「ストーリーの点ではめちゃくちゃ消化不良なれど、楽しかった!」竜とそばかすの姫 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーの点ではめちゃくちゃ消化不良なれど、楽しかった!
ものすごく大きな期待を秘めて観てしまいました。なのでレビューがちょっと冷たいかもしれないけど、もちろん及第点なんだと思います。観てみてね。
スタジオ地図の描くキャラクターは好き。
ただ、本作は、どのスタンスで観てよいのかわからなくなっちゃった。
観る前の主な関心事は下記の3つ。
1.「母は、なぜ名前もしらないあの子を助けようとすることを選び、私を置いていったのか」という主人公のトラウマとそれによって人前では歌えなくなってしまった主人公がいかにそこから脱するのか?
2.竜は誰で、なぜ「U」を破壊しようとするのか? どんな背景が竜の強さを産み、なぜ主人公とだけつながるのか?「U」の「正義を守る人たち」との拮抗関係はどうなるのか?
3.予告編で繰り広げられる「U」というバーチャル世界の描き方と、「美女と野獣」をリスペクトしているらしいシーンの数々。
4.細田監督だからということで期待してしまう、青春物語。
いずれも本作の中でちゃんと語られている。語られているんですが、どうつながっているのかがピンとこないまま、エンディングを迎えてしまった感じ。う~む。ストーリーの点では、めちゃくちゃ消化不良。
オープニングの「U」の説明は、コンパクトかつ明瞭で、すばらしいものだったと感じました。「最初に視覚が制御下に入ります。続いて四肢の・・・」とナレーションされる "ボディシェアリング" 技術の説明かっこいい。
主人公の歌は話題になっている中村さんで申し分ないし。
ストーリーではなく、めくるめく「U」という世界のきらめきと、そこでの主人公Bellの歌声を、ただひたすらに楽しむべき映画だったのかもしれない。特に中盤にある(CGでは難しいとされている)「水の表現」をふんだんに画面に使って描かれる、Bellが行うコンサートの映像は圧巻。こうした部分を十二分に楽しむスタンスで観た方がよかったのかな、といまは感じています。自分はストーリーを追おうとしすぎたのかもしれない。
2021/8/20 追記
現実世界での、秘めた思いや潜在能力が「U」では発現する、という設定をちゃんと理解して観ることが重要なんだと、喫茶店の隣の席のカップルの話が漏れ聞こえたおかげで、この映画を少し理解できた気がした。「龍」も「姫」も、秘めた思いや潜在能力の発現の象徴なんだね。ありがとう、隣の席のカップル。でかい声で話してくれてw