竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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説得力のあるご都合主義って、さじ加減が難しい
細田監督作品は
サマーウォーズ、バケモノの子が好きな
おばちゃんです。
我が子たちと一緒に観てきました。
面白かったけど、モヤモヤする。。。
帰ってから家にある別のdvd見て
スッキリしようかな
なんて思ってしまった。
ネットの世界って
あんなに意地悪な人ばっかりじゃないよね?
もっと優しい人たちもいっぱいいるよね?
いや、優しい人ばかりじゃないのもわかるけどね。
すごく悪い面が強調されてる気がしました。
50億人もアカウントがあるなら、なおさら。
現実世界はやり直せないから
Uの世界でやり直す
みたいな感じのUの説明。
なんかちょっと救いがないなぁ
なんで思ってしまった。
そりゃネットの世界では
もう一人の自分になれるし
やり直せる感があるけど。
「レディプレーヤー1」だと
ちゃんと最後に現実とネットの世界の
答えをだしてたと思う。
幸せって何?って質問に
全員答えられない合唱団のおばちゃんたちに
ちょっと「は?」って思っちゃった。
大人として、何か伝えようよ。
一人くらい自分の答えがあっていいと思います。
アニメ版「美女と野獣」が大好きすぎる私としては
どう観たらいいのかよく分からない。。。
まんまだし、
野獣と恋に落ちるベル→ハッピーエンド
だから、
すずちゃんは竜と恋に落ちる?
ん?しのぶ君は??しのぶ君が竜?
いやそれはない。。。
美女と野獣シーンでは映画に没入できず、
心が迷走しておりました。
同級生たちの絡みはとても良かったです。
面白かった!
もっと、その関係をUの世界でも
絡めてくれた方がよかったなぁ。
恋愛要素多めでもよかったかなぁ?
あとは、
よかったとこも、イマイチのとこも、
多くの方がレビューされている通りです。
いろいろモヤモヤしちゃうのは
それだけ期待してたってことだなぁ。。。
前半はほんとに面白かった。
映画だからご都合主義があって
全く構わないけど、
説得力のあるご都合主義って
さじ加減が難しいんだね。
また観たいと思うってことは、、、
キャラが脚本の都合で動くとはこういうことか
昔の細田守作品が好きだっただけに今作はあまりに酷くて辛いです。
最も重要な、主人公が竜に好意を抱く理由が1ミリも分かりませんでした。また他の感想でも散々指摘されているように、あらゆる場面でキャラクターの行動理由がわかりません。最後に父親が拳を振り上げてフゴフゴ言ってる場面は意味不明すぎて笑ってしまいました。
ただ脚本が多少変でも映画として面白ければあまり気にならないんですが、そんなこともなかったです。今作は話の展開にも何の意外性もないですし、恋愛周りも特に深くは描写されず共感できる要素がありません。なので余計脚本の不備が際立ってしまいます。
映像や音楽は比較的好評のようですが、正直映像表現はセルCGが良くなったくらいでサマーウォーズと大差ないと思います。どこかで見たことあるものの寄せ集めでしかなくて新しさを感じませんでした。
音楽は普通に良いですけどあの程度で全世界で超人気になるのもよくわからなかったです。
期待しすぎない方がいい
竜は誰だ杯
本命 しのぶくん 幼馴染イケメン おかん
対抗 パパさん ママが亡くなってからぎこちない関係 炙っとく?
単穴 ルカちゃん 学園のアイドル なんだか相談事がある様子
連下 カミシン 暑苦しい男の子 カヌー部(一人)俺のことが好き・・・とか?
大穴 古文?の先生 大穴 いやマジ大穴
さあ竜はどれ!?
