シンクロニックのレビュー・感想・評価
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問題の整理
SFに分類されるようだが、ファンタジーの方が濃いように思う。
合法ドラッグによる連続した錯乱死が起きている街が舞台
その原因のシンクロニック
主人公の救急隊員と合法薬物を作った科学者との出会いは良かったが、それを服用して幻覚を見て死者が出ている状況にもかかわらず、スティーブには問題が生じない。
それらしい説明を科学者が話すが、その内容はよくわからない。
脳に対する薬物の効果と松果体との関係
狂うのは松果体が石灰化した大人だけということなのだろうか?
松果体がまだ生きている子供は、時間を乗り越えてしまう。
時間こそ幻想というのはわかる。
だがこのSFは、脳の本来持つ特殊能力で時間をさかのぼることができると言っているのだろうか?
この根幹設定がよく理解できなかった。
ここが明確でなければSFにはならないように思う。
また、どうしても理解不能なのが場所と時間の関係だ。
それらは関係あるにもかかわらず、ブリアナは何故南北戦争のさなかにいたのだろう?
何故、南北戦争だったのだろう?
また、石器時代やアフリカ奴隷がアメリカに連れてこられた時代背景は、あの作品の何を象徴したのだろう?
そして最後は無事ブリアナを現在に戻すことに成功したが、スティーブは戻ることができなかった。
このために南北戦争という背景なんだとわかるが、そもそも帰れないことを前提としてすべてが描かれていることがどうしても否定できない。
これが粗、または雑なのだと感じるところだ。
また、
ブリアナがいなくなったという大問題が、いつの間にか夫婦間の亀裂問題に移動している。
つまり焦点がぶれているように感じてしまう。
結局スティーブが犠牲となることでこの物語に終止符が打たれた。
SFがファンタジーでも問題はない。
主人公が犠牲になることも悪くはない。
テンポもよかった。
ただ、
スティーブの脳腫瘍と余命宣告 ブリアナの謎の失踪 夫婦間の亀裂 ブリアナの妊娠と将来の問題 合法ドラックの問題
基本的には面白いのだが、解決すべき問題がテンポよく整理されていかないことが、物語を変にややこしくさせているのが惜しかった。
薬でタイムスリップ???
ランダムな時代へと7分間タイムスリップするドラッグが
あったとしたら。そんな設定で綴られたSF映画。
最初は、ドラッグによって、タイムスリップしたような感覚になる、
っていうストーリーかと思って見ていたのですが、
おいおい本当にタイムスリップしてしまうの?
いや〜驚きました。
しかし、いくらなんでも、それは無理がありすぎでしょ?
7分という時間、2錠飲んだら14分なのかな。
何年にタイムスリップしたの?
なんで同僚は使えないの? なんで帰れる?
ツメが甘いというか、適当に話を作ってるんじゃないかとさえ
思ってしまいました。
脳内でタイムスリップする、という設定の方が、
辻褄が合うだろうし、いろいろおもしろい展開に
なったんじゃないかな。
アンソニー・マッキーさん、好きなんだけどね。残念な作品でした。
あー犬が〜
物語はわりと変わったタイムスリップ物。
薬で7分だけタイムスリップしたりは面白いけど、わりとタイムスリップするタイミングとか時間がラフなので雑だなぁとは思うが、友人のために自分を犠牲にする主人公はかっこよかった。
タイムスリップするたび場所がなかなか面白いところだったが低予算なのか、いまいち時代背景がわからないのはもったいない。
犬が犠牲になってしまったのはショック〜
タイムトラベルの考察のきっかけとしての存在価値がある
主人公の救急隊員スティーブは、飼い犬にホーキングと名付けるほど理論物理学にハマっている変わり者だ。相棒のデニスと普段は現実的な話をしているが、かつて夢中になった理論物理学はずっと頭に残っている。
人体について医学では未だに解明できていないことが数多くある。解明できたと思っていることも実は違っていたということも数多くある。本作品のように人間の脳の松果体に謎のドラッグシンクロニックが作用してタイムトラベルが出来るという設定もあながち無理筋ではないのかもしれない。
フォイエルバッハの「唯心論と唯物論」を読んだのはいつの頃だろう。内容はもう忘れてしまったが、最終的に唯心論を否定していたような記憶がある。唯心論は様々な解釈があるが、当方のわかりやすい解釈では、唯心論とは認識の主体(つまり自分)が認識しているから世界が存在するというものである。自分がいなくなれば当然ながら自分の認識が消滅し、世界が存在しなくなる。
本作品で言えば、自分が認識しているものが現在であり過去であり未来である。そのあたりから飛躍して、だから薬を脳に作用させれば過去に行けるという理屈である。無理矢理ではあるが、そういう設定での物語なのだ。理論物理学が好きなスティーブが唯心論の現象を信じるのもなにかの皮肉だろう。
それにしても薬を飲めば数分間だけ過去や未来に行けるというのは、なかなか面白い。当方にも行ってみたい過去はないこともない。そこに行ったからと行って多分何もできないだろう。過去を変えてしまえば未来の自分は違う自分になり、過去に来ることもなかったという所謂タイムパラドックスにハマる。
しかし量子力学ではパラレルワールドの可能性も否定しないから、レコードの針をどこに落とすかによってどの時点にでも行ける場合がある。過去と現在の行き来を薬によって可能にすることもできるのかもしれない。そんな気もしてきた。本作品は大して面白い映画ではないが、タイムトラベルの考察のきっかけとしては、いささか存在価値のある作品と言えるだろう。
潜在能力ってことでOK?
