竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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母を亡くした少女が「母」になるまでのストーリー
この作品は色々な観点から見れる、非常に面白い作品だと思いました。特に強調されていたのが「母親」という存在についてです。
主人公は過去に母を亡くし、周りないろいろな人から少しずつ優しさや愛情を貰いながら母のいない苦悩と戦ってきました。そこに出てきたのが、主人公と同じ父子家庭で育ったものの、主人公とは違い周りからの優しさ、愛情を受けず、父親からDV(暴力表現はないですが)を受けている少年です。その少年に対して主人公は自分が今まで周りから受けた優しさ、愛情を少年に与えます。この時、周りから守られていた主人公が自らの苦悩を乗り越えて守る側、もっといえば「母親」になったと言えるかもしれません。
このようにこの作品では子供が育っていく過程での「母親」という存在の重要さや「母親」という存在のあり方が、とてもリアルに描かれていました。
惜しい!!!!
映像と音楽が素晴らしかっただけにストーリーが結構貧弱にみられました。説明不足な感じがしたし、もっと盛り上げるべきところがあったと思いました。キャラクターも、こいついる必要あったんか?って思うキャラがいました。願わくばもうちょい登場するキャラ減らして、主要キャラの細部まで映して欲しかったです。
ただ本当に映像と音楽が素晴らしすぎて圧巻でした。Uの世界が本当に美しかったです。中村佳穂さんの透明感のある凛とした歌声にも聞きほれてしまいました。特にオープニングが最高でした。中村佳穂さんの歌と美しい映像に包まれて本当に幸せでした。
また、cgのキャラデザも良かったです。流石ジン・キム氏。これまでの日本アニメ映画には見られないいかしたデザインだなと思いました。個人的にはベル、ヒロちゃんのアバター、ジャスティンのデザインが好きです。
結論的に言うと、ストーリーに納得いかないところもありましたが、映像と音楽の素晴らしさがそれを上回るので観れて良かったとは思いました。
SNS社会ならでは?
簡単な話の流れとしては「現実世界で自分に自信のない鈴がUの世界で「竜」と出会うことで成長していくストーリー」です。
観終わってすぐはストーリーの軸(作者の意図)を理解するのが難しかったです。
しかし、考えているうちにSNSが蔓延する今の社会に対してのメッセージを感じました。全体としては「普段匿名で何気なく叩いてる相手にも1人間としての背景があるし(すずの母親の死に対して何も知らない人が叩いてるシーンとか)、ネットで荒らし等をやってる人にも1人間としての背景がある(Uを荒らしてた竜が虐待されてたとか)。
そして、ネットで人気な人も特別なわけではなく、その辺にいる普通の女の子と変わらないんだよ。(すずとベルの関係)」ってことを伝えたかったのかなぁ〜と。
終盤では、「現実では自分に自信のない」すずが母親譲りの優しさによって殻を破り、「現実世界」で竜を助けた。ここでは「ネットの世界ではなく現実・ありのままのあなたに価値がある。」というメッセージを感じました。(フォロワーの多い・少ないなどで自分の良し悪しを判断しがちな現代人へのメッセージ?)
書いているうちにまとまりがなくなってしまいましたが、伝わる人に伝わったら幸いです。
最後に、「日本のアニメ映画ってすげー!」と感動するくらい映像が綺麗なので映像だけでも楽しめるかなと思います。
びゆうていあんどびいすと。進化したSWの世界。
細田作品の絵が好きです。
良い部分だけをまとめた個人的な概要
幼い頃に母を亡くし、歌うことがトラウマであるすずが、過去をのりこえる話。
U もう1つの現実
AZもう1つの自分
自分の抑圧されている、つまり潜在能力を引き出す。それは現実でのトラウマであっても。
人を救うために、現実の自分ともがき、葛藤し、苦しむ。それを支えるのが幼なじみの存在。そして、亡き母の面影。
名も知らない子どもを助けることで命を落とした母。納得できていなかった。だけど、知らずのうちに竜を救いたいベルの姿が自然と母と重なっていく。
やがて、人を救うために自分をさらけ出す。
竜は本当の意味の助けるを求めていた。
その奥底にある心に、歌とぬくもりが伝わる。
彼もまた自分をさらけ出していく。
そして、竜は弱さを。
そばかす姫は過去を。塗りかえていく。
Uの世界ではなく、現実世界で。
AZではなく、自分自身で。
深く考えなければ★ ★ ★ ★
深く考えなければ楽しめると思います。例えば、世界中で50億人が利用している仮想世界での話なのに高知ー東京間で物語が解決しちゃう両極端なスケールの対比は何か意味があるんだろうか?とか、世界中で50億人が利用している仮想世界での話なのにたまたま見かけたアバターに「あなたは誰?」なんていう近視眼的な質問するだろうか?とか。
ストーリーは粗いがテーマは良い。映像・音楽は圧巻。
