竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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泣きました。
この映画は勧善懲悪ものでもなければ冒険譚でもないし主人公が誰かを救う話でもない、主人公が自分の殻を破って前に進む話です。救われている人がいるとしたらそれは主人公です。
主人公はそれまでの様々な要因から自分に自信が持てない状態でした。BELLEの仮面を脱いで素顔で歌うのも、虐待されている兄弟の元に1人で向かうのも、そんな自分に自身が持てなかった主人公が幼馴染や周りのアシストや後押しがあったにせよ、自分に自信を持って前に進むことが出来たということなのでそういう描写にせざるを得なかったんだと思っています。
最後は1人で虐待されている兄弟の元に向かう必要があったし、虐待親と対峙する必要がありました。確かに表層的な部分を観たら何故幼馴染くんは不特定多数に素顔を晒す様なリスクのあることをさせるのか、何故一緒に付いて行かないのか等、疑問に感じるでしょうが、ずっとアバターのおかげで歌えていたのだから殻を打ち破るには素顔を晒さないと意味がないし、周囲に支えられて歌姫でいられた以上最後の虐待兄弟を救いに行くのは1人じゃないと意味がないのです。
本作は美女と野獣のオマージュであることは明らかです。パクリであれば主人公のアバターをBELLEにはしないでしょう。
一見すると鈴がBELLE(美女と野獣のベル)で龍が野獣の様に描写されストーリーが進みますが、実は鈴がベルであり野獣だったのではないでしょうか。美女と野獣では、最後に野獣は虚飾とプライドで飾った仮面を脱ぎ捨て真実の愛に気付き呪いが解けてベルと結ばれます。
この物語で心の仮面を脱ぎ捨てているのは他でもない鈴なのです。仮面を脱ぎ捨てた時には最早野獣は存在しません。だから鈴が心の殻を打ち破り仮面を脱ぎ捨てた後、兄弟は野獣だった兄も含めて、か弱い被害者としての描写のみになるんだと思います。
主題はあくまでも主人公の心の話なので、それ以外は未解決な描写が残るのは仕方がないと思います。そもそも映画の中で全てが說明されないといけないわけでもありません。あの後どうなったんだろうかと思いを馳せたり、あれはどういうことなのだろうかと考えさせられたり、それも映画の醍醐味だと思うのです。
確かに細かい部分では色々気になる点はありますが、個人的には枝葉の話かなと思いました。
ただ、正義の名の下に行われる暴力やSNS時代の大衆の理不尽さ、子供に対する虐待といった現代社会の抱える課題的な部分、同級生の恋愛、等々、様々なテーマを多数詰め込みすぎた様な感じがするのは否めないかなとは思いました。
最後に、絵も音も素晴らしいので是非劇場で観てください。
レビューは気にせず見た方がいいです。
鑑賞前にネタバレも含めてこちらのレビューを沢山読ませていただきました。
あまりにも低評価が多いので、鑑賞をやめようかとも思いましたが、自分の目で確かめようと思い、13歳の息子を誘って観てきました。
感想ですが、多くの方がおっしゃってる通り、「そんな簡単に竜の本人や家が見つかるわけないじゃん!」というのは理解できました。
でも、私は許せちゃいました。
逆に「テンポ良くていいね!」とまで思っちゃいました。
私のおすすめ点は、すずがUの世界でアバターではない本当の自分の姿をさらけだして歌うところです!
「君の名は」のような「やっと2人会えたね!」みたいな感動のシーンではないのですが、幼少期に亡くなったお母さんのことや自分のこれまでの苦悩など全部の想いを込めて歌うシーンで涙が出てしまいました。
ちなみに息子は、「竜の少年の問題解決してないよね?」と冷静なコメントをしていました。
確かに映像にはありません。
でも、映像には出てこないけど設定されている点が沢山あるのだと想像します。
DVのお父さんがどうなったのか。
竜だった少年と弟はどうなったのか。
どのように解決したのか。
分かりませんが、それは見た人それぞれが想像すればいいと思います。
それで息子と帰り道に「こうなったんじゃない?」、「いや、こうじゃない?」と会話が膨らみました。
私は細田監督の映画が好きで毎作品見ています。
特に好きなのは「おおかみこどもの雨と雪」です。
今回の作品も、戻りたくても戻れない甘酸っぱい青春時代の男女の気持ちを思い出させてくれ、さらにUの世界の音や歌、映像の美しさで感動をいただきました。
この作品は「戦い」や「ジェットコースタームービー」とは違うジャンルの作品で、ハラハラドキドキを楽しむ映画ではありません。
他人の人生を見て、それとは違う自分の人生と対比し、共感する作品だと思います。
どうしてすずちゃんのお母さんは、自分が死ぬかもしれないのに、自分が死んだら自分の子供が悲しむのに、他人の子供を助けに行けたのだろうか、自分があの場面で躊躇なく川に入っていけるだろうか、と自問しています。
見終わって、想像したり、考えたりできる映画っていいですね。
私はもう一度見たいと思っています。
細田監督、スタッフの皆さん、素晴らしい映画をありがとうございました。
綺麗だった…
そもそもサマーウォーズも突っ込みどころだらけよ?
