「とても惜しい作品」竜とそばかすの姫 Ellさんの映画レビュー(感想・評価)
とても惜しい作品
仮想現実の世界と歌はもう申し分ないぐらいに素晴らしいのですが、全体のペーシングと現実パートの描写が残念すぎて世界観に没入しきれないのが本当に残念でしかたありません。
こういう映像美の作品だと、製作時か編集段階で「もったいない罠」にハマってしまうことが多く、この作品も切るべきところに尺を使いすぎて、流れが悪い箇所が随所に見られます。
「あ… あかん、ここひっぱりすぎ。ダレる」と、現実に引き戻されてしまったことが何度か。
現実パートの脚本は十分に練られていないのか、ありきたり過ぎると感じてしまいます。また、最後あたりは尺が足りなくなってきたのか、脚本が十分練られていないのか、リアリティーに欠ける解決方法が示され、興ざめになってしまうのです(女の子一人で送り出すか?とか、そんな都合良く簡単に見つかるわけないだろとか、結局何しに行って帰って来たのかよく分からないとか、色々)。後、現実パートの下手くそな少女漫画的な流れはいらなかったと思うのです(現実世界の主人公の魅力が描き切れていないので説得力がないし、いらぬ尺を取る。もっと竜に重点を置くべき)。
でも、仮想世界のベルと竜のキャラクター造形は素晴らしいし、歌と声はピカイチです。
特に歌は本当に素晴らしい。
曲も素晴らしいけれど、情感たっぷりに歌う歌手の方も本当に素晴らしかったです。
鈴の声を当ててる方と同じなのかな?(声の演技はちょっと棒ですが…)
もう少し現実パートが無難にできていたら、歌を聞くためだけに何度でも映画館に足を運ぶのに。残念。
でも、一度は映画館で見ても損はありませんので、ぜひ。
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