キャラクターのレビュー・感想・評価
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所々気になってしまう
ちょいちょい気になるところがあって入り込めなかった。
連載中の漫画を完全に模倣した事件が連続して起これば世間はパニックだろう。それに作者の前に何回か犯人が現れるが警察が一人も張っていない。マンションに警察が誰も着いてきてない等々。
あまりにリアリティーがないというか、警察がやる気無さ過ぎて興ざめした。
よかったが、大事な終盤が残念、
「目が離せない」映画をひさしぶり見た。
おもしろかった、でも、しかし、いかんせん、なんにせよ、最後がなー、犯人が襲いに来るのになんで警察は警備についてないの?
そこでがっかり、興醒めしたのはある、「なんで?、なんで誰もいないの?」って。
奥さんもすぐに警察に電話するでもなく泣きじゃくってるだけで。
よくできたストーリーだっただけに、それがもったいなかった。
有名どころの俳優が出てただけに、そういうオチ、終盤の流れがもったいなかった。
犯人役の人は確かにサイコ的で怖かった、でも法廷まで出るくらい生き延びていろんな意味で自分が誰だかわからんありさまで、ヘタしたら「責任能力なし」になりそうなかんじでもあり。
警察がいないなかで作家と犯人がもみ合う、そこからの意外な結末でもあった、でも奥さんはおなかが大きくなる間もなく主人公が入院してる間に子供はいつの間にか生まれてるし(笑)、それも含めてなーんか、その終盤のあたりがなー、中盤までの緊迫感が一気に腑に落ちないというか違和感ばかりというかツッコミどころばかりでもったいなかった。
ラストの一コマ
ただのいい人だから、
売れる漫画が描けない先生と
強烈な印象を残して
次々と人を殺す殺人鬼
正反対のキャラクターの2人が
漫画を通じて関わっていく
ラストの一コマ、
タガーが先生の上に倒れるシーンで
現実では先生がタガーの上に倒れていて
キャラが逆転してる
「先生も漫画の中で楽しんで殺人してるじゃない」
て言われてムキになって言い返してたのは、
図星だったから?
最後は笑って人を刺そうとした先生と
実は戸籍ももらえず、誰にもなれない自分に苦悩してた殺人犯の
逆転したアイデンティティの対比なのかなと思った
ミステリーなのに予想の範疇内
一言で言うと、ご都合主義すぎる。
リアリティのない型通りの漫画家、型通りのサイコパスっぽい殺人鬼、型通りの警察、ストーリーと結末。全てが凡庸。はっきり言って人間性や狂気や情熱、なにも感じられない。
色々なレビューでセカオワの方の演技力を絶讚してるけど、型通りなだけ。一般人の妄想する型通りの、常にどこか薄ら笑いを浮かべている不気味なザ・サイコパス殺人鬼でしかない。
つまり何がつまらないか。
脚本がつまらない。
夜中に勝手に人の家をスケッチする非常識漫画家。この始まりからしてまず失笑もの。
漫画でたまたまチョイスした殺人現場の人気のない山道が実は殺人鬼もよく知る場所だったというあり得ないレベルの偶然。
しかも殺人鬼は漫画を模倣するためにその人気のない山道をうろついて親切な4人家族を乗せた車が止まってくれるのをひたすら狙うというご都合主義。高校生くらいは行ってそうな男子女子と大人二人を狭い車内で誰一人逃がすことなく、事故らず、反撃にもあわず、刃物できっちり殺し切るというのがまず無理っぽい。しかも殺して死体を車に縛り付けて、そこまで誰にも見られないという完全な運要素。
極めつけに、妻がたまたま双子を妊娠して漫画家の夫には話していないという、ご都合主義。
