「『“キャラクター”が自分か、“自分”がキャラクターか』」キャラクター さんばさんの映画レビュー(感想・評価)
『“キャラクター”が自分か、“自分”がキャラクターか』
「漫画家と殺人鬼が交差する」「セカオワのFukaseさんが演じるらしい」「高畑充希さん出るなら観なきゃ!」と粗い予備知識を持って観に行きました。
Fukaseさんが演じてるところは見たことないので不安という意味で気になってたのですが、
鑑賞中「なんだ役者じゃん、一挙手一投足がどうくるのか分からなくて楽しい、面白い」ってなりました。本当にFukaseさんの演技は観てて飽きないし狂気をやり過ぎてないのがとてもリアルを感じて、くどさを感じないので良かったです。
殺人鬼の役にのめり込み過ぎるとピエロ(道化師)にみえちゃうんですけど、現実味のある殺人鬼だったのでめちゃくちゃ好みでした。
高畑さんは警察官役なのかなと思ってたら妻役でした。ふっるいジェンダー観ばりばりの妻役で、『高畑さんにこんな役してもらいたくない!強い女がいいのに!!』って思いました。びっくりするくらい“妻”の描き方が古すぎて『アップデートしてくれ!』って心の中で叫びました。多分監督と脚本家のせいですね。高畑さんの息を使って声色を変える演技が好きなのですが、今作でも相変わらず素敵でした。ただただ古いジェンダー観が残念で残念で(泣)
菅田さんはなんかえらい棒読み?の演技な気がしました。事件の核心に触れたときの「え?」とか、血の繋がりが無い母への言葉「ありがとうお母さん」とか、検診帰りの妻への「おれ酷いこと言った」など。普通の人の演技、そんなに上手じゃない気がします。菅田さんと菅田さんの母親役の演技がひっかかりました。
全体的に面白かったです。
Fukaseさん(殺人鬼)を観る映画だと感じたので、むしろFukaseさんが魅力的に映っていないのなら何の面白みも無い映画になると思います。
だけどとても魅力的なキャラクターになってました。
あも、殺人鬼には名前が無いんですよね。何かのキャラクターになることで自我を保ってた。あの部屋に帰ってくる時いつも「ただいま」と言い、誰もいない空間に話しかけるんです。背中には笑顔のマークが4つ。自分が家族と引き離されたことで、『家族を永遠に一緒にしてあげなければ』と思い、家族を殺害してた。
殺しても殺しても満たされない苦しみやもどかしさをFukaseさんの演技から感じました。
映画館で観てみて良かったです。