竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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理解すればするほどハマる映画
レビューを書くのが初めてなので、お見苦しい文章になっているかと思います…ご了承下さい。
これまでで2回見た者です。
1回目はストーリーについてはあまり深く考えず、最後の歌で感極まって泣いた記憶があります。
しかし、後からストーリーの奥深さがわかるんです。見ていた時は恋愛やら家族愛やら色々な要素が詰まっているな、と思いましたが、よく考えたら物語の序盤で映画の主題が出ていたんです。
「母親は何故主人公を置いていってしまったのか」
この映画は主人公がそれを理解するまでのストーリーのように思いました。
そして、それを念頭に置いて2回目を見ました。
・最後の歌で鈴からベルの姿に戻る理由
これを理解した瞬間、涙が止まりませんでした。主人公はたった1人の為に素顔を晒したことで、母親の気持ちがようやくわかったのだと思います。そしてやっと自分に自信を持ち、「自分とは別の存在」のように感じていたUの世界の''ベル''を''自分''なのだと思うことが出来たのでしょう。
歌や演出も文句無しで素晴らしいです。
というか、歌だけでもお金を払って見る価値があります。
理解すればするほど好きになる映画だと思います。是非多くの方に見て欲しいです。
「欠落が育んだ力」が解放される美しい物語
この映画は「すずの成長物語」として語られてることが多いですが、私は「成長の物語」ではなくて、隠れていた力の「解放の物語」ではないかと感じました。彼女はBellになる以前に(解放されてはいなかったけれど)すでにいろいろなものを手に入れていたのだろう、と。そしてUの世界で、音楽の才能に導かれてBellという役割を演じることで、そして自分と同じ欠落を抱えた人との交流を通じて、その隠れていた力を解放する。そういうお話なのかなと。
●すずは、「得難い力」を秘めた人
すずは母を亡くした大きな欠落、そして、母はなぜ私を置き去りにしたのかという謎を抱え、あがき、苦しみ続けるのだけれど、それでも「大きな力を秘めた人」として成長してると感じます。カラオケでマイクを向けられたとき、彼女は「歌え」という強迫の声を聴きます。それは、本当の声ではありませんが、その場の状況が作り出す強迫性をありありと「声」として感じている。それは、ある種の「力」であって、それは今の時代には「得難い力」なのではないかと思います。それは、彼女の抱えた欠落が、高知の自然が、父親の控えめだけれど深い愛情が、友人や大人たちが、時間をかけて育んだものでしょう。その力を象徴的に示しているのが、母親から受け継いだ音楽の才能なのではないかと思います。
●Asで「得難い力」が解放される
例えば、私は英語で会話をするとき、まるで別人格になった気がしますが、それはある種の解放感が伴った感覚です。きっと母語とは違う言語を使うことで「本人にさえ隠れて育っていた人格」が解放される、そういう現象ではないかと思います。
Uという「リアルとは別の世界」とAs(アバター)にも同様の(もっと強い)働きがあるのではないかと思います。それは「隠れて育っていた人格」が動き出す、そういう効果です。すずの場合、それは秘められていた「得難い力」の解放であり、それが音楽の才能の開花という象徴的な出来事として描かれているのかなと。
●竜との関係
すずの「得難い力」は、「欠落に苦しみ、それを隠す人」を見つけてしまう。それが50億の中から一人を見つけ出す、という象徴的エピソードになるのかなと。彼女は隠そうとする竜に対して「聞かせて」「見せて」と歌いますが、それは恋愛感情というより、相手の欠落を感じてしまうことで「自分の欠落から湧き出す衝動」のような身体性に近いものなのかな、と思います。でも、彼が隠さざるを得ないことも、聞かせること、見せることが彼にとってどんなに難しいかも、すずにはわかる。私だけがそれを見せてもらう権利があることも痛いほどわかる。だから、Uという異世界で自分を晒すことも厭わなかったし、DV親のいるところに、(気持ちを共有できる)自分一人で行かなければいけないと感じたのだろう、そう思います。
