劇場公開日 2022年1月21日

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「人生ゲームみたい」TUBE チューブ 死の脱出 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人生ゲームみたい

2022年1月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 不条理というより、これほどヒロインに対して容赦のない作品も珍しい。常に緊迫した状況で疲労と苦痛に苛まれる中、残った体力を振り絞って脱出を図るリサ。子供の年齢から察するに30代後半くらいと思われる年齢設定もいい。元気いっぱいの20代でもなく、体力の衰えを感じ始める40代後半でもなく、瞬発力や柔軟性を発揮できるだけのスタミナが残っている年齢だ。
 最初に目覚めたのは道路に真横に寝そべっている状態だ。次にチューブの分岐点の中で目覚める。演じた女優さんは、かなりでかくて見栄えがする。しかしでかいだけにチューブが狭くて動きづらそうだ。逆にそれが狙いで、でかい女優さんを選んだのかもしれない。
 目覚めたときには状況は不明だった。チューブがなぜ存在するのか、誰が作ったのかも不明である。光る大きな腕輪にはタイマーが付いているが、意味はわからない。とにかく行ける方向に進む。分岐点を超えるとトラップが襲ってくる。ひとつ間違えば死んでしまうようなトラップばかりだ。
 ときにはホッとする場面もある。眠って夢を見る。現実に引き戻される。いや、これが本当に現実なのか。ヒントを見つけたような気もするが、それが正しいのかわからない。そもそもこの状況に正しいも何もない。突然落下する。見覚えのある分岐点だ。
 進んだら罠や罰則、時にはボーナスがあって、更に進むと、振り出しに戻ったりする。まるで人生ゲームみたいだ。あれ?、ということはこれは、もしかして、人生?

耶馬英彦