劇場公開日 2021年7月16日

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「細かな解れが気になるもののインターネットのリアルを取った世界は上手い」竜とそばかすの姫 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0細かな解れが気になるもののインターネットのリアルを取った世界は上手い

2021年7月23日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

初めての細田守作品。またネット物らしい…なんて思っていたけど、割とリアルで面白かった。ただ、細かなところの粗さが目立った印象。

ネットの秘匿性とそれによる正義のナタを振りかざす分断をリアルに汲み入れた世界観はお見事。主題として回しつつ、擬態化されたキャラクターによって痛みを軽減する。そのバランスとアニメらしいポップさは観ていてクセになる。また、アニメの中のリアルな世界でも、悪そうな顔をしたり露骨に照れたりする、豊かな表情と空気感は結構好み。

その一方で、前評判にも上がっていたようにちょっと中盤の拙さは気になった。抱えているものにしては描けなかった気もする。照れまくるあのシーンとか、今泉力哉監督を彷彿とさせる固定された画角で面白かったし、最後のドラマも無理はあるが悪くは思わなかった。割と真っ向から描きすぎた節もあると思う。

中村佳穂はいわばベル同様、拾われた存在。そこまで上手くないけど、こういうタイプの歌姫は確かに感動的。ただ、幾田りらが嬉しい誤算なのかハマりすぎていて、持って行った気さえしてくる。よき友達である一方、悪巧みの機転も効くあのキャラがうますぎ。成田凌の落ち着いた声も染谷将太の愛らしいキャラも堪らない。逆に玉城ティナと役所広司が分からなかった。相変わらず役者の層が厚い。

細かな解れが気になったものの、いい話として受け入れられた。いろいろ観れるから旧作も漁ってみよっと。

たいよーさん。