「尻上がりに楽しくなる!」劇場版 ルパンの娘 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
尻上がりに楽しくなる!
荒唐無稽な設定ながら、コメディ要素のおかげで深く考えずに気楽に楽しめた、テレビドラマ「ルパンの娘」の劇場版。映画化の話を聞いた時は、正直マジで!?って感じで、それほど期待していたわけではありません。しかし、テレビドラマ全話視聴済みの身としては、やはり気になって鑑賞してきました。
ストーリーは、夫で警察官の桜庭和馬と娘の杏と幸せに暮らしていた、泥棒一家の娘の三雲華に、父・三雲尊が海外旅行をプレゼントするが、それはお宝めあての作戦の一部であり、そんなLの一族をつけ狙う敵との攻防の中で、一族の隠された秘密が明らかになっていくというもの。
メインストーリーはいたってシンプルでわかりやすく、そこにいくつもの伏線を張りながら、どんでん返しを仕掛けていく展開は、劇場版ならではのおもしろさを感じました。冒頭でこれまでの経緯を簡単に復習してくれるので、初見の方でもなんとか理解できるとは思いますが、できればある程度は事前情報を入れておいた方がいいかもしれません。
ただ、はっきり言って前半は、テンポの悪さと学芸会的演技が気になってしかたなかったです。テレビドラマでは気楽に楽しめたのに、大スクリーンで見るとなにかおもしろくなくて、残念な気持ちでいました。しかし、中盤で渉の秘密兵器が登場してからは、尻上がりにおもしろくなってきて、パクリともオマージュとも言えるシーンをぶっ込みまくり、最後まで楽しく鑑賞できました。
主演の深田恭子さんは、久しぶりに見ましたが、ウェディングドレス姿がとてもかわいらしかったです。瀬戸康史くん、渡部篤郎さんらレギュラーキャストも、持ち味を発揮していたと思います。中でも本作では、小沢真珠さんがいい仕事をしていました。彼女のテンションを上げて振り切った演技は、コメディリリーフとして光っていたと思います。
今回は、上映前に舞台挨拶があり、キャストのコメントを聞けたのも楽しかったです。貫禄漂う観月ありささんや市村正親さん、意外にも緊張から言葉に詰まるどんぐりさんなど、スクリーンとは異なる表情を垣間見ることができ、ちょっと得した気分になりました。大貫勇輔さんがネタバレしそうなコメントをグッと飲み込む場面があったのも楽しかったのですが、やはり舞台挨拶は上映後がいいなと感じました。