過去のどこかの時代に7分間だけタイムリープしてしまうドラッグ、シンクロニックの話。
不可解な救急患者が続出し、その現場にシンクロニックの空き袋がで見つかり巻き起こって行くストーリー。
効能を知らず危険なドラッグであるという認識から回収目的で買い占めに行った店で出会った開発者にタイムトラベルが~と聞き、行方不明になったバディの娘を連れ戻すべく実験を繰り返していく主人公。
松果体に纏わる特異体質に始まり、行ける時代や帰れる条件がかなりラフだったり、かと思えば異様にシビアだったりとご都合主義満載でツッコミたくなるし、スティーブと娘のタイミングは最早???
色々ツッコミどころは満載だし、実験の長さの割に本ちゃんは呆気なく感じたし、かなりベタな内容ではあったけれど、そのベタさが面白かった。
ミステリー タイムトラベル ツアー
タイムトラベルしてしまうドラッグなんて、なかなか興味がそそられる設定なんだけど、残念ながら設定が生かされえていない。
シンクロニックといわれるドラッグは、脳の松果体に作用して7分間だけタイムトラベルしてしまうらしい。しかも松果体の炭化が進んだ大人は、完全にタイムトラベルができず、行き先では幽霊のように見えてしまう。
タイムトラベル物を面白くする過去との因縁がなく、しかもどの時代にジャンプするかもわからないから、途中からストーリー展開が単調になってしまう。それでも、最後は、ちょっと感動的だったからよかったけど。
変わらないもの
脳に腫瘍を抱える主人公が、シンクロニックと呼ばれるタイムトラベルのクスリを飲み、行方不明となった親友の娘を探す物語。
序盤は少しホラーチックな展開。シンクロニックを飲んだ際の作用を不気味な雰囲気で見せていく。精神作用であたかもタイムトラベルしたかのような…的なクスリかと思ったらガチなんですね。
親友デニスの娘の失踪について、シンクロニックが関係していると考えたスティーブは、命がけの探索を敢行していく。
タイムトラベルもののSFスリラーということで、どんな映画になっているかと思ったら、意外にも男と男の友情物語を描いたドラマだった。
そうとは知らずに観ていた前半は正直少し退屈だったが、スティーブがカン良く法則に気付いてからの展開は、なかなか良かった。
しかし、命の危険がある場所確定ってのは厳しいですね(笑)
あとどれくらい生きられるかわからない状況の中で、少なくとも自分よりは良い人生を送っているように見える親友の為に命を懸けれるスティーブの姿にグッと来た。
最初からそこが主軸だと知ってみていたら前半の見え方も違ったかな。
映画とは関係ないですが、その昔、志望校に落ちて浪人確定したその日に、友人の失恋話を延々と聞かされて、心の中で「俺の方がつれぇわふざけんな!」と思っていた出来事を思い出したw
本作のスティーブとは大違いのワタクシですが、そんな彼とは今でも大親友(笑)
その他、ニューオリンズの歴史を軽~くでも知っているとより面白いかも。
しばらくは見たことのないシチュエーションかも?
Well, at least it's not you driving.
-What the fu*k are you talking about? I'm a great driver.
No, you're not.
-I'm the best driver you know.
Nope, and a black man drivin' through the Garden District,
we'd be pulled over so much, there'd be people dyin' all over
New Orleans.