妻が妊娠という時点で、ある程度目の肥えた視聴者はラストのオチまで読めてしまう。ミステリーとしては最高に残念でしかない。
なによりキャラクターというタイトルの割に登場人物にまるで人間味がない。なんで髪の毛ピンクなのよ。どこの大学のバンドマンだよ。
以上、ツッコミどころだらけの映画でした。
それぞれがすごい
売れない漫画家のアシスタントがある日一家殺人事件に遭遇する。そこからそれを原案に漫画を描き始める事になる。それが売れ始めたと同時にそれを模倣した殺人が行われる様になった。ある刑事は、漫画と殺人には関連性があるのではないかと捜査に乗り出す事に。
まず、小栗旬と菅田将暉のコンビだけでもすごい。
そこに引っ張られるて他の役者達の存在がなくなるかと思ったら、世界の終わりの深瀬の存在感がまたすごい。
連続殺人鬼というキャラクターを演じる姿がまるで自然体で観る人をどんどん引き込まれる印象だった。
キャラクター
何かを演じる自分がそこにいるのかと問いかける最後シーンは、物語として深みがある最後だなと感じた。
因果応報
2021年。監督:永井聡(「帝一の國」に続き菅田将暉と再タッグ)
原案とオリジナル脚本は長崎尚志。
よく練られた脚本のサイコ・ミステリーです。
この映画が特に良いのは、
セリフが聞きやすく(且つ、分かりやすい)
テーマ(言いたいこと)が真っ直ぐ明確に伝わってくる点。
そして一番良いのは、登場人物のキャラクター(性格)が実に上手く描かれている点。
題名のキャラクターの意味は、
《人間の行動には性格が出る》
セカオワのボーカルのFukase。
映画初出演の思えない達者な演技を見せる。
ふっと「ジョーカー」を連想させる。
漫画家・山城圭吾役の菅田将暉。
一家4人殺しを題材に漫画「34(サンジュウシ)」を描く。
その内容が何者かに模倣され、一家4人殺しが漫画同様に再現される。
山城の素顔は平凡で優しい男。
そして山城は最後の賭けに出る。
ある決意した菅田将暉はオーラを発してそれまでとは別人だ。
そして辺見役の松田洋治。
この映画の6番手位に重い役。
物凄く上手い。
辺見は16歳で殺人事件を起こした過去のある男。
足を引きずり、背中は曲がり老人のようだ。
彼がMなのか?
刑事・清田(小栗旬)は新タイプの刑事。
怒鳴らないし相手の立場に立つしその上漫画好き。
この芸は身を助けるのだが、予想外の展開をする。
(ここは、かなり驚きました)
映画は、借金のかたに戸籍を売る人間。
(日本に無戸籍の人が一万人居るとされる)
犯人は血も涙もないサイコパスか?
社会の片隅で恨みを抱く弱者なのか?
そんな社会問題も孕んでいます。
とても面白いです。
PG-12だがR15+くらいに感じた。
血生臭く、グロいです。
子供には見せたくないですね。
過去鑑賞
原作通りだから仕方ないのだろうけど
さすがに身ごもっているのが双子で幸せな4人家族というところはご都合主義が過ぎますね。今回の連続殺人の肝でもある部分について、何事もない普通の家庭のように幸せボケして隠しているというのはさすがにないわーと思った。これほどシリアスに作っておきながら、すっとぼけたオチをぶっこんでくるセンスのなさに脱帽。邦画のレベルの低さを改めて認識した。
一言で言うとおもしろい
おもしろいです。
まるで本当に漫画を実写化したようです。
ストーリーも登場人物も、すべてしっかりとしたキャラクター。
全部よかったです、菅田将暉さんの演技力、小栗旬さんの演技力はもちろんですが、セカイノオワリのボーカルを務めるフカセさんの演技に、驚きました。
