劇場公開日 2021年7月16日

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「サマーウォーズ越えならず」竜とそばかすの姫 プールサイドさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0サマーウォーズ越えならず

2021年7月21日
iPhoneアプリから投稿

細田守監督と言えば"仮想世界”。
『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』『サマーウォーズ』でその印象が強い。
そして今作も仮想世界"U”が舞台ということで非常に楽しみにしていました。
結論から言うと、う〜ん…という感じ…

冒頭は『サマーウォーズ』そのもので、それはそれでテンションが上がり良かった。
主人公すず/ベル(中村佳穂さん)の圧倒的な歌声で始まり、一気に観客を取り込んでいった。

ただ、全体的に話の展開が急というか無理矢理な感じがして、特にすずに全く感情移入することができなかった。
内容を詰め込み過ぎて大切な心情の変化・成長の過程が疎かになってしまっていたなと…
"こういうの面白い!”って広げた風呂敷が大き過ぎて、全然畳めていなかった。

前述で触れた冒頭シーンや母が亡くなった時のすずの表情など、これまでの細田作品を彷彿させるような描写への気付き、お馴染みの積乱雲や赤面したキャラクターは見ていて楽しかった。

今作で自分が1番気になったのが"U”の中にいるキャラクターたちの輪郭線。
今までだと異世界を表現するのに、それらは朱色で描かれている。
もちろん今作もそうなのだけれど、これまでと比べて黒に近いように感じた。
これは異世界がまさに"もう一つの現実”になりつつあるという細田監督の示唆ではないかと勝手に思っている。
第三者の声が多く使われているのも現代のSNS背景を映し出しているようで、『サマーウォーズ』からの時代変化を感じられて良かった。

改めて感想を言うと期待には遠く及ばず。
『サマーウォーズ』越えならず…

プールサイド