・・・さて。
自分は結構楽しめましたがいろいろと評価分かれそうな映画でした
以下評価分かれそうなところ とにかく長いです すみません
1曲
2声
3マルチタスク
4重い話
5物語のたたみ方
1曲
バーチャル歌姫が主人公ということで当然歌が話にかかわってきますが、その曲が受け入れられないと物語に没入できなくなってしまいます 特徴的な歌もあるので
自分は割と好みの曲だったので冒頭からワクワクしたし途中うるりとしたところもあったのですが、普段ゴリゴリのロックしか聞かないぜ!とか私はクラシックしか興味ないワ!といった方だと話の山場谷場でも 「で?」とか思ってしまいそう
ストーリーとは別の所で気が入らないのは勿体ないですね
2声
この手の映画でよくある話ですが声優さんではなく役者さん?を起用しているため声と映像のギャップがハンパないですね ジプリ作品とかもそうですが
特に主人公の方は活舌が悪くて何言ってるかわからない箇所がところどころ
・・・と思って調べたら主人公の方はシンガーで実際作中の曲も歌ってらっしゃいました
歌とキャラの声担当を分けるのはよくありますが、その場合歌のシーンと普段のシーンでのギャップがでてきます。が、この作品ではその違和感があまりない(同じ人だから当たり前ですが)
上でも書きましたが自分はこの作品の楽曲は好きな部類なので、普段の声からシームレスに歌声に行けるのは評価したいです
だとすれば今回の起用は正解・・・いやでも日常パートの棒感・・・いやしかし・・・
うーん難しいところですねw
3マルチタスク
これはサマーウォーズのときも思ったのですがとにかく画面の情報量が多すぎるシーンがあります(まあこういうネットやバーチャル世界を扱った作品ではよくあるはな・・・さっきも書いたなよくある話)
普段から情報過多社会の中で必要な情報を瞬時に取捨選択するのに慣れている方なら平気なのでしょうが、自分のようなシングルコアの低CPUしか積んでない頭では情報処理が追いつきません
しかも急に加速する話の筋を追っていきつつ伏線も見逃さないように・・・とか無理です熱暴走してしまいます
自分のようなマルチタスク苦手な人にはおいてけぼりに感じる所が多々ありますね
そして安らかな寝息へと変貌するのでしょう 南無
4重い話
後半話が急に重くなりますそれはもう
いや序盤からネットの闇みたいなのはちょこちょこ出てくるんですがね
正直ちょっと引きました。え、そんな話なの?と
夏休みに家族で仲良く映画でも見よう!とこの作品見たらドン引きすると思います
子供泣くわ(いや子供はそのシーンの前に3の話のように安眠するでしょうが)
そういう生々しい話はいらない!エンターテイメントよこせ!という方にはこの作品はツライと思います。なんでお金払って鬱にならなあかんのかと
自分は・・・まあ引きはしましたが、受け入れられないこともないです。が、ちょっとそれもふまえて次の項目へ
5物語のたたみ方
で、これなんですよねたたみ方
その重い話のまとめ方が言ってしまえば雑。ちょっとご都合すぎるんじゃないかと
問題をリアル方面に描いてその解決方法はファンタジー
その落差がちょっと・・・ねぇ・・・
いやファンタジーでいいんですよ?でももうちょっとこう・・・あったんじゃないかと思います
というか自分の妄想では
まず歌うシーンからゲ〇吐いて欲しかったですねいやホントに
せっかく前半で現実では吐くほど歌えないという描写あったんだから「U」でリアルの姿さらしたときにそのトラウマ?も一緒に出して欲しかった
そして「U」でも、もちろん現実でもゲ〇吐きながらも、それでも助けるためにと現実での周りを制して歌って欲しかったです 汚い話ですみませんが
あのシーンは、ただ歌だけで周りが感動してる風に自分は感じてしまいましたがそうじゃない 普通の内気な女子高生が誰かのために踏ん張って前へ進もうとする所をこそもっともっと出して欲しかった
そして現れる竜とここでダンスですよダン・・・いやそれはいらないか
とにかく現れた竜もリアルさらして一言「助けて」
と、ここで例の回線切断・・・からのネットでお馴染み「U」での特定班フル動員
そして刃傷沙汰寸前で「U」のユーザーのリアル連合介入!ヤマト発進!と。