目つきや動き言動、所々もアドリブと言うのを見ましたが、うまいです。
なにも邪魔せず作品に入り込んでいけます。
ただ声質がいいので少し声優さんのような聞き心地のときがあるのが、気になりましたがそれは演技力等でカバーできるくらいのものでした。
今までたくさんの漫画が世にある中で、漫画を題材にしてそうやって殺人が起きたことはなかったのか?とすごく映画が終わった後気になりました。
そして最後【だれなんだ】との問いに2人の顔が映りましたね。
どこにお互いが自分を入れていったのか、最後の最後も鳥肌で終わる形でした。
小栗旬さんが滅多刺しで亡くなったのには驚きでしたが、あの犯人はどう言う意図だったのか。
どう操られていたのか。
急に刺されるから、ホラー映画ばりの大声をだして驚いてしまいました。
あれはびっくりするし、見せ方がうますぎます。
あの宗教で育ち、4人の幸せを恨み、殺し。
見つけて4人だ、さっ殺そみたいな映り方をしてましたがそんな殺し方をして、犯人が見つけ出せないことあるのかな?ってなりました。
計画班ならわかりますが、あんな窓から見つけて、いいね!ころそ!でなにも掴めないんかと。
そこだけが、ん?となりましたが、この広い世界で、そんな簡単なものではないですよね。
ラストの漫画も実際の自分のストーリーをかき、自分に犯人が接近するようしむいた作品を連鎖しました。
うまいですね、最後は逆になって殺人犯の顔になってしまってました。
打たれてもなお、漫画通り。
最初から最後までしっかり面白く見れました。
最初の家に入るシーンとかもドキドキでした。
殺人とか、サイコパスとか、そういった作品を作ってる人って一体どうやって、どう考えて、どうして作れるのだろうって思ってしまうくらいの作品でした。
今まで見てないストーリーの映画で面白かったです。
最後の方で殺人犯同士がファンのファンみたいなくだりも、おどろきます。
俳優さんたちの演技が上手い人だけだったのも見入りやすかったポイントでした!
見てよかったです。
痛みを伴わないサイコサスペンスかな。
この手の映画は、マンガが原作というものが多いのですが、
これはそうではない。オリジナル脚本なんですよね。
漫画家と殺人鬼が出会い、
漫画家が書いた物語そのままの、
悲惨な連続殺人が次々とおこっていく。
設定や話の流れはおもしろいし、テンポもいいので
最後まで飽きずに見ることが出来ました。
残念なのは、殺人がゲームのように描かれていること。
殺人鬼の内面が描かれてないし、いろいろ雑かな。
そして、大量殺人をカンタンに扱いすぎな気がしました。
サイコパスや殺人がテーマになってるものは、
もっと暗くて、後味が悪くていいと思う。
そこに至るまでの経緯も描いてほしいな。
びっくりしたのは、準主役の小栗旬が演じる刑事が死んだこと。
ふつう、死なないでしょw ビッグサプライズでした。
近年稀にみる、酷い作品でした。 ありえない光景のオンパレード。 面...
近年稀にみる、酷い作品でした。
ありえない光景のオンパレード。
面識の無い赤の他人の真っ暗な家に、上がり込んでしまうとか。
自分の損得勘定だけで、殺人鬼の目撃情報を隠蔽するクズとか。
犠牲者の居る実際の事件を細部までマンガで描く、遺族に失礼な主人公。
デビュー作がまだエピソード2つ程度なのに、売れたからと引っ越した先の
新しいマンションが、数億クラスのマンションとか、どんな設定なのか?
1年目に1億稼いでも、税金で半分になるから、買えるわけがない。
先の事考えたら、そんな無駄使いするわけがない。 見た目の映え狙い?