●残された問い
成長がかんじられるためには「育む力」と「解放する力」という別の力が必要なのだろうと思います。まずは隠れて育まれたものが、何かのきっかけで解放される、そういう順序なのだろうと。そしてUのようなサイバー空間に「解放する力」があるとして、そこに「育む力」があるのか?がこの映画の残された問い、になっているような気がします。
歌えなくなった少女がもう一度歌えるようになるまでのお話を…
圧倒的映像美と珠玉の音楽で包んだ名作。すべて鈴目線かつ娯楽性より芸術性がかなり高いので展開は分かりづらい。海外の方が受けそう。サマーウォーズが夏希と健二の恋の話に見えて健二が佳主馬を救う話なのと少し似ていると感じた(恵の目も佳主馬と似てるし)。世界観は美女と野獣、観たあとの感覚はハウルの動く城だけど描きたいのは全く別の話だと思った。
監督のメッセージは、
①『バズ=誰でも注目を集められるネット現象がいかに空疎な個々人の感想の集合体か』
②『顔を隠している間は心と心は繋げない』
③『親切や自己犠牲、純粋な善意=“母性”の美しさ(単純な母親神話・母性礼賛ではない)』
だと思う。
①は簡単にペギーからベルに人気が移ること
②は恵が鈴を一切信用しない→鈴がアンベイルして歌う中で母の行いを理解し心に灯りを取り戻す→世界中のAsの心が鈴の灯りで繋がれる流れ
③は見知らぬ子供を助けて亡くなった母と、見知らぬ人を無責任に傷つける人間を対比することで表現されている。
太陽の世界は現実、月の世界はU(ネット)。
月の世界でオタクが脚光を浴びるように、バズが例え空疎な個々人の感想でも『U』がその人の真の力を開放するのはネットパワーそのもの。
ルカちゃんやカミシンはネットに頼らなくても間延びした平和な世界で生きていける。ヒロやしのぶ、バランスを取って生きられるふたりは鈴の力に気づいている。鈴は現実でも母を失い裏切られたと思い、ネットでも母への心無い中傷を受けてまともに食事が取れないほど塞ぎ込み、自信を失い自分の心や好きな人を思う気持ちすら否定し続けている=ヒロは月の裏側に隠れて居場所のない鈴に月の世界で自信を取り戻させようとし、しのぶはあくまで太陽の世界で鈴らしく生きてほしいと願っていた。
なぜ竜を助けたのかは、恋心だと周りのおばちゃん達は安易に思っているし本人もそうなのかなと思っているけど、実際は『お母さんが見知らぬ子を助けた理由を探すため』『人生の傷にお互いが共鳴しあっていたから』。
竜とベルは恋をしているように見えて『月の裏のような、上手くいかない誰も助けてくれない人生を生きる自分たちを互いに救いあう』関係で、そういう『恋愛には発展しないけど心が通じあう関係』はおばちゃんの一人が語っている。
同時に『秘密のバラ』は“お母さん”の象徴(恵と知の部屋に赤いバラが活けてある)。
つまり『恵は鈴から見ればかつての中洲の子供だけど、知から見れば自分を命がけで守ってくれる母』。
世界を憎んでいた少年が誰かに『大好き』と言えるくらい世界を肯定できるように戦った鈴もまた、自分の母と同じ行いをしたことになる。
だからふたりは一緒に踊って空を飛ぶし、心を通わせて抱擁する。
一方で実際に命がけで天使(知)を守る恵は、鈴を見守っているとはいえ実際に鈴のために傷つく訳ではないしのぶとの対比でもある。
しのぶはずっと『お母さん』でなく『同級生の男』になりたかった。鈴が自信と笑顔を取り戻して『解放され』心の自由を得たが、恵はこれからも『解放を望まず』天使である弟を守ると思う。
しのぶの思いが恋か友情かは語られていないが最後に『(鈴の歌を)聴いてる』と言っているし『やっと普通に鈴を好きになれる』かなと。であれば車に遮られて鈴が告白しそこなった時も、鈴の想いに気づいていたけど『(鈴が鈴でなかったから)まだ言ってほしくなかった→先にベルは鈴だと言い当てた』かな?