・・・駄目ですね。これじゃ結局ありきたりな話になってしまいますね。でも自分は妄想書けて満足です。ふぅ
まぁそれはともかく、ここまで「U」の、というかネットの暗い部分をさんざん描いてきていたので最後くらいネットのいい所も描いて欲しかったですね パンドラの箱じゃないですが
それにこの妄想だと親父の主観では、大切にしているからこその躾の最中にどこぞのネットオタクが突撃してきたという迷惑な話にも・・・いやないな
どう考えても親父がアウトでしたすみません
話がそれましたが、最終盤の展開の早さも相まってここが一番評価分かれる場所だと思います
うーん、自分としては結構楽しめたんですがね(点数は3.5ですが実際は3.7ぐらい行ってもいいかも?楽曲の良さ込みで)
というか曲いいんですよね ララライララライ♪頭から離れません 好きですこの曲
ただ、評価が分かれるのはすごくわかります
むしろもっと低いと思ってました
自分としては面白かったけど、正直人にはすすめようとは思わないという不思議な映画・・・が一番しっくりくる評価ですかね
後、最後に一つだけ
序盤のセリフの「作品への批判が本物を育てる。肯定だけの作品なんて身内のうんちゃら」でしたっけ?そんなセリフがあったんですがあれは刺さりました
やっぱり作品は叩かれてナンボだと、それを次にどう生かしていくかが大事だと
作ったやつは世に出してボロクソに叩かれないといい作品は生まれてこないんだなと思いました
叩かれるのめっちゃ嫌だしへこむし胃にくるんですけどねマジで
あれもこの作品への好感度上がったところですね
あれでもどっかで聞い(ry
脚本が致命的にど下手 本筋を外してもったいない作品
やはり先人たちの亡霊に取り付かれているんですね。まだ死んでいないので生霊ですけど。
宮崎駿監督は天才ですよ。追いかけなくていいんですよ。結局天才は後継者つくれなくて失敗してるんだからね。
新海誠監督の強みが、独特の風景心眼美なら細田守監督は演出力なんですよ。
我々は完璧な監督は求めていなくて、完璧に近い作品は求めますけどお二人に言えるのはいい加減脚本家に協力を求めなさいということです。
最低限の満足度セーフティーネットとして音楽を設けていて、音楽家に協力を求めているのに不思議ですわ。
本作の一番のアイデアは、『U』の世界ではアバターは「As」(アズ=Autonomous self/自律的自己)と呼ばれ、ただの仮面ではない点です。本心を引き出され、才能に基づいて自動で行動する自己。勇敢で、美しく、優しい「As」とボディシェアリングすることで、人格が「As」に引っ張られて、鈴はSF的なアバター療法で元気を取り戻していく過程を描いているのは良かった。
ポイントは「As」のベルと現実の鈴では好きな人が違うという点が画期的だと思った。
「ジョジョの奇妙な冒険」を知っている人には、分かりやすく半自律型のスタンドだ。身体感覚は共有しているが、心の動きが本体と違う。
つまり、夏の映画として「わたし」が「ワタシ」に会いにいく青春映画だった。この感覚分かる人には大林宣彦監督の「転校生」を思い出す人がいるはず。
細田守監督は大林宣彦監督の「時をかける少女」からの恩を忘れてしまったんですね。「時をかける少女」のその後を描いて一山当てたのにね。
だから、「竜」はさほどいらなかった。正体を知る必要もないわけです。DVの親なんて社会問題で、個人の少女に解決できるわけがないんですよ。
ただ、ベルが竜のこと好きでありさえすれば良かった。母親を亡くす必要もなかった。
母親亡くさなくても陰キャラはスクールカーストで陰キャラになっちゃうんだから。
本筋は変身魔法少女ものだったのに、幼馴染に正体を知られたくないと葛藤を描けばよかった。
自分の「As」が竜のこと好きでどうしてだろうと悩むとか、細田守監督はキャラクターの内面を描くのが下手なんですよね。
作品の核となるイメージボードとしては竜×ベルではなくて、鈴×ベルが正解だと思いますよ。直観が良くて気が付いている人は「pixiv」に上げている人たちですけど。
ベルは鈴より半歩前を歩いている「もうひとりの私」でやはり最後は「サヨナラ、あたし!」で夏の映画つくれる。