映像表現への挑戦とそのクオリティに関しては言わずもがなな、細田守さん。
snsの匿名性からくる「無責任さ」「暴力性」が目立ちすぎてsns自体が良くないものと世間のおじさんたちに言われる世界で、
利用者が責任を持てば、その「利便性」と「エンタメ性」を最大限に引き出し、見ず知らずの人にも善意の手を差しのべられる。という現代で必要なテーマを描いている。
仮想現実の派手な映像と対照的な確かにそこに実在しそうな現実世界が印象的で、おおかみこども等でもあった、セリフじゃないデティールにこだわった非言語的な説明はさすが細田守。
音楽を感動の中心に置くことは映画にとってはかなり博打ではあるが、そこも最低限クリアしてみせた。
この作品の賛否こそが作中のbellへの賛否のメタファーになってきているので、もっと盛り上がれ!
IMAXで見てよかった
IWAXで鑑賞しましたが、音楽と映像の迫力が圧倒的でした。
ストーリー展開やキャラクターの心情表現については、唐突すぎて「ん??」となったり、自分の価値観では素直に飲め込めないところもありました。しかし、それでも映画の世界には入り込めましたし、ラストも感動して泣けました。
冒頭からサマーウォーズを彷彿とさせる場面が連続しますが、映像技術的な面だけでなく、作品としてのテーマも現在に適応させたものになっていたと思います。それについても自分は好印象です。シンプルな青春映画も好きなので、そういった話をもう少し見たかったという気持ちもありますが、、
前作の「未来のミライ」が個人的にはあまり合わない作品でしたが、今作は見終えた時にある程度の満足感はありました。
他の方のレビューをみても、やはりこの映画の魅力は映像と音楽だと思います。なかなか難しいこともあるかと思いますが、可能な状況であれば、気になってる方は是非映画館で見ることをお勧めします。
ミュージカル
率直に言いますと面白かったですし、感動しました!
何をもっても映像と歌、音楽、それだけでも評価高いですし、観に行く価値はあるのではないかなと思いました。
また歌が中心でミュージカル調です。自分はミュージカル大好きなのですごく良く感じました。
ミュージカルに馴染みのない方にはもしかしたら歌が長く感じたりするのかもです。
また、ベルが竜に惹かれるシーンがありますが
恋ではなく自分に似た物を感じているように思いました。ベルに似て心に何かを抱えてる。
強いて言うならば心に闇を感じているからこそ
竜のことが気になったのではないかと!
現実には気になる男子がいましたからね!
最後は少しテンポが早く、んーと思ったので
4にしました!
肯定的なレビュー
また観たいと思うってことは、、、
映像美と音楽の良さ!満足です。
まず、これは見る人を選ぶ作品だと思いました。低い評価をつけている人は脚本に対する評価がほとんど。正直、ストーリー展開に関しては、途中で「ん??」と思うところが結構ありました。脚本重視の人には刺さらないと思う。
私はグラフィックの美しさに感動しました。
キラキラした星空はプラネタリウムみたい。夏っぽくて良かった。
クライマックスで歌うところで、金色の光がどんどん灯っていくのもキラキラして好きだった。
夏の田舎の風景は写実的で、実際に田舎に行った気分になれる。雨の中の山々などの表現がリアル。
あと東京に行ってからの街並みも得意な感じで、上手で良かった。
興味深かったのは、色々な表現を組み合わせていたところ。
仮想世界ではわざと線を二重にして、やや酔ってしまいそうな描き方なんだけど、仮想感出てた。と思いきや浮世絵のような2Dのグラフィック表現が合わさっていたり。そのあたりが、写実的な現実世界との対比があり興味深い。
(自分がデザイナーなのもあり、そういう気づきがあったのが面白かった)
あとやっぱり音楽が良かった。millennium paradeはさすがのかっこよさ、劇中歌の他の曲も全部良かった。なんと言っても中村佳穂の声が綺麗。世界観とあってた。
ストーリー展開は唐突で謎なとこもあったけど、仮想世界の話なのにかなりリアルな現実が描かれているのが良かった。虐待のあたり、リアル。まさかの展開だった。