しのぶはずっと『鈴が心から笑えないなら俺も笑わない』的な自己犠牲を払っていたと思う。
また、ペギーは中洲から助けられた子供(だから自分をアンベイルして誰かを助けようとする鈴に最も早く反応した)、ジャスティンは恵と知の父親(だからU警察としてスポンサーを多数得て冒頭でインタビューされていた)。腕時計アップ=アンベイルバズーカと完全に一致。やたら良い家に住んでいるのも説明がつく。
これまで助けると言いつつ周りが動かなかったのはUの大物だったから(著名なYoutuberのメタファー、VoicesはGoogle)。でも虐待映像で炎上したので、これから恵が世界に暴露すれば名誉失墜&警察沙汰→『これまでは誰かの“助ける”を待っていた恵が自分で戦う』ということ。それができるのもまたネットの力。
ちなみになぜ中洲に子供がひとりだったかは、例の『玄倉川』モチーフかと(ちょうど夏休みだし…)。今の世の中で彼らを助けて亡くなる人がいたら『あんな連中助けるな』『我が子を残して死ぬなんて無責任』と叩く人は絶対いるだろうな。
…と。ここまでは全部個人の感想と考察です。明確な根拠があるわけではないのでご容赦ください。ほかにもベルが巡音ルカに似てるなぁとか、恐らく何らかの発達障害を抱える弟を『天使』として表現しているところなど魅力を語れば止まりません…!
そして何より、中村佳穂さんと常田大希さん(millennium parade)という私得映画。
こんな素晴らしい作品にエキストラシンガーズとして参加できたのは本当に嬉しい。
何回も観たらその分違った味わいがありそう。
細田監督ありがとうございますm(_ _)m
これは映画館で見て欲しい
過酷なバックグラウンドがありながらも強かさと美しさを持つベルと、温かい家族に何度も涙した。ストーリーには現代ネットへの風刺などメッセージ性もあり、深く考えさせられた。なによりも、この映画は歌とグラフィックの構成が素晴らしい。繊細に心情を捉えた歌詞と映像に鳥肌がたった。是非とも映画館で見て欲しい一作。
ストーリーは無視して壮大な音楽と映像を楽しむ作品
この作品はストーリーはあまり深く考えず空っぽの頭と心で素晴らしい音楽と映像を楽しむ為の作品です
冒頭初っ端の巨大な鯨に乗って歌うベルはまさに圧巻
パプリカという映画のパレードを彷彿とさせる壮大な迫力で一気に映画に引き込まれます
賛否両論はありますがベルのキャラデザインや衣装も私個人的にはかなり良かったです
独創的で斬新
衣装一つ変えるだけで、ベルが大人びたり無邪気になったり華やかになったりで見ていてとても楽しかったです
ミュージカルを忠実にアニメ化したような感覚
まさにディズニーなんだけどパクリじゃなく細田守らしさをしっかりと出して完璧なオマージュになってます
キャラ一人一人も人間出来過ぎな感じはあるけど、それぞれが自分らしい個性を持ってて私は好きでした(あいつ一人を除く)
ただストーリーはツッコミ所満載なので気にしないようにするのがオススメです
リアリティを追い求めるのではなく、アニメらしさを楽しむのがこの作品の良さを一番に感じられます
それを踏まえて是非劇場で音楽と映像を楽しんできてください
強烈な個性。次の作品が楽しみ
音響が素晴らしい👏
人の心の中にある愛の話 迷ってるなら行くべき
賛否両論ありますが、私は好きでした。
主人公ベルのデザキャラがディズニーのジン・キムだったり、主題歌のミレパのUがKing Gunの常田大希だったり、それだけで見る価値はあります。世界観についていけるかも大事ですが、圧倒的な歌声や映像の綺麗さに感動します。
映画館でこそ観るべきだと思います。
個人的にはサマーウォーズよりも好きでした。
人を奮い立たせる愛の話かな。
少しオチが弱かったのが勿体ないかなぐらいですかね。ベルがなぜ竜が気にかけたのかは、自分のそういう部分が過去にあったからだと思ってます。また観に行きます。
美女と野獣に似てる部分はありますが、
ディズニー好きならそれも含めて好きですね。
だって、竜が佐藤健の声なんですよ最高かよ。
見知らぬ誰かを大切に思う心
ネットで匿名で、リアルな自分ではない姿で、世界のどこかにいる見知らぬ誰かと出会うことができる。
リアルな世界でリアルに会っている人同士でさえ、お互いに全てを知っているわけじゃない。心を通じ合せている人なんて、本当はごくわずか。
ヒロちゃんの毒舌に納得する。
ネットでは匿名だからこそ、リアルではしないようなことをすることができて、人を傷つけたり、癒やしたりできる。
自分の姿じゃなく、理想の自分にもなれる。
すずちゃんのお母さんは、見知らぬ女の子を助けて死んだ。
すずちゃんも、ほぼ見知らぬ男の子たちを助ける。ずっとお母さんを理解できずに苦しんでいたけど、自分で体験して初めて理解できた。
自分の居場所を感じられないまま生きて行くのは苦しい。
ベルが竜のことが気になったのは、居場所のないリアルな自分と竜が重なったからじゃないのかな。
ネットの仮想世界で、リアルに出会うよりも沢山の人に出会えるからこそ、見知らぬ誰かを大切に思う心を持ってほしい、というふうに感じた。
細田監督の映画は2回観てから納得する
凄く良かった
IMAXレーザーGT鑑賞で感動!!
