「似てない姉妹」ずっとお城で暮らしてる 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
似てない姉妹
おそらく誰もが見たことがある真珠の耳飾りの少女というフェルメールのゆうめいな絵がありスカーレットヨハンソンで映画になっている。ヨハンソンはすてきだが真珠の耳飾りの少女には似ていなかった。タイッサファーミガを見たとき真珠の耳飾りの少女を思い浮かべた。(絵を見てタイッサを思い浮かべた──のかもしれないが)似ている。と思う。
無化粧になるほど無国籍感がでてくる。あだっぽい姉(ヴェラ)とちがいナイーブな印象があるが、映画出演頻度は高くない。本作もタイッサファーミガのクレジットに惹かれて見た。のだった。
ところでヴェラファーミガとタイッサファーミガは年齢が21歳はなれているが、おなじ父母から生まれた姉妹である。と知ってびっくりした。げんじつに娘にしか見えない妹である。ファンキーな親御さんですねえ。ネットに幾つも並んでる写真がある。そんなに(歳が)離れていりゃ楽しいだろうなあ──と想像してみるが、じっさい楽しそうなツーショットが多い。
著名な小説の映画化とのこと。アレクサンドラダダリオも出ていて華やかだが、映画は凡庸。そもそも二人は映画内で姉妹の設定にもかかわらず全く似ていない。出演者に罪はないがスラヴ(ウクライナ人)のファーミガと、がっつりゲルマンなダダリオを姉妹とした設定がすでに限界だった。
原作者のShirley Jacksonのウィキを見て、繰り返し映画化・ドラマ化されているThe Haunting of Hill Houseの作者であることを知った。「たたり」や「ホーンティング」などの邦題があり、最近もNetflix版があった。
屋敷にまつわる呪われた歴史という主題は本作We Have Always Lived in the Castleも同じだが、映画にはオカルト感がなく時代考証も希薄で、タイッサファーミガのひっつめ髪だけが主張する映画になっている。
imdbにはimdbランクというものがあり、検索率を加味したポピュラリティの値らしい。アレクサンドラダダリオのランクが一ケタ(2021/08現在)だった。にしては来歴にB・C級の映画出演が並んでいて「もっと選んだらどうよ」と思わせる。青い目がいたずらに主張してあんがい浮く傾向がある女優だ(と思う)がAdam Devineと共演したループコメディWhen We First Met(2018)は楽しかった。