劇場公開日 2021年2月19日

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「幼稚園なのにテーブルや家具の角も尖ったままだし、3歳児に包丁やマッチまで使わせるこのメソッド。自主性と集中力が人間を成功に導くという思想です。過保護帝国=わが日本との、あまりの差に、目まいがしました。」モンテッソーリ 子どもの家 お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0幼稚園なのにテーブルや家具の角も尖ったままだし、3歳児に包丁やマッチまで使わせるこのメソッド。自主性と集中力が人間を成功に導くという思想です。過保護帝国=わが日本との、あまりの差に、目まいがしました。

2021年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人間が成功するためには、子供のうちから自主性を育て、一つのことに熱中する楽しさを知っている人間でなければならないという主張にもとづく映画です。

子供はお仕事が大好きだという発見。これはその通りなんですよね。
やりたいと子供が思ったことなら、子供は何時間でもやり続けることができます。
特に教えられなくても、一生懸命に観察し、理解し、それをやることができるようになります。

しかし他人に、特に大人に言われた瞬間に、それが嫌いになってしまう。って、これは子供に限らず、大人だってまったく同じことではないかと深く納得しました。

手先が器用であることは、知能を高めることに直結するという点なども重要なポイントですが、しかし手先を器用にするために何かを仕込むのではなく、十分な準備を整えた上で、あくまで子供の自発的なチャレンジを待つわけです。

カメラマンが延々2年間も一つの教室に密着し、撮影を続けた中から選りすぐりのエピソードを選択して構成された映画なので、モンテッソーリ教育に関するプロモーション映画のようでもありましたが、そのことを別にしても、幼稚園の先生のプロフェッショナル根性の素晴らしさと、用意された数多くの、考え抜かれた遊具の数々に感心させられました。

100年以上も昔に考え出されたメソッドなのに、今の心理学の知見なども予知していたようで、こと子供の能力を引き出す以上に、大人にも適用できる部分が多数あるなと感じました。

幼稚園の「先生見習い」が、自分を抑えることができずに教育を押しつけるシーンもあるのですが、ナレーターは一切批判じみたことを語りません。
しかし観ている側は、「こういうことをしたのではダメだよね」と内発的に感じるわけで、ほんとうは言いたいけれどそれをグッと堪えることによって、かえって相手が得心するという手法が、観客に対しても使われているわけです。

お水汲み当番