少女の成長物語として一貫性があり、胸を打つ歌と映像美で劇場で観たことを後悔しないぐらい良作だった。
確かに多くの方の評価にあるように、ストーリーには多少の無理矢理感や疑問が生じる点はあったが、主題を揺るがす程のものではなく私は気にならなかった。逆にそういった細かい点も気になる方からは評価が低いだろうなと感じた。
また監督の過去の作品や美女と野獣と既視感のあるシーンが登場するのも事実。しかし主題は全くの別物なのでここも引っかかるかどうかは個人差が出るだろうなと。
印象深かったのは、母親の死に際の呆気なさとラストの分厚い入道雲の向こうから陽の光が顔を出し始めたカット。
余りにも呆気ない母親の居なくなり方が妙なリアルさすら感じると思って見ていたが、物語後半で、遺された誰かを守りたいという意思が切なくも暖かみをもってすずの歌や父親とのやり取りから滲んでくる演出が素晴らしかった。
全てを終えたラストでも、表向きすずの日常には大きな変化は生じておらず、ただ現実世界でも歌えるようになり父と夕飯を共に出来るようになった程度。一見大した変化ではないがUの世界および鈴の内面では大きな一歩であり、それを象徴するような雲の後ろの太陽が美しく、華美でない印象的なラストとしてこの映画の〆に合っているなと惹きつけられた。
☆4はオマケ!監督は責任を感じてほしい
もったいない・・でもベルに会いたい!
映像とルリちゃんだけでもスクリーンで観る価値あり
この映画が語りたかったことを考える
結論から言うと、映画館で見てよかったと思える映画だった。
広大なインターネット空間でのライブシーンは、やはり大スクリーンと音響があってこそ映える。
主人公を演じた中村佳穂さんの歌唱力が物語の説得力、推進力となって話を進めていくのだが・・・。
ただ、大方の感想にあるように脚本は結構首を傾げるシーンが多い。どこが悪いとの考察はさんざん語られているだろうから、今回は細田守監督がやりたかったことに寄り添ってみる。
今回の作品でテーマとなっているのは、「家族」と「SNS社会と現実社会の二重性」の2つである。
すずの母親が他人の子供を助けるために亡くなったトラウマを抱えて、アイデンティティが揺らいでいる。トラウマを乗り越えて見ず知らずの竜を助けに行くと言うところが本作におけるすずの成長である。
また、Uでは歌姫として振舞うが、現実では歌うことができない少女だったすず。アバターではなく本人として歌うシーンが印象的だった。
※以下は妄想です
これを語るにあたって大事なキャラクターがジャスティンと父親だったのではないかと私は考える。ジャスティンは正義の名の下に自分の価値観を押し付けるキャラクターである。
劇中では明示されていないが、ジャスティンの正体は恵の父親だと思われる。ベルが尋問されてジャスティンを睨むシーンと、すずが恵をかばい睨むシーンが重なる。
ただ、このテーマを描くにあたってすずの父親がジャスティンであると良かったのかもしれない。
母親を失って男手一人ですずを育てなきゃいけないというプレッシャーから、すずに厳しく当たってしまう。だんだん心の距離が離れていく。
そんな折、竜が現れて一人ぼっちの自分と親近感を覚え心動いていくすず。
ジャスティンは竜を追い詰めるが、すずが竜をかばう。すずは竜を守るために本人として歌唱する。
ジャスティンである父親はこんなに近くにいたのに気づかなかったとすずが立派に育っていることを知って涙する。
竜の存在はマクガフィンであり、なぜ恵が竜になったかを描く必要はないと思った。
ストーリーには多少の無理はあるものの、美しい映像と音楽で楽しく鑑賞出来た感じ。
現実を生きる高校生のすず。母親の事故死により歌も歌えず控えめな性格に。
SNSの仮想空間で歌った曲で世界中にファンが出来たんだけど、そのネット上の悪者とふとした事から仲良くなり、実際にその人に会いに行く展開に。
物事が上手く進み過ぎた感はあるけど、現実とネット上でのすずの相反する性格が、少しずつ無くなって行く感じが良かった。
何より作品で流れる曲が自分好みでとても良い。
映像とマッチした感じでそこだけでも観る価値のあった作品の印象。
本作で流れる歌は中村佳穂さんと言う方が歌ってるんだけど、すずの声も担当。とても良かった。
他のキャラも声優さんでは無くほぼ役者さんがやってたのも良かった。
最近注目の歌手。幾田りらさんの声もやっぱり良かった(笑)
本作の監督の作品の中でも満足度はかなり高めだった感じ。
自宅近くの多摩川駅周辺が出て来たのも身近に感じられてとても良かったです( ´∀`)
自分は好きでした。
完璧とはいかないかもしれないし、ツッコミどころもあるとは思う。最後の雨の中での一連のやり取りはあまり入ってこなかったけど、大勢が0.5とか1をつけるほど駄作かというとそんなことないと自分は感じました。自分が納得できない点がすべて説明されてきれいに回収されることが良い映画なのかな…とコメントを見ていて考えさせられました。
なによりもすずがオリジンで歌うところなんて歌声や映像の壮大さ・大団円の雰囲気に気持ちがあたたかくなりました。
美女と野獣はミスリード?
