劇場公開日 2021年2月5日

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「問題の整理」シンクロニック R41さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5問題の整理

2024年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

SFに分類されるようだが、ファンタジーの方が濃いように思う。
合法ドラッグによる連続した錯乱死が起きている街が舞台
その原因のシンクロニック
主人公の救急隊員と合法薬物を作った科学者との出会いは良かったが、それを服用して幻覚を見て死者が出ている状況にもかかわらず、スティーブには問題が生じない。
それらしい説明を科学者が話すが、その内容はよくわからない。
脳に対する薬物の効果と松果体との関係
狂うのは松果体が石灰化した大人だけということなのだろうか?
松果体がまだ生きている子供は、時間を乗り越えてしまう。
時間こそ幻想というのはわかる。
だがこのSFは、脳の本来持つ特殊能力で時間をさかのぼることができると言っているのだろうか?
この根幹設定がよく理解できなかった。
ここが明確でなければSFにはならないように思う。
また、どうしても理解不能なのが場所と時間の関係だ。
それらは関係あるにもかかわらず、ブリアナは何故南北戦争のさなかにいたのだろう?
何故、南北戦争だったのだろう?
また、石器時代やアフリカ奴隷がアメリカに連れてこられた時代背景は、あの作品の何を象徴したのだろう?
そして最後は無事ブリアナを現在に戻すことに成功したが、スティーブは戻ることができなかった。
このために南北戦争という背景なんだとわかるが、そもそも帰れないことを前提としてすべてが描かれていることがどうしても否定できない。
これが粗、または雑なのだと感じるところだ。
また、
ブリアナがいなくなったという大問題が、いつの間にか夫婦間の亀裂問題に移動している。
つまり焦点がぶれているように感じてしまう。
結局スティーブが犠牲となることでこの物語に終止符が打たれた。
SFがファンタジーでも問題はない。
主人公が犠牲になることも悪くはない。
テンポもよかった。
ただ、
スティーブの脳腫瘍と余命宣告 ブリアナの謎の失踪 夫婦間の亀裂 ブリアナの妊娠と将来の問題 合法ドラックの問題
基本的には面白いのだが、解決すべき問題がテンポよく整理されていかないことが、物語を変にややこしくさせているのが惜しかった。

R41