殺人鬼は毎回、返り血で血だらけの服で帰宅するのに、誰にも怪しまれない謎。
12人も殺される連続殺人は、日本の警察の最優先のヤマで、警視庁の特捜はじめ
大量の捜査員が配置されるのに、防犯カメラの映像が本屋の一つだけとか吹いちまった。
その殺人鬼の目撃者で証人となりうる主人公の、カミングアウトがあって、
尚且つ、犯人が接触してきているという危険な状況なのに、警備も張り込みも
付けないトンマな警察・・。
犯人から女房を襲撃予告の電話が来たのに、傍に居た刑事たちに何も告げず
一人でタクシー乗って帰宅するアホな主人公。
殺人鬼に襲わせるオトリとしたはずの主人公が、突然外出するのを見送る間抜けな刑事。
殺人鬼との格闘の後、主人公が逆転マウントしてトドメの一撃の瞬間、普通なら近づいて
警棒か柔道で止めるのが日本の警察だが、主人公を銃で撃っちゃうトンデモ刑事。
等々、数え上げたらキリがないです。
東野圭吾も裸足で逃げる程のお子様脚本に絶句。
大体、サイコサスペンス系作品では、悪人描写のリアリティが肝心だから、悪人になれる
素養がないとダメだという編集者のコメントが浅すぎる。
殺人を描くなら、人を殺してから描けと言わんばかりで、嫌な気分になる。
で、サイコ殺人を扱う漫画がヒットしたとして、悪人のリアリティだけでウケるわけがなく
対峙する正義サイドの人物像の魅力がないと、そんなに売れるわけがない。無理がある。
そんなサイコマンガに対し、現役刑事が「俺はこの漫画好きだよ」とか、違和感しかない。
さらに、「この漫画をトレースした事件(犠牲者12人)の真っ最中」にもかかわらず、
「あなたは、めげずに書き続けましょう」とか、あり得ない提案。
どう考えても犯人が逮捕されてから、安心して描くべきである。
評価してる人のコメに「観客も殺人を楽しむ」とかありましたが、死体のシーンだけで、
殺すシーンが、刑事の殉職以外には無いのに、何を言っているのか??です。
この映画が作られたのも謎だし、 結構ウケたというのも超謎でした。
まぁ、面白いんだけど
Fukase、喋ったり表情が動くと演技経験が無いなぁと思うんだけど、止めた表情だけだとサイコパスの感じが良く出てる。他の役者は菅田将暉も小栗旬も良いと思う。
ただ、脚本・演出がザルだなぁと。最初の事件が起きて、次の車内で四人が殺されるまでが一年ほど。その間に、漫画家を諦めようと思った山城(菅田)が高級マンションに住む売れっ子漫画家に・・・・・って無理だろ。売れる事は可能だけど、その間に出た単行本が二冊で金はそんなに急に入ってこない。しかも、車内の殺人を清田(小栗)が真壁(獅童)に説明するのに出したのが単行本二巻。その前半で事件が起きて、車の天井部分に凶器を隠している。二人が山城に話しを聴きに行くと、凶器のオチは「まだ考えてない」・・・単行本の前半からだと大分時間が経ってる筈なのに。サスペンスを描きたくって、ずっとアシスタントをやっていたにしては雑な漫画の構成。
二つの事件の間隔が短いのは、最初の事件で逮捕された犯人の裁判とかが進んでしまうからだろうけど、なんだか「四人家族は幸せの象徴」と言うのも説得力が無いと言うか、最後のオチの為なんだろうけど、そこに説得力が無い。Fukaseが実は武道とかの達人とかなら兎も角、柳包丁?一本で家族四人を簡単に殺せるのはなぁ。最初の事件では子供も結構大きかったし。
ラスト、普通は山城の自宅にも警備配置してるだろうし、山城がタクシーで向かう間に警察が追いつけないのも・・・・
テレビ屋さんが二時間ドラマのノリで作った感じだったかなぁ。
非リアルなキャラクターと設定
疑問点が多いキャラクターの行動と演技、設定が多かったため、うまく乗れなかった
全刑事出演シーンについて、小栗以外の役者のベタな演技と演出が気になりすぎる
刑事の上司を無能にし、話を複雑にする必要はない
また深瀬、菅田の非現実的なシーンに合わせて、映画全体のフィクションラインを上げる必要もないと感じた
声の音声について、映ってる映像の立ち位置と聴こえてくる音声の関係性に違和感あり
漫画のデジタル化について、
紙で書く漫画とデジタルで書く漫画に、話の連動性は無いため、必要ないと感じた(むしろデジタル化した話が現実になる)
また最終話の内容より、主人公は自分を書いていたとは思えない
警察はなぜ、妻を1人にし、自宅に警備を置かないのか
ラスト、菅田将暉の殺人を止めるために発泡した警察は何がしたいのか
警察のアホな行動と演技がみてられない(共謀犯の辺見も捕まえられないのは話にならない)
などなど、ご都合主義なストーリーと演出に疑問
だがしかし、オープニングと主演2人の演技(特にアクションシーン)は最高
ストーリーがなぁ
Fukaseさんと菅田さんの好演は間違いなし。やはり、ミュージシャンなのに、見事なサイコパスぶりを放ったFukaseさんは凄かったです。でも、出来れば4人1家族が幸せな宗教団体の過去や、離散したときの様子なんかもあったら、もっとストーリーに深みが出たんじゃないかなぁ。惜しいなぁ。
配役や演技は大変良かったですが...
