「姫が全ての優し過ぎる父。実はカッコいい!」劇場編集版 かくしごと ひめごとはなんですか Tonkiさんの映画レビュー(感想・評価)
姫が全ての優し過ぎる父。実はカッコいい!
後藤可久士が隠していたことは、姫に対しては下ネタ漫画家であること。姫がイジメの対象にならないように。
彼が背負っているもの、姫の母親にまつわること、彼自身の生い立ち、義理の父との確執、漫画家としての自分のありかた。
それらをも隠して、抱えながらどんな時も姫のことを考えて行動する。
実はめちゃめちゃカッコいいお父さんだよねー。
そんな父親に育てられた娘。優しく素直な娘に育たない訳が無い。姫も可久士のことを一番に考える。七夕の願いごとにそれが表れている。
そうして成長した姫が、可久士を救う(記憶を戻し、漫画家復帰)。
大瀧詠一さんの名曲「君は天然色」の一節の通り。
“思い出はモノクローム、色を付けてくれ″
モノクロの母親の記憶に娘が色をつける粋な演出のエンディング。
いい話でしたぁ。
可久士の妻に対する愛(10年間自腹で捜索依頼)を考えると、
「生きているかもしれない」
という思考(思い込みが激しい性格)が
彼を落ち込ませることなく、目の前の
自分の娘、姫と常に向き合えた根底にあるように思う。
先立った奥様は天国からどのような気持ちで見守っていたのでしょう。きっと、
この人と結婚して良かった
と思ったのではないでしょうか。
可久士は下ネタ漫画家、ストーリーは親子愛、ここをうまく繋ぐのが、脇である可久士のスタッフ。作品のバランスを絶妙に保たせている。
編集者の五月の存在がしんみりさせ過ぎず、イラッとさせる言動が路線を元に戻してくれる。そして、羅砂の可久士に対する理解とサポートはもはや愛としか思えない。
最終的にはくっついて欲しい、と思うのは自分だけであろうか?
総集編的な構成を1時間半弱の中で上手くまとめているので、完全初見でも楽しめますが、細かいエピソードが入ってくるため、ニンマリするにはテレビアニメをチェックする必要があるかな。