移動する救急車内でのスティーブとデニスの会話... 一見して差別的な言葉も会話の中には登場するのに何故か嫌な気持ちにはならない? 彼らがお互いを信用し、また信頼し、お互いのことを知り尽くしているから出る言葉として
半世紀以上前にCIAの前身の特務機関の工作員でプロパガンダのエセ・ドキュメンタリー映画『December 7th(1943)』を製作しオスカー短編ドキュメンタリー賞を受賞、その他の映画でも多くの賞を獲得しているジョン・フォード... 彼とは真逆にオスカーとは遠くて全く縁がなく面白いけど作品性のカケラもないと揶揄されたマーヴィン・ルロイ監督と肩を並べるように同時期に活躍された、この方もとんとオスカーには縁がなく批評家から通俗的なB級映画製作者と呼ばれていたハワード・フォークス監督。
その彼の多くの名作の中でも保安官と保安官補との熱い友情を描いていた西部劇の名作中の名作『リオ・ブラボー』を思い出さずにはいられない。ただこの映画『シンクロニック』が質的に遠く及ばないにしてものお話。
Like, do you know the letter Einstein wrote to his dear friend
Michele Besso's wife after he passed away? That's all right. He
said. "Now he has departed this strange world a little ahead of
me." This means nothing. People like us, who believe in physics,
know that the distinction between the past, present and future
is only a stubbornly persistent illusion."
映画でも物理学の概念の一部分を紹介するスティーブの言葉... アインシュタインが50年来の親友である工学者ミケーレ・ベッソに送った手紙が、ベッソが1955年3月に亡くなり、その数週間後に届いたとされる手紙の内容... 奇しくもアインシュタインはベッソを追うように翌月の4月に天に召されている。
Uh, here you drop the needle on the song you wanna play,
but they're all always there, these tracks are like time, right?
Synchronic is the needle.
シンクロニックとは... 一体全体、何?
アインシュタインが手紙の中で語った有名な言葉 "過去、現在、未来の区別とは、かたくなに信じ続ける幻想に過ぎない。"
普段、稚拙なものとしては、例えば歴史を考える時、江戸時代➡明治時代➡大正➡昭和というように時間や歴史の流れや時系列によって物事の変化を見る。しかし、シンクロニックという共時的と訳される言葉は、時間や歴史の流れに左右されるのではなく、一定時期の現象や構造を見ることにあるとされている。映画の中でもシンクロニックというドラッグを開発したマッドサイエンティストがレコード盤に例えて解説していた。
本作品『シンクロニック』はシンクロニックにプラスしてタイムトラベルを絡め、映画に一味加えている。
Oregon becomes first US state to decriminalise hard drugs
米オレゴン州は4日、アメリカで初めてコカインやヘロインなどハードドラッグ所持を非犯罪化した。今後は個人使用を目的にこれらの薬物を少量持っていても、100ドル(約1万円)の罰金か中毒治療センターでの健康診断が科せられるだけで、起訴されない。(BBCnews:2020.11.4) の記事より
この映画でも『シンクロニック』を合法ドラッグの街道沿いの店で何の違和感もなく購入するシーンが出てきたので、ある意味、日本における社会通念では考えられない意外な事も...
But then I found out I was dyin'. My brain... Has a tumor. And
all those things just seem trivial. That there's meanin' in the
things I do have, and I want to spend the time I have
preservin' 'em. I've been in treatment and I found out it's
workin', but... When you're starin' down at the end, you realize
there are things that are far worse than death. And none of
those things are what you were upset about.
映画のオープニングから謎のシンクロニックというドラッグを使った意識を別の世界に飛ばし人を殺すシリアルキラーのスリラー映画と思わせておいて、実は本当にタイムトラベルを可能にするドラッグとは... でもそんなに話の流れやプロット展開に違和感を感じないで素直に受け止められたし、フィルムスコアもこの映画ならではと思えるような感じがしていた。タイムトラベルをスティーブができるあたりからジッピーさが増し、映画の展開のスムーズさは見ていてもスリリングでもあったが...
何故? 黒人のスティーブが松果体の石灰化による脳腫瘍によって、大人にはできないのに彼がタイムトラベルできるのかとか、映画の舞台がアメリカ南部のニューオーリンズなのかとか、タイムトラベルには時間制限があるのかとか、全てにおいて、人種差別的な過去の世界にジャンプするのはタイムリーな政治色を感じるし、タイムトラベルに何故、いくつもの条件を付けたのかは、全部ひっくるめて、ラストのオチ、つまりデニスの娘、ブリアンナを助けるシーケンスの為に色々と設定したのが分かると... ラストのシナリオの為だけに良く考えられた恣意的さが見え隠れする出木杉君すぎて、至極、興ざめをしてしまう。
それと、あたしがもし過去に飛べるとしたら何を持っていくかと考えた時、その一番の答えが分かれば、スティーブが何故に持っていかなかったのかは、理由が分からないし、引っかかってしまう。
そんなくだらない事にこだわらなければ、友情アリの少し予算を削った痛快なSci-Fi映画と言えます。
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