俳優の皆さんの演技は素晴らしかったです。ただ、深瀬さん演じる殺人鬼・両角の生い立ちが、映画の中では本人以外に軽く語られる程度なので、メインとなる殺人鬼の設定として薄く感じてしまいました。
殺戮シーンばかりでなく、終盤に向けて殺人鬼に至った経緯(背景)についてももう少し掘り下げれば、もっと深みが出たのではないかと思います。
殺戮シーンについて、車内でのシーンは車内の緊張感・両角の不気味さと怖さが伝わってきました。最初と車までは良かったですが、テントのシーンから殺害後の家族の配置やポーズ作りにこだわりがなくなっているように思えました。ただ単に横たわらせているというか...。
最後のシーンで両角が締めの言葉を述べますが、両角の背景が殆ど描かれていないせいで、その言葉に重みを感じず「あれ?終わったの?」という腑に落ちない感覚になってしまいました。
深瀬さんの殺人鬼役もハマっていて、菅田さんや小栗さんその他役者さんの演技も良かっただけにあと少しといいますか、少し勿体無いなと思いました。
世の中の人々が自分自身と作られたキャラクターを演じている事
ずっと素のまま剥き出しで生活している人は世の中にそうは居ないと思う。
この作品は良質ではないがダークなエンタメとして成立している。
両角の突拍子もない殺人から始まる展開は、マンガチックであり、その刺激で産み出されたキャラクターによって描いたマンガが売れてしまうのは安易ではあるがキャッチーである。
そう言う意味ではよく似た作品もありそうだが、見入らせるちからはある。
しかし捜査もマンガもあっさり描かれているため、一つ一つの事象にタメがない様に思う。
良くも悪くもそこそこ売れるが佳作どまりの感じだ。
キャストもそれなりに豪華で
小栗旬は配役としてよく当たっている役のタイプの刑事役
中村獅童はその上司
漫画家が菅田将暉
殺人鬼がFukase
もう一人の殺人犯、辺見はあまりに容貌が変わっていて判らなかったが松田洋治(ジブリの男性キャラでお馴染み)で変わりすぎてて恐かった。
Fukaseは異常な思考と行動を上手く表現して殺人鬼両角を演じたのはちょっと凄い。
両角の破綻した人格の元は宗教がらみで説明されるため、ディティールは曖昧でこの辺りの内容が薄い。
尺、製作費ともにこの辺りが限界だったのだろう。
ちょっと頑張って連続ドラマにした方が売れそうだが、この殺伐とした殺人ドラマが受け入れられてる事の方が恐いのでこれで映画で終わらせるのが良いかな?
我々はこの社会に存在を受けたキャラクターなのか
邦画のサスペンス物、特にサイコ・スリラーやダーク/ハード系はつまらないと昔からよく言われる。ハリウッドや韓国と比べると圧倒的に格下と…。
演出や脚本、会社や日本映画界の事情その他諸々あるかもしれないが、こういう理由もあるかもしれない。
インパクトある“キャラクター”が居ない。
つまらないと言われているけれど、邦画でインパクトあったハード・サスペンスって、『冷たい熱帯魚』然り『孤狼の血 LEVEL2』然り、インパクトある“キャラクター”が居た。
そして本作も…。
山城圭吾もそう。
人気作家のアシスタントを続ける漫画家志望。
彼が題材にするのは、殺人鬼を主人公にしたサイコ・スリラー物。
画力はある。新人賞など幾つか賞も取った事もある。
が、“漫画家”としてデビューした事はない。
致命的な理由が…。
人のいい性格故、インパクトある凶悪キャラクターを描き切れない。
それってどうなのだろうか。
例えば映画の世界でも、その時代に生まれてないのに、戦争映画や時代劇や西部劇の傑作を撮る監督がたくさんいる。
やはり才能やセンスの違いか…?
山城にはそれが無いのか…?