こんだけいい材料揃えているのに料理できないなんて残念で仕方がない。やっぱり脚本がど下手なんですよね。
映像美と音楽の良さ!満足です。
まず、これは見る人を選ぶ作品だと思いました。低い評価をつけている人は脚本に対する評価がほとんど。正直、ストーリー展開に関しては、途中で「ん??」と思うところが結構ありました。脚本重視の人には刺さらないと思う。
私はグラフィックの美しさに感動しました。
キラキラした星空はプラネタリウムみたい。夏っぽくて良かった。
クライマックスで歌うところで、金色の光がどんどん灯っていくのもキラキラして好きだった。
夏の田舎の風景は写実的で、実際に田舎に行った気分になれる。雨の中の山々などの表現がリアル。
あと東京に行ってからの街並みも得意な感じで、上手で良かった。
興味深かったのは、色々な表現を組み合わせていたところ。
仮想世界ではわざと線を二重にして、やや酔ってしまいそうな描き方なんだけど、仮想感出てた。と思いきや浮世絵のような2Dのグラフィック表現が合わさっていたり。そのあたりが、写実的な現実世界との対比があり興味深い。
(自分がデザイナーなのもあり、そういう気づきがあったのが面白かった)
あとやっぱり音楽が良かった。millennium paradeはさすがのかっこよさ、劇中歌の他の曲も全部良かった。なんと言っても中村佳穂の声が綺麗。世界観とあってた。
ストーリー展開は唐突で謎なとこもあったけど、仮想世界の話なのにかなりリアルな現実が描かれているのが良かった。虐待のあたり、リアル。まさかの展開だった。
田舎、仲間、おばあちゃんみたいなサマーウォーズっぽい要素もあって、そこの対比も楽しめた。
まぁ龍がいきなり好きだよと言ったり、しのぶくんはかっこいいと思ってたのに最後よくわからん立ち位置で終わったり、謎展開多かったけど、自分はそこは流せた。
あ、龍をやっつけようとしてた金髪ムキムキキャラの正体を知りたかった。あのキャラいらなかったと思う。。
ネット用語わからない人にはよくわかんない内容かもなーとは思った。BBAとか出てきたしwあとオリジンって表現も一般には理解されなそうな…専門用語ちっくなのは多かったので万人受けはしなそう。
あとアンヴェイルしてやる!とか何度も出てくるんだけど、オウムのポアしてやる!みたいだなって思ってたw
今回は大好きな常田さんの音楽とイギリスの建築家が作った仮想世界のデザインを目的に見に行ったので、個人的には想像以上に面白かったので大満足でした。
何が言いたいのか
ストーリー重視の方は絶対に見ない方が良いです。
これは金と時間を駄作に奪われた男の復讐の叫びである。
以前から細田守監督作品が好きであった私は、仕事を早く切り上げ、友人と一緒に映画館へ向かった。
序盤は世界観の説明のようなものであったから、まだよかった。ストーリーの筋が見えてくる中盤以降、誘ってしまった友人になんと謝るか、なんとこき下ろせばこの気持ちが晴れるのかで頭が一杯となってしまった。
以下詳細
<良かった点>
・ 絵や映像がとても綺麗
・ 音楽が綺麗かつ心に残った ...けど好みは分かれそう
・ 世界観 こんな世界いいな! インターネットの次は五感でつながる世界だな!と思った
<悪かった点>
・ 要素を詰め込みすぎ
時をかける少女、サマーウォーズ、美女と野獣を無理やり突っ込んだ感じだった。親との確執、自身のコンプレックスと歌、青春あれこれ、竜とのあれこれ...etc しかもそれらが別々なところで展開されるから、訳が分からなくなっている。詰め込みすぎてどこの要素にも振り切れていない。 全てが中途半端で放置。あっぱれ。
・ キャラクター出すぎ で 魅力0
要素を詰め込んだためか、登場人物が多く出てきた。 主人公、その友達、恋敵、 謎の合唱団おば様衆、主人公が思いを寄せる人、竜...etc 結果どうなったか。それぞれの背景を描く時間がなくなり、人物の行動に説得力がなくなった。感情移入することが困難になった。 名前が覚えられなくなった。
せっかくの良いメッセージ性や感動シーンも、感情移入0、説得力0では安い作り物でしかない。 何も伝わらず、押し付けられている感がただただ不快。
・ 生々しい虐待シーンは必要か?
