「自身の夢をひたむきに信じ続けた姿が清々しい作品です。」野球少女 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
自身の夢をひたむきに信じ続けた姿が清々しい作品です。
予告編を観た時から気になっていた作品で、この手のジャンルでそんなにハズレは無いだろうなと思って鑑賞しましたw
で、感想はと言うと、結構良いです♪
手に汗握る熱血感動巨篇!と言う訳ではありませんが、プロ野球選手を夢見る女の子がプロになる為に奮闘すると言うのはもう「青春!」と言う一言です。
主人公スインは韓国で女性として韓国プロ野球(KBO)主催の公式戦に先発登板したアン・ヒャンミ選手がモデルになっているんですが、韓国野球のレベルって、そんなに高くないかなと思っていたんですが、調べたら日本とアメリカのレベルの次に続く程のレベルだったんですよね。
世界中の野球国の中では日本の社会人野球レベルも多々あるので、レベルの差が激しいと言うのもありますが、そう考えると世界でもトップクラスのレベルの韓国で女の子が入ると言うのは容易では無いと思います。
豪速球とボールの回転力が強みの女子高生チュ・スインは、高校卒業後はプロ野球選手の道へ進むべく練習に励んでいた。しかし女性というだけで正当な評価をされず、プロテストすら受けられない。さらに、友人や家族からも反対されてしまう。そんな折、プロ野球選手の夢に破れた新人コーチが赴任してきた。最初は気の強いスインのプロ志望を否定するが、次第に彼女の熱意に打たれ、一緒にプロを道を目指す為に奮闘する…
と言うのが大まかな流れですが、女子野球部もしくは女子も多く占めている野球部かと思いきや、男子ばかりの高校野球部と言うのはちょっとビックリ。
日本では野球=女の子と言うと古い所では「野球狂の詩」の水原勇気、もしくは「ナックル姫」の愛称で親しまれた吉田えりさんを思い出しますが、このスインもナックルが決め球になっていく。
もっと野球ならではチームワークなどがあると思いきや、ほぼ孤軍奮闘w
野球部の他の男子と特に仲が悪い訳ではないが良いと言う訳でもない。取り扱いに困って持て余している。と言うのが正直な所だろうw
だが、気の強いスインも一人で黙々と練習を続ける。
この辺りが今までの野球映画とは一味違った感じに映ります。
母親の反対もあり、新コーチのジンテからも諦めろと言われる日々。
「負けたら諦めろ」と言われた勝負でも負けてしまうが、それも無かったことの様にそれでも黙々とプロになる為の練習を続けるw
その孤軍奮闘とばかりに意気込むスインが自身の目標となるプロ野球入りを疑う事なく突き進む姿が印象的。
終盤ではプロテストで現役一軍の選手を打ち取り、それが評価されるがプロの選手として入団ではなく、フロントとして高条件での「入社」を勧められる。
普通はある程度の「評価」があると“これでいいか”となってしまいますが、「こうではない。これではない」と入社の話を蹴ってしまう。
実力が物凄い訳でもなく、「女子の中では」と言う言葉が付くぐらいなんですが「若いって良いなあ〜」なんて呑気な言葉だけで片付けられない程の熱意は凄いの一言。
ワガママにも見える部分が多々あって、協調性に欠けるかなと言う部分もありますが、それでも自分を信じきる。
この熱意が大事なんですよね。
結果として、チームの二軍でのプロ契約を勝ち取る訳ですが、ここまで自身の可能性を信じ続けたスインの「勝ち」な訳です。
でも、当初はスインをフロントとして契約しようとした球団オーナーがスインを改めて選手として契約で監督に相談するシーンは良いんですよね♪
断られた事にヘソを曲げずに改めて彼女の可能性に賭けてみようとした良いシーンです。
コーチが最初、「女がプロの野球選手を目指すなんてチャンチャラおかしいや!」と言わんばかりにスインを否定するのは、まあ母親があそこまで頑なにスインのプロ野球の夢を諦めさせるのはちょっと異常に映ります。
韓国ではまだまだ「男尊女卑」が根強く残ると聞きますが、スインの家で一家を支えるのは母親。父親が司法書士(宅建?)を目指しているが万年浪人生で家庭をどこか顧みないからこそ母親が健全な道をスインに強要するのは致し方無しなんですが、それでもちょっと強引過ぎる様に映るのは、日本がそれだけ子供に対して寛容だからなんでしょうね。
でも、韓国がダメと言う訳では無く、今の日本に無い家族を「想う」気持ちが強い現れでもあります。
スイン役のイ・ジュヨンは見た感じは平手友梨奈さんみたいな感じでボーイッシュでありますが可愛らしい感じ♪
実年齢は29歳と劇中の年齢とは10歳ぐらい離れていますが、違和感無しで野球少女!って感じ。
この辺りは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の時のマイケル・J・フォックスと同じですなw
作品として難点があるとすると、父親が試験当日にカンニングだか買収騒ぎを起こしたのは個人的には蛇足に感じる。
またナックルボールが決め球の様で決め球になっていないのは投球の組み立ての妙と言うのはあってもどうも爽快感に欠ける。また途中の練習なども黙々と続けるのは良いにしても中弛みが感じられるんですよね。
あと、母親の紹介でやむ無しに働いている会社に対して勝手に早退したり無断欠勤したはダメでしょw
母親に言われて仕方無しにと言うのは分かるけど、それなら最初から働かなければいい訳でどんな理由があるにしても勤め先に迷惑をかけるのはいかんですよ!
事件らしい事件を無理やり起こす必要性が無いにしても、野球の主となるチームワーク的の物を取り外している時点でもう少し成長の過程でのドラマの部分や試合を取り入れて、起伏を産んでも良かったかなと思うのですが如何でしょうか?
恋愛模様も殆ど無く、同じプロを目指す仲間との交流も殆ど無いが、頑なにプロを目指す姿が清々しい。
野球を題材にした作品って、「フィールド・オブ・ドリームス」や「メジャーリーグ」と言った名作はあるんですが、個人的にはそんなに数は多くないかなと思います。
ましてや女性選手での野球作品って「プリティ・リーグ」か木之内翠さん主演の「野球狂の詩」ぐらいしか思いつかないw この作品は個人的には結構当たり作かなと思います。
ご興味がありましたら、如何でしょうか?