しかし、思わぬ形で彼の才能×運命が花開く…。
アシスタントの仕事で家のスケッチをしに。
その家から大音量の音楽。近所から苦情。
人のいい山城は音楽を消して貰うよう家の中へ。
ツルッと滑る。
血の海…。
一家4人が無惨な姿で…。
その時山城は見てしまう。立ち去る犯人の姿を…。
事情聴取。
経緯についてはくわしく話すが、犯人については見てないと嘘を付く。
これは後々語る事になるが、クリエイターの性なのか。
どんな異常なもの、恐ろしいものを見ようとも、そこに何かを発見したと。
作り手はどうしても作り、見る側はどうしても見たい。
残虐でグロく、痛々しいホラー。
人の深層心理に突き刺さるスリラー。
若干違うかもしれないが、アクション映画のド派手なバトル、銃撃、カーチェイス、SF映画の大爆破、都市破壊、天変地異…。
現実世界では起こり得ない非現実的な世界にカタルシスを感じる。
人の中にそんな欲求はある。
山城はあの夜見た犯人をモデルにした殺人鬼主人公の漫画『34』を描き始める。
念願の漫画家デビュー。インパクトある殺人鬼キャラクターがウケ、作品は大ヒット。全くの鳴かず飛ばずから、一躍売れっ子に。
アパート暮らしから超高級マンションへ。
同棲していた恋人・夏美と結婚。妊娠。(←後にある伏線)
羨まし過ぎる成功。よく言われるけど、成功した漫画家ってスゲェ…。でも、それはほんの一握り…。
だけど何故か浮かない表情の山城。やはり、殺人を下敷きにした事に罪悪感があるのか…?
とある山中。4人家族が惨殺体となって発見された。
あの事件と類似点もさることながら、さらに驚くべき事が。
事件の何もかもが、山城の漫画『34』とそっくりな事に、刑事の清田は気付く。
模倣か、それとも山城が…?
事件を知って動揺する山城。
そんな彼の前に現れる。
「ダガー(『34』の主人公)って僕ですよね?」
ある意味、『34』の熱狂的なファン。
山城はすぐに分かった。両角と名乗ったこの青年。
あの夜見た犯人である事を…。
スティーヴン・キングは小説家ならではの恐怖を描いた作品があるが(『ミザリー』『シークレット・ウィンドウ』etc)、こちらは漫画家ならではの恐怖が描いた着眼点が面白い。
それもその筈。『20世紀少年』などの漫画家・浦沢直樹作品に関わってきた長崎尚志によるオリジナル・ストーリー。話の面白さはそれ故。
4人家族を狙った連続殺人が続く。
全て両角の犯行。しかも、自分の作品を模倣して。
自分が描けば、アイツが人を殺す。
言い換えれば、自分の漫画で死者が出たようなもの。
人のいい山城がそれに平常心でいられる筈がない。苦悩。
しかし、自分は漫画。描くのを辞めたいと言いつつ、本当は描き続けたい自分がいる。葛藤。
『34』を描いている時の取り憑かれた表情。
山城にとって両角は、恐ろしくも最高のキャラクター。
それに対し両角は。
後々徐々に分かってくる両角の生い立ち。
自分は何者でもない。
そんな自分をモデルにし、山城先生が創り上げてくれた。
初めてこの世に、生(=キャラクター)を感じた。
だから、そんな僕からの、敬愛する先生への恩返し。
先生の作品を、僕が完璧にしてあげる…。
山城は両角が持ち掛けてきたアイデアを漫画に活かす。
残忍な方法で人を殺す。サイコパス。
どっちもどっち。一切その心情など分からない。
分からないのに、その奇妙な関係がスリリング。
ここに絶妙なほど、真っ直ぐな正義感放つのが、清田。
元暴走族。理解者はその時から目を掛けてくれた先輩・真壁。(親友みたいにタメ口だけど)
それ故警察上層部から疎まれるも、『34』と事件の関連性にいち早く気付く敏腕ぶり。
事件を追う。徹底的に。
徐々に事件解明の糸口と、犯人=両角に近付いていく…。
純粋に山城の漫画のファンでもある。
ペンを置こうとする山城に、エール。
漫画を描き続けて欲しい、と。
さすがの演技力を見せる菅田将暉、ナイス好助演の小栗旬。
だけど何と言っても、言わずもがな!