田舎、仲間、おばあちゃんみたいなサマーウォーズっぽい要素もあって、そこの対比も楽しめた。
まぁ龍がいきなり好きだよと言ったり、しのぶくんはかっこいいと思ってたのに最後よくわからん立ち位置で終わったり、謎展開多かったけど、自分はそこは流せた。
あ、龍をやっつけようとしてた金髪ムキムキキャラの正体を知りたかった。あのキャラいらなかったと思う。。
ネット用語わからない人にはよくわかんない内容かもなーとは思った。BBAとか出てきたしwあとオリジンって表現も一般には理解されなそうな…専門用語ちっくなのは多かったので万人受けはしなそう。
あとアンヴェイルしてやる!とか何度も出てくるんだけど、オウムのポアしてやる!みたいだなって思ってたw
今回は大好きな常田さんの音楽とイギリスの建築家が作った仮想世界のデザインを目的に見に行ったので、個人的には想像以上に面白かったので大満足でした。
虚構の力と、現実の力
とある心理関係のワークショップにおいて「仮面のワーク」というものがあった。
自身で仮面を創作し、最後はそれを着けて舞台でフリーダンスを踊るというワークだ。
目的は、仮面を作る段階で己と対峙し、素では表現できなかった思いを、仮面を通して開放するというものだ。
考えるとインターネットは、アバター操る「U」の世界は、そんな「仮面のワーク」とよく似ている。
だからして現実では得られない癒しが行われたり、力を発揮できたりするのだろう。
しかし一方でそれはやはり素では、現実世界では発揮が難しいことに変わりなく、
現実へ漕ぎだすための「糸口」でしかない、という弱さを併せ持つことにもなる。
本作は設定等、少々粗くて荒いと感じている。
その点から見てもファミリー向けというより、子供向けという印象が強い。
だが虚構と現実が混然一体とした日常を送るデジタルネイティブ世代をターゲットに創られたためだからだ、と思えば、納得できなくもなかった。
なぜなら最後、主人公が決断して現地へ向かったように
虚構が癒し、能力を拡張したとしても、
本当の勝負は現実にあり、
本作の打ち出したかったメッセージはそこではないか、と感じたためだ。
両の世界を平等に行き来するデジタルネイティブへこそ伝えたかったのであれば、小難しい理屈合わせより興味を持ってもらえるような分かりやすさを優先しても間違いではないだろう。
虚構と現実の強みに弱み。
今後ももっと、インターネットとの付き合い方をテーマにしたこのような作品が多く創られていってもいいんじゃないか。
本作にふと思った。
色々オマージュ探しも面白いし、楽曲も良い。
近頃、目につくクジラはアイコンなのか、ブームなのか。ちょっと知りたい。
仮想現実のリアルさは現実より怖い物がある
最初、主人公と父親との関係が観ていて、あまりにうーんと思ってしまいましたが、母親を亡くして、まだこの歳なら仕方ないのかと思ってしまいました。
場面の切り替えが早いので説明とかなくて分からない部分があっても、とにかく最後まで観れば分かるだろうという感じでした。
映像と音楽は綺麗です、仮想世界って凄い、Uの世界に魅了されても当然という感じで酢が、あまりに綺麗すぎて、好きな事ができるという言葉にドキドキです。
でも大人の自分は学校生活を送る主人公達を見て、でも現実も悪く亡いと思ってしまうのです。
勿論、良いことばかりじゃないと思います。
仮想世界の中だから嘘をついて自分を良くみせて虚飾、虚構だけど、それでもいい気持ちになっている人達、でも、現実でも多々あり、そんな人は沢山います。
子供達に暴力を振るう父親が彼女から逃げてしまうのは、一見何故、大人なのに男なのにと思うのですが、自分の行為がよくないと知っているから、これから自分に降りかかる現実を、この時になって・・・・・・と自分で解釈しています。
周りの合唱団の大人達のアバターも気になるし、主人公の恋、父親との仲、映画が終わった後の事が気になります。
映画を見る前は分からなかったのですが、ああ、ヒロインはそばかすだからかと納得です。
細田作品で1番!
