはじめてのアフレコも歌とギャップがあって『すず』と『Belle』のうまい使い分けができてると思いました。映画館の大きな画面、迫力ある大音響で観てほしい作品です。
う~ん、ストーリーについては消化不良で一回目の鑑賞だけでは語れそうもないので差し控えさせてください。すみません
一夜明けての追記
竜を抱きしめて守ろうとするすずの姿、どこかで見たことがあるな~ってよくよく考えていたら『千と千尋の神隠し』で『ハク(竜)』を助けようとする『千(千尋)』を彷彿とさせたんだと今朝気が付きました。見知らぬ子供を助けるため命を落とした母親のことがトラウマだったすずが(ほとんど見知らぬ?)竜を助けようとすることは彼女の成長、殻から抜け出せたことに繋がり、とても深イイ話だと今更ながら思いました。ちょっと流れが唐突な感は否めませんでしたがいい映画なんじゃないでしょうか。今日+0.5しました。
それにしても『未来のミライ』もそうでしたが細田監督作品はこんなにも多くの人々が賛意両論・激論されること、正直羨ましい限りです。(話題にもならない作品が多くある中)いい映画だったと思います。 映画は気持ちよく観たいものです。どんな映画でも!
評価の低さは期待の大きさの表れか
ストーリーのご都合主義な所はもはや味かな。
主軸として竜は誰か。その鑑賞者の読みを外したいが為にストーリーがイビツになってしまったように思える。
(近親者に居るのも不自然だけどさ)
サマーウォーズの監督が物語に美女と野獣をシーン割に君の名はテイストを織り混ぜたある意味豪華な作品。
不評が多いようですが、面白いですし感動的です。
細田監督の映画作品はほぼ観ていますが監督の最高傑作と思います。
もやる部分は有るにしても圧倒的多数なキャラクターの緻密な動きや映像美や音楽のエモさは素晴らしく良かったしシナリオもらしさがあります。
ベルがクジラに乗って唄っているシーンは最高でした。またIMAXで観たい。
ただラストにこの歌でしょと言うほどその歌が何かは分からなかったのは残念だし、(最初だけでも)皆で歌ってほしかった。
長編MVです。頭を使って見てはいけません。
音楽と映像は最高です。
是非、映画館でご視聴ください。
脚本は最低です。
最初から最後まで、全く意味不明です。
感情移入もほとんどできません。
足と腕を組んで脚本の粗さに苦笑していると、楽曲と映像美に圧倒されて鳥肌が立つ。そういった視聴感です。
ただ、意味がわからなくたっていいじゃないですか。ロジックキメキメの推理モノでもないわけですから、思考停止で作品の美しさを楽しみましょう。
この作品について脚本の観点で酷評される方について大いに理解できますが、私は改めて見たいと思いましたし、サントラも欲しくなりました。すっかりファンです。
映像と音楽は良かったです。
びっくりするくらい綺麗な映像で見応えありました。
ラスト30分まではストーリーも引き込まれましたが、ラストどうして?と思うこともしばしば•••
ただ映画館で見る価値はあると思います。
竜とそばかすの姫
難しい事は分かりませんが、映像も音楽も痺れました♪言葉にグッと来た訳でも無く…自然と涙が出てしまった…心の中心に届く作品であり素晴らしい!映像や音楽で泣いたのはエヴァ破以来です。
終盤の父との会話、心に傷を負っている鈴が、母の様に危険を顧みず他人を助けに行くシーンは勝手ながらグッと来てしまった。母との回想シーンがここで繋がるのね。ただ、父のセリフに「…お母さんの娘だ!」という様なフレーズが欲しかったなぁ…。
主人公すずちゃんの決断に尽きます
細田守監督作品は個人的に『バケモノの子』と『未来のミライ』がしっくりこなくて、本作も少し不安だったのですが『サマーウォーズ』に似たカタルシスを味わうことが出来とても満足です。
今回の感動ポイントはすずちゃんの最後の決断に尽きます。この場面を表現する為に仮想現実をテーマにしたのではと思えるほどです。
展開が都合良すぎかなと思う部分もありますが、声高に正義を語る人ほど独善的でタチが悪かったり、大人数ではなく一人や二人の為に母親やすずちゃんが大きな決断を下す場面にとても共感出来たので結果OKです。
すずちゃんが50億人が集う仮想現実の世界に素顔を晒してしまったので、その後の現実世界が少し心配ですがいい方に転ぶことを願っています。
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