「燃え尽きるまでやらせてくれ」野球少女 Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
燃え尽きるまでやらせてくれ
予告で気になったのもあり観賞
野球はドラゴンズファンだったり昔から好きだし
野球がテーマの映画って案外少ない気がして
ついついより好んで観てしまいます
韓国映画という事であまり取り上げられる事のない
韓国野球界の雰囲気なんかも興味あります
女性のプロ野球選手というテーマの映画というと
やはり日本では「野球狂の詩」が思い浮かびます
あれは岩田鉄五郎に才能を見初められた水原勇気が
すぐさま開花するサクセスストーリーですが
今作は一旦注目されたのち才能を伸ばすことが
できず幼馴染がプロに指名されるという
大きな挫折から話が始まります
女性初のプロ野球選手を夢見て
20年ぶりの高校野球に入部した女子高生スインは
130km/hの速球では無理と言われ我流で猛練習を
繰り返すも進歩がなく家族からももう諦めて
母親に普通の仕事に就けと言われる始末
そんなある日新任のコーチがやって来て
最初はプロ入りに否定的ながらスインの
引かない根性に徐々に絆されてどうすれば
プロに入れるか二人三脚の努力が始まります
プロ入りの条件というのは最初は結構極端なもので
身長とか50m走のタイムや遠投に球速
まあそしてどうしても性別が関わってきます
ですから女性のプロ志望は極端に少ないから
とりあえず男性と同列の能力比較をされるのでしょう
スインはそこに挑んでいましたがコーチは
スインの球の回転数の多さに着目し
球速よりキレを生かした変化球主体の投球に
ナックルボールという新球を提案します
そこでスインがこだわっていた球速を捨てさせ
スタイルチェンジを図るようになります
スインがどうプロになりたいのかという部分が
作中に一切出てこないのでそれは説明不足かも
しれませんが家庭の事情と野球で板挟みになって
どうすればいいのか迷っているスインの葛藤も
あるのかなと解釈して見てました
その後なんだかんだSKワイバーンズ(実在する球団)
のトライアウトを受け好感触の結果に終わり
球団から提示されたのは
「女子プロ野球球団設立に向けたフロント入り」
という微妙なもの
高卒でフロント入りというのもリアリティが
怪しいですがスインは自分の持ち味を
もう一度アピールしてこの提案を固辞
その後根負けした球団は格安契約金ながら
選手契約を結び希望に満ちた結末で幕を閉じます
日本にもナックルでプロ入りを目指した
女性選手がいるんでこういう映画日本でも
作れるネタは沢山あったんじゃないかなあ
なんて思っちゃいましたが粗はありつつも
よく出来てる映画だと思いました
スインの心情をどう捉えられるか次第なとこ
ありますけど
野球は理論上は男女の性差なく実施できる
スポーツですが現実には男女に分かれ
女子プロ野球リーグも近年では発足されて
いますが選手不足集客不足で運営は厳しい
ようです
興行ですからそれでお客さんが呼べれば
という点においては男性に混じった
女性のプロ野球選手というのもいつかは
出てくる可能性もあると思います
かつて水島新司氏が女性プロ野球選手の
可能性について関係者に尋ねた時
無理無理と相手にされなかったそうですが
たった一人だけ
「特別な変化球があればワンポイントで出番はある」
と真面目に回答してくれたのはあの野村克也氏
だったそうです