誰しも自分以外の存在になりたいけど、誰かの心を動かすのは本当の自分
サマウォや時かけを彷彿とするシーンが結構あった。
多少強引だったり、なんでそうなった?ってところもあったけど、伝えたいメッセージに胸を打たれたし見終わった後に勇気をもらえたから私は好きだ。
誰かを助けたいと心の底から思って初めて、なぜ母が自分を振り切って知らない子を助けにいったのかを知る
娘の必死の制止を振り切るなんて大切じゃなかったのか、置いてかれたような孤独感を抱えていたスズ。でもこんな気持ちだったのかと知ることで、母の気持ちと愛を知る
母は娘が大切だったからこそ、娘と同じくらいの子を必死に助けたかったんだ
自分と似たような孤独を持った竜を助けたい、大切だと思う自分と同じように
そしてそんな自分に父は「お母さんが育てた優しい子だよ」と言う
自分の中に母が生きた証みたいなものを感じる
誰かを救うためには、自分を認めなくては他人に認めて、信じてもらえない
誰かを救いたいと必死になることで、過去の自分が救われることがある
自分ばかりに目を向けていては抜け出せなかった、他人のために動くことで救われたのがよかった
でもだからこそ肝心の、竜の孤独に共感したりまず興味を持つ説得力がなくて、なんでこの子はこんなに竜を追うんだろう?竜もなぜこの子を助けるんだろう?っていうのがいまいちピンとこない
仮想世界という逃げ場所をしっかり持って、そこで自分を少しずつ解放して受け入れられることで自信を取り戻して、本当の自分に帰ってくるのはすごくいい
誰かの胸を打つのは、魅力的な容姿でもなく、元から持ってたあなたの心の中にある本質なんだよ、って伝えてくれるのに勇気をもらえる
だからこそ、かなりコンプレックスのある本当の自分をさらけ出してまで竜を助けたいのはなんでだ??そこまで大切になってたっけ??ってとこがピンとこなくて惜しい…
歌がとにかくすごく好き!声が綺麗で切なくて胸を打つし、映像は本当に美しい。自分も行ってみたくなる。キャラデザもすごくかわいい
くるくる変わるドレスも素敵だった
正直幼なじみの男の子ご都合だな〜とか、DV父親ひるむの早いなーとか、歌って竜を呼ぼうとするときみんながなんで応援したんだろーとかあるんだけど、よかった
父親はあそこで怯むことでまだ人の心があるっていう救いかもだしね…!
いい意味で予想を裏切られた。
予告編の映像から、実際に作品を観るまでは「サマーウォーズ」のバージョンアップ
プラス「美女と野獣」みたいな感じかなと思っていたけど、
作品の後半はまさかこういう問題を扱ってくるとは思わなかった。
正直、軽く見てました。初めは。
「U」の世界と現実社会の風景の違いや、細田作品の中で、
印象的なシーンで多く使われる「青空」は今作も素晴らしかった。
声を演じた方々も、すごく合っていて、特に「ヒロちゃん」を
演じた「YOASOBI」の方。一番はまっていました。
「鈴」を演じた中村さんの歌声は聞き惚れるぐらいでした。
「鈴の父」の声を演じた役所さんの声は、優しかった。
あの声での鈴とのやりとりは、泣けてきました。
若い学生さんたちに観てほしい、作品です。
高知を介して描かれる懐かしい下校風景
現実とバーチャルの世界を行き来する少女。映画が示す2つの世界に隔たりがあればあるほど視覚的な振れ幅は大きくなり、観客はアニメーションならではの落差を楽しむことができる。特に今作の場合は。不規則な7月4連休の最中、久々に足を運んだ劇場はソーシャルディスタンスを守った上でほぼ満席状態。終映後、「いやあ、なかなか凄い世界観だったね」とか「お父さんの声は役所広司だったんだね」とか、口々に感想を言い合いながらはけて行く観客たちの波に揉まれながら、映画体験を共有する至福を感じていたのだった。
なぜ劇場に足を運んだかと言うと、現実世界の舞台がわが故郷、高知を舞台にしているからだった。高知の自然に魅せられたという細田守監督は、実は四万十川より透明度が高い仁淀川の透き通るようなブルーや、沈下橋から眺める山間の村等を、ほぼ克明に再現している。しかし、それらは言わば観光地・高知の看板ショット。筆者が驚いたのは、高知市のど真ん中を流れる鏡川南岸から望む、時間毎に表情を変える市内の様子を背景に取り入れていること。学校帰りのすずやしのぶくんやカミシンが語り合いながら川辺を歩く姿を見て、少年時代の自分を思い出した高知県人はたくさんいると思う。
7月のカンヌ映画祭を大いに沸かせた本作の魅力は、バーチャル空間で起きるドラスティックな展開は勿論、いやむしろそれ以上に、高知を媒介にして描かれる懐かしい下校風景にあるのではないかとすら感じる。あの学校と家の間にある、2度と戻らない心ときめく不思議な時間に。
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