劇場公開日 2021年7月16日

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「虚構の力と、現実の力」竜とそばかすの姫 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0虚構の力と、現実の力

2021年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

とある心理関係のワークショップにおいて「仮面のワーク」というものがあった。
自身で仮面を創作し、最後はそれを着けて舞台でフリーダンスを踊るというワークだ。
目的は、仮面を作る段階で己と対峙し、素では表現できなかった思いを、仮面を通して開放するというものだ。
考えるとインターネットは、アバター操る「U」の世界は、そんな「仮面のワーク」とよく似ている。
だからして現実では得られない癒しが行われたり、力を発揮できたりするのだろう。
しかし一方でそれはやはり素では、現実世界では発揮が難しいことに変わりなく、
現実へ漕ぎだすための「糸口」でしかない、という弱さを併せ持つことにもなる。

本作は設定等、少々粗くて荒いと感じている。
その点から見てもファミリー向けというより、子供向けという印象が強い。
だが虚構と現実が混然一体とした日常を送るデジタルネイティブ世代をターゲットに創られたためだからだ、と思えば、納得できなくもなかった。
なぜなら最後、主人公が決断して現地へ向かったように
虚構が癒し、能力を拡張したとしても、
本当の勝負は現実にあり、
本作の打ち出したかったメッセージはそこではないか、と感じたためだ。
両の世界を平等に行き来するデジタルネイティブへこそ伝えたかったのであれば、小難しい理屈合わせより興味を持ってもらえるような分かりやすさを優先しても間違いではないだろう。

虚構と現実の強みに弱み。
今後ももっと、インターネットとの付き合い方をテーマにしたこのような作品が多く創られていってもいいんじゃないか。
本作にふと思った。

色々オマージュ探しも面白いし、楽曲も良い。
近頃、目につくクジラはアイコンなのか、ブームなのか。ちょっと知りたい。

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N.river