劇場公開日 2021年7月16日

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「素晴らしい絵と音楽と世界観、なのに少し残念なストーリー」竜とそばかすの姫 callさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5素晴らしい絵と音楽と世界観、なのに少し残念なストーリー

2021年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

圧倒的な映像美。この一言に尽きる作品です。
現実パートの自然の美しさと、仮想世界の描写に圧倒されます。
華美さをうりにしていないシーンであっても、背景の一コマ一コマの緻密さに感動を覚えました。
登場人物達の個性も立っているので「これダレだっけ」って混乱することもありません。
「天気の子」でも感じましたが、これは音楽を壮大に彩る凄まじいクォリティのミュージックビデオです。

一方で。
ストーリーがちょっと残念。
分かりにくいとかではなく、これだけの映像とこれだけの壮大な世界観、裏にものすごい設定を用意して、
思いきり風呂敷を広げた後、実際に展開されるお話はがすこし尻すぼみ(悪く言えば「え、これだけ?」という感じ)
逆に言えば、もしこれがミュージックビデオならばこんな壮大なストーリーを用意してくれてありがとう、です。
2時間以上の映画を見に来てこれはちょっと悲しい。

また、あくまで自分だけの好みの問題ですが、Uの世界のアカウント達の見た目、特にベルの絵柄が好みではありません。
サマーウォーズのナツキのアバターみたいな見た目のほうが嬉しかったな。

また「いま、Uって言ったの? 竜って言ったの?」というシーンがちらほら。
これは声優さんの技量というより、主要登場人物と世界の名前の発音が近いという設定ミスだと思います。
極論、Uである意味が映画の中にはなく、それならOzでいいじゃん的な。

総合的な感想として。
映像はこの上なく美麗で繊細で素晴らしく、音楽は力強く、
しかしストーリーは綺麗にまとめようとして小さくまとまってしまったという印象の作品です。
これは多分、金曜ロードショーで地上波放送されるとしてももう一度見ようという気にはなれない。

call