「弾丸特急ジェット・バス」1秒先の彼女 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
弾丸特急ジェット・バス
クリックして本文を読む
愛らしい映画だと思う。
タイトル(原題「消失的情人節」)の仕掛けも面白いし、スーパーインポーズの入れ方も洒落ている。最初はこの娘が主演?とちょっと微妙だったけど、くるくる変わる表情を見ているうちにどんどん愛らしくなってくる。
ただのせっかちな女とのんびりな男の話が、無理筋なファンタジーに転化する。例の現象はどう見ても“時間”が止まったのではなく、“動き”が止まっているだけだ。波は寄せたり返したりしているし、風もそよいでいる。何なら人物を移動できるのもおかしいし、バスを走らせているのも同様。のんびり君の余禄が積もり積もってという説明もよくわからないが、彼女を送り届けた朝に、もう一度バレンタインデーを迎えるとか独白していたので、彼以外の停止していた人々にとっては消えた一日はなかったことになる。主人公だけバレンタインデーが消えたのは、彼の逆で時間感覚が速かったせいということなのかもしれないが、そのへんがあいまいだ。
彼女の失った一日を見せる後半は物語が停滞してしまい、片思いの彼の暴走を延々と見せられているだけなのがつらかった。
ラストのカウンター越しの涙の輪唱には、こちらもつられて号泣。それでも全体的には相殺して辛めの評価になった。
ビージーズの“I started a joke”は心に沁みるいい曲だ。
コメントする