上記のように空虚なストーリーが展開されていく中で、いきなり生々しい虐待シーンをぶっこんでくる。 良くも悪くもそこで凝視させられた。高低差で耳がキーンとなりました。
まだまだ指摘したい箇所は沢山あります。不必要で下手なセリフ回し、 謎の造語の多用 (ファルシのルシがコクーンでパージ的な)、世界観の説明不足... etc
これ以上、時間とお金を無駄にしない人が増えないよう祈り、 ペンを置きます。乱文長文、失礼しました。
虚構の力と、現実の力
とある心理関係のワークショップにおいて「仮面のワーク」というものがあった。
自身で仮面を創作し、最後はそれを着けて舞台でフリーダンスを踊るというワークだ。
目的は、仮面を作る段階で己と対峙し、素では表現できなかった思いを、仮面を通して開放するというものだ。
考えるとインターネットは、アバター操る「U」の世界は、そんな「仮面のワーク」とよく似ている。
だからして現実では得られない癒しが行われたり、力を発揮できたりするのだろう。
しかし一方でそれはやはり素では、現実世界では発揮が難しいことに変わりなく、
現実へ漕ぎだすための「糸口」でしかない、という弱さを併せ持つことにもなる。
本作は設定等、少々粗くて荒いと感じている。
その点から見てもファミリー向けというより、子供向けという印象が強い。
だが虚構と現実が混然一体とした日常を送るデジタルネイティブ世代をターゲットに創られたためだからだ、と思えば、納得できなくもなかった。
なぜなら最後、主人公が決断して現地へ向かったように
虚構が癒し、能力を拡張したとしても、
本当の勝負は現実にあり、
本作の打ち出したかったメッセージはそこではないか、と感じたためだ。
両の世界を平等に行き来するデジタルネイティブへこそ伝えたかったのであれば、小難しい理屈合わせより興味を持ってもらえるような分かりやすさを優先しても間違いではないだろう。
虚構と現実の強みに弱み。
今後ももっと、インターネットとの付き合い方をテーマにしたこのような作品が多く創られていってもいいんじゃないか。
本作にふと思った。
色々オマージュ探しも面白いし、楽曲も良い。
近頃、目につくクジラはアイコンなのか、ブームなのか。ちょっと知りたい。
仮想世界の映像と歌は凄い
「欠落が育んだ力」が解放される美しい物語
この映画は「すずの成長物語」として語られてることが多いですが、私は「成長の物語」ではなくて、隠れていた力の「解放の物語」ではないかと感じました。彼女はBellになる以前に(解放されてはいなかったけれど)すでにいろいろなものを手に入れていたのだろう、と。そしてUの世界で、音楽の才能に導かれてBellという役割を演じることで、そして自分と同じ欠落を抱えた人との交流を通じて、その隠れていた力を解放する。そういうお話なのかなと。
●すずは、「得難い力」を秘めた人
すずは母を亡くした大きな欠落、そして、母はなぜ私を置き去りにしたのかという謎を抱え、あがき、苦しみ続けるのだけれど、それでも「大きな力を秘めた人」として成長してると感じます。カラオケでマイクを向けられたとき、彼女は「歌え」という強迫の声を聴きます。それは、本当の声ではありませんが、その場の状況が作り出す強迫性をありありと「声」として感じている。それは、ある種の「力」であって、それは今の時代には「得難い力」なのではないかと思います。それは、彼女の抱えた欠落が、高知の自然が、父親の控えめだけれど深い愛情が、友人や大人たちが、時間をかけて育んだものでしょう。その力を象徴的に示しているのが、母親から受け継いだ音楽の才能なのではないかと思います。
●Asで「得難い力」が解放される
例えば、私は英語で会話をするとき、まるで別人格になった気がしますが、それはある種の解放感が伴った感覚です。きっと母語とは違う言語を使うことで「本人にさえ隠れて育っていた人格」が解放される、そういう現象ではないかと思います。
Uという「リアルとは別の世界」とAs(アバター)にも同様の(もっと強い)働きがあるのではないかと思います。それは「隠れて育っていた人格」が動き出す、そういう効果です。すずの場合、それは秘められていた「得難い力」の解放であり、それが音楽の才能の開花という象徴的な出来事として描かれているのかなと。