Fukaseの圧倒的存在感、怪演!
2件目となる殺人で、山中を歩く彼を後に彼に殺される事になる家族が車に乗せるシーン。そのシーン、Fukaseの佇まいだけでもゾクッ…。うわっ、ヤバい奴乗せちゃったよ…。
突然発狂したり、サイコなシーンもあるけど、物静かな雰囲気や穏やかな声がより不気味さを煽る。
撮影前に1年半の演技レッスンを受けたとは言え、役者デビューでこれほどのインパクトある“キャラクター”作り!
これも一つのアーティスティック。その表現方法に身震いした。
一度はペンを置こうとした山城。
が、ある悲劇が起こり、その為にも再びペンを取る。
漫画家が漫画を描くという事は、以前見た『バクマン。』でも感じたが、何かと闘うという事。
漫画を通じて、両角と決着を付ける。
売れっ子になってからデジタルで描いていた山城。
この時、昔通りのペン書きだった事に山城の決意を感じた。
山城の言葉、「漫画を尊敬している」は、皆それぞれ自分が好きなものに当てはめられ、ジ~ンとした。
三者三様のドラマと、人のダークサイド。事件捜査サスペンス。
多少安直であったり、先読み出来たりもなきにしもあらず。
常に4人家族を狙う両角。山城は自分の家族を囮にするが、両角が狙ったのは…。ここで、夏美の妊娠。
いよいよ両角に近付いた清田。ああ、何となく分かっていてもやっぱり…。
当初犯人として逮捕された不審な中年男、辺見。その後もちょろちょろうろつき、何奴!?…と思っていたら、上記に関わる思わぬ行動を。って言うか、そのシーン、メッチャびっくりした…。
あっさりと犯人=両角に辿り着いた警察。が、調べると、お決まりの“お前は誰だ?”。
本名、戸籍不明。“両角”は他人の戸籍のもの。
しかし、これがこの男の哀しき存在を浮き彫りにもする。
事件をもう一度洗ってみると、2件目の殺人が起きた山中が、かつて4人家族こそ幸せの象徴と考えるコミュニティがあった場所。
今はもう廃村となり、そこで生まれた子供たちの消息は分からず。
ひょっとして“両角”はこの村の出身…?
生まれた時からこの社会に戸籍も無い。“キャラクター”も無い。
そんな子供たちがまだ、居ないとは言い切れない。
ヒューマン・ドラマやラブストーリーでは繊細な演出、菅田将暉との初タッグ『帝一の國』でハイテンションなコメディ演出を見せた永井聡が一転して、サイコ・スリラーに挑戦。
全国公開作にも関わらず、陰湿な作風、血みどろ&痛々しい描写に挑んだ事に拍手を送りたい。
役者陣の熱演、演出、雰囲気、話の面白さ。
飽きる事の多い邦画サイコ・スリラーだが、2時間全く飽きる事なく見れた。
直接対決のその後。
傷付いた手でまた描き始めた山城。
あの“キャラクター”を。
“両角”は何者なのか。
逆に問う。
僕は(あなたは)この社会に存在を受けた“キャラクター”なのか。
とんでもない奴をトレースした漫画家の末路
予告でも謳われている通り、リアリティのある悪役をかけずにうだつの上がらない漫画家の山城がとある殺人現場に遭遇したことで、「ダガー」という魅力的なキャラクターを誕生させ、売れっ子漫画家となるが、描かれた作品の後を追うように4人家族を狙った殺人事件が次々と起こる。
とにかく結末が気になりすぎた作品だったが、
鑑賞後はどこか釈然としない感が否めない。
この作品の肝となる登場人物は2人だ。
1人は「ダガー」のモデルとなった殺人鬼の両角。
もう1人は誰とでも距離を縮めることが得意な刑事の清田。
このふたりは物語が進んでいくほどにそれぞれが役割を全うすべく主人公に深く関わって行くのだが、そこの善悪の対立的描写が印象的だった。
全193件中、41~60件目を表示