★総評。
全体的に曲がすばらしくて、心を揺さぶられます!!
そのままに、目の前にいる引っ込み思案でぶっきらぼうだけど寂しがり屋さんな女子高生を応援したくなる。
…そんな優しい作品。
ロジカルに観ると、そりゃ…
いろいろツッコミあると思います。
でも…
そういうのを全部チャラに出来るくらいの力を秘めてる作品でもあります。
この作品に内包されてる
全員が【いい映画にしよう!】と頑張ってるエネルギーまでもをひとつの映画として、潜在能力を表現できる【U】のシステムの如く
正面から受け止めると…
本気の涙が…
そのベルの歌声から
すずの歌声から、心を鷲掴みにされ溢れてきました。
【コングvsゴジラ】よりずっと感動しました!!
これ!感覚人間なエモーショナルな方には是非とも音と映像を浴びれるIMAXで鑑賞することをオススメします。
他の人の事をいっぱい感じられる人なら、恐らく感動できる作品だと思います♪
細田守の新時代を見よ
細田守作品が好きだが映画館で観るのを迷っているそこの貴方。予告を見てサマーウォーズのような感じ?とお思いでしょう。しかし断言しましょう。扱ってるテーマがいい意味で全く違うと。必ずみる価値ありです。私は衝撃を受けました。細田守監督作品は更なる素晴らしい進化を遂げています。ジブリ作品のようなあのどこか懐かしい素敵な雰囲気、細田守作品の人の純粋さの持つ素晴らしいパワー、新海誠作品のような圧倒的な音楽と映像美そして甘酸っぱい青春、そしてディズニーのような笑顔になるような可愛らしさ。パクリだなどと言う人がいるとするなら、あえて私は申し上げたい。これらの良さ全てはアニメ史が生み出したどれも素晴らしいなんて言葉では足りない、人間の感動の琴線を震わせる最高の演出であるため、そんなことどうだっていいと。音楽、映像、物語を通して私達の五感を感動でいっぱいにし、私達を暖かい気持ちで満たし涙を溢れさせる。人を感動させる手法が業界全体で研ぎ澄まされ、とてつもない進化を遂げただけの話だと思います。個人的にはついに日本のアニメ業界がアニメで感動させる方法をフルで使ってきて私達のこのコロナ禍やネット社会で辟易した弱った心に希望と暖かさをしっかりと満たしてくれたと感じています。それに深く感動しております。
時代に則した社会問題。リアルが上手くいかずネットに依存しそこに自分の居場所を見つける若者、その居場所を奪おうとするアンチコメント、リアルとの格差…。貴方の求める答えがここにある。若者は勿論のこと様々な世代の方にこれを観て頂き、今のリアルな社会でのあり方をもう一度見つめ直してほしい。感動をありがとう、細田守監督。そして皆さん、是非観て頂きたいです。
by アニメの歴史を見守ってきたただの一視聴者より。
期待してなかったけどとてもとても面白かったです!!!
良かったぁぁぁぁぁ
頭が痺れた
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