●竜との関係
すずの「得難い力」は、「欠落に苦しみ、それを隠す人」を見つけてしまう。それが50億の中から一人を見つけ出す、という象徴的エピソードになるのかなと。彼女は隠そうとする竜に対して「聞かせて」「見せて」と歌いますが、それは恋愛感情というより、相手の欠落を感じてしまうことで「自分の欠落から湧き出す衝動」のような身体性に近いものなのかな、と思います。でも、彼が隠さざるを得ないことも、聞かせること、見せることが彼にとってどんなに難しいかも、すずにはわかる。私だけがそれを見せてもらう権利があることも痛いほどわかる。だから、Uという異世界で自分を晒すことも厭わなかったし、DV親のいるところに、(気持ちを共有できる)自分一人で行かなければいけないと感じたのだろう、そう思います。
●残された問い
成長がかんじられるためには「育む力」と「解放する力」という別の力が必要なのだろうと思います。まずは隠れて育まれたものが、何かのきっかけで解放される、そういう順序なのだろうと。そしてUのようなサイバー空間に「解放する力」があるとして、そこに「育む力」があるのか?がこの映画の残された問い、になっているような気がします。
仮想現実のリアルさは現実より怖い物がある
最初、主人公と父親との関係が観ていて、あまりにうーんと思ってしまいましたが、母親を亡くして、まだこの歳なら仕方ないのかと思ってしまいました。
場面の切り替えが早いので説明とかなくて分からない部分があっても、とにかく最後まで観れば分かるだろうという感じでした。
映像と音楽は綺麗です、仮想世界って凄い、Uの世界に魅了されても当然という感じで酢が、あまりに綺麗すぎて、好きな事ができるという言葉にドキドキです。
でも大人の自分は学校生活を送る主人公達を見て、でも現実も悪く亡いと思ってしまうのです。
勿論、良いことばかりじゃないと思います。
仮想世界の中だから嘘をついて自分を良くみせて虚飾、虚構だけど、それでもいい気持ちになっている人達、でも、現実でも多々あり、そんな人は沢山います。
子供達に暴力を振るう父親が彼女から逃げてしまうのは、一見何故、大人なのに男なのにと思うのですが、自分の行為がよくないと知っているから、これから自分に降りかかる現実を、この時になって・・・・・・と自分で解釈しています。
周りの合唱団の大人達のアバターも気になるし、主人公の恋、父親との仲、映画が終わった後の事が気になります。
映画を見る前は分からなかったのですが、ああ、ヒロインはそばかすだからかと納得です。
とても惜しい作品
仮想現実の世界と歌はもう申し分ないぐらいに素晴らしいのですが、全体のペーシングと現実パートの描写が残念すぎて世界観に没入しきれないのが本当に残念でしかたありません。
こういう映像美の作品だと、製作時か編集段階で「もったいない罠」にハマってしまうことが多く、この作品も切るべきところに尺を使いすぎて、流れが悪い箇所が随所に見られます。
「あ… あかん、ここひっぱりすぎ。ダレる」と、現実に引き戻されてしまったことが何度か。
現実パートの脚本は十分に練られていないのか、ありきたり過ぎると感じてしまいます。また、最後あたりは尺が足りなくなってきたのか、脚本が十分練られていないのか、リアリティーに欠ける解決方法が示され、興ざめになってしまうのです(女の子一人で送り出すか?とか、そんな都合良く簡単に見つかるわけないだろとか、結局何しに行って帰って来たのかよく分からないとか、色々)。後、現実パートの下手くそな少女漫画的な流れはいらなかったと思うのです(現実世界の主人公の魅力が描き切れていないので説得力がないし、いらぬ尺を取る。もっと竜に重点を置くべき)。
でも、仮想世界のベルと竜のキャラクター造形は素晴らしいし、歌と声はピカイチです。
特に歌は本当に素晴らしい。
曲も素晴らしいけれど、情感たっぷりに歌う歌手の方も本当に素晴らしかったです。
鈴の声を当ててる方と同じなのかな?(声の演技はちょっと棒ですが…)
もう少し現実パートが無難にできていたら、歌を聞くためだけに何度でも映画館に足を運ぶのに。残念。
でも、一度は映画館で見ても損はありませんので、ぜひ。
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