上映二日目に映画館で視聴してきました。
CMや、宣伝、ポスターに至るまで押される美女と野獣。視聴後の感想としましては美女と野獣的ボーイミーツガールよりトラウマや重要感に焦点が当てられているように感じました。
細田監督前作、前々作の酷評で相当ダメージ受けたんでしょうね…。
題材での重要感につきましては。
序盤に出てくるYahoo!ニュースのコメント欄並みの母に対する酷評で人と違うことを言う自分カッコいいと言う自己の重要感。Uの治安維持を行う重要感。竜として疑われる人の背景を詮索し自分を優秀だと示す重要感。竜の知り合いだと嘘をつき事情通だと示す重要感。スクールカーストの弱者側にいないことを示す重要感。主人公やキッズの多数派に嫌われている存在を救いたいと思う重要感。
その身勝手な重要感の先にいる他人の気持ちを本当に理解していますか?と投げかけられる序盤と中盤。
終盤、主人公は周囲の人の力添えにより他人と自己の重要感に見切りをつけ、トラウマを克服し人間として成長します。
両作品の対比としまして、美女と野獣のベルは元々人を見た目で判断せずその公平さと聡明さにより人を救済します。竜そばのベルは成長しトラウマを乗り越え救いを求める他者と自己を救済します。
タイトルの竜は登場人物の名ではなく、作中の要素の連想(母→川で水死→寄り神→クジラ→水神→竜)から川で亡くなった母である寄り神であることが予想されます。つまり、本作のテーマは母と主人公の確執であるトラウマ(苦)であります。ベルが歌う際に現れる音響クジラ(鯨鐘)ややけに推されているカツオのたたき(鯨付き)もこれに関する要素であります。
両作品に演出や登場人物など類似点はありましたが、ストーリーとしてはミスリードを誘う要素でした。
没入感を誘う演出や音楽を体感するためにも暗闇で大画面、大音量の映画館で視聴することをお勧めさせていただきます。
現実と仮想世界のギャップを埋めるべくをキャラクター達が駆け抜ける!
仮想世界を通じて自分と向き合い人と接することで成長する物語。
主人公視点で物語は進んでいく。
…こう言うとシンプルだが、個人的には以下の点が優れていると感じた。
①異なるアニメーションで描く「現実世界」と「仮想世界」とのコントラスト
ストーリーには物理的な制限(都会と田舎距離、障害(ワンコの足))、人間関係のしがらみ(親子、友人、社会的な役割)、数多のルール(法律、条例等)に縛られる閉塞感のある現実世界と現実世界の様々な要因から生まれる閉塞感のギャップを匿名アカウントAsによって解消できる仮想世界が存在する。
単調で色彩の鮮やかさに欠ける「現実」と新鮮さ・解放感からくる色鮮やかな「仮想世界」の使い分けが秀逸だった。
②「抑圧」している、されている自分との対峙する各キャラクターの描き方
主人公は母親の事故(本編中では多くは語られないー正確には主人公は語ることが「できない」のであろう(「なぜあの子を助けようとしたの?」と言うセリフ))
をきっかけに母親を想起するもの(父親・歌等)とは半ば無意識に距離をおく主人公が描かれている。
一方、「竜」は「怒り」だけで暴力を振るっているわけではなく、対照に父親からの「暴力・存在否定」と世間からの「孤立感」に苦しんでいた。
この各キャラクターの「抑圧された」心情(悲しみと怒り(「なぜ?」という気持ち)が混在した微妙で難しい感情)やをしっかり形にしているところが素晴らしかった。
③仮想世界を用いて描かれる「自己実現の形の変化」と「アウトプットの大切さ」ー「ベル」と「竜」
(自分が本当に好きなものに気づくこと)+(好きなもので認められること)ことは現代において、多くの人が求めているものであろう。現代における自己実現の形を「ベル」を通じて鮮やかに描かれていてよかった。
対照に父親からの「暴力・存在否定」と世間からの「孤立感」による苦悩をうまく伝えられない「竜」の存在((仮想世界での抑圧されている感情の発散(暴力))+(上手く感情を伝えられないこと)から仮想空間(ネット世界)においても現実世界と同様にアウトプットの仕方が大切であることが丁寧に描かれていてよかった。
④批判、追跡することの意味ー仮想世界での根拠のない否定的な言葉の力はどこまであるのか?
物語で要所要所で出てくる不特定多数からの誹謗中傷の描かれ方が非常にリアルだった。見ていて思わずムッとなるくらいだった。
ただ、自己実現の形が徐々に変化している現代においてこの誹謗中傷はどうしても出てくるものであるし、また一方で正当な手段で自己実現をした人にとって、根拠のない誹謗抽象は何の意味も効力も持たないことを俯瞰的に表現しているのが秀逸で面白かった。
また、途中で警察を自称するキャラがでてくるが、「匿名の解除」を脅しに私的制裁を加える正義のあり方に、やたらと同調圧力を強制するメディアや掲示板のコメント欄と似たような物を感じた。確かにネット上では具体的な法律や違反した場合の罰則がない。悪いことをしないのはもちろんだが、「正義のようなもの」を振りかざし私的制裁をする一個人やメディアには問題はないのだろうか。こういった問題をしれっと描いているところがまた秀逸だった。
⑤自身と他人を受け入れ自己開示、Unveilする勇気
「竜」をもっと知り、そして危機から助けるため、「色鮮やか」な仮想世界の中で自ら本当の自分をUnveilした主人公の描写に感動した。アニメ描写が異なっている点もこだわりを感じた。他者を知り受け入れること、他人の世界に踏み込むことの難しさに対して、仮想空間での権利とも言える「匿名性」を捨ててまで立ち向かう主人公の姿に「勇気」、「誠実」、「愛」を感じた。このときの観客の反応もまた興味深く考えさせられた。ライブ後、仮想世界と現実世界のギャップを埋めに敢えて直接会いにいく描写も良かった。父親からのチャットのシーンからあの母親あっての主人公なのだな、と感じた。
主人公と「ベル」はこのときに初めて一体化し、ラストには現実世界で友人知人と歌えるようになっている姿にまた感動した。
以上である。
及第点としては、主人公が竜に固執するきっかけが薄いように感じたため、ベルと竜の遭遇シーンは別のやり方のほうがいいように感じた。
(事件後に遭遇、手当する→間近で増えていく傷を見る等)
全体的に主要人物の描写が丁寧に描かれており、非常に見応えがある作品になっていた。
また、ミュージカル風になっており、曲調もよく、歌詞もダイレクトに伝わるもので素晴らしい。
改めて次回作が楽しみである。
良かった
美しい画像、音楽、素敵でした。
色々な方々が酷評されたり絶賛されたり、賛否両論のレビューがひしめき合ってます。
『美女と野獣』のオマージュがどうとかこうとか言われたりしてますが、細田監督自身がそうおっしゃっているのでそれをついての酷評はいかがなものかと思いますが…
単純な感想、美しい映像美と中村佳穂さんの歌、素晴らしいです。
彼女のはじめてのアフレコも歌とギャップがあって『すず』と『Belle』のうまい使い分けができてると思いました。映画館の大きな画面、迫力ある大音響で観てほしい作品です。
う~ん、ストーリーについては消化不良で一回目の鑑賞だけでは語れそうもないので差し控えさせてください。すみません
一夜明けての追記
竜を抱きしめて守ろうとするすずの姿、どこかで見たことがあるな~ってよくよく考えていたら『千と千尋の神隠し』で『ハク(竜)』を助けようとする『千(千尋)』を彷彿とさせたんだと今朝気が付きました。見知らぬ子供を助けるため命を落とした母親のことがトラウマだったすずが(ほとんど見知らぬ?)竜を助けようとすることは彼女の成長、殻から抜け出せたことに繋がり、とても深イイ話だと今更ながら思いました。ちょっと流れが唐突な感は否めませんでしたがいい映画なんじゃないでしょうか。今日+0.5しました。
それにしても『未来のミライ』もそうでしたが細田監督作品はこんなにも多くの人々が賛意両論・激論されること、正直羨ましい限りです。(話題にもならない作品が多くある中)いい映画だったと思います。 映画は気持ちよく観たいものです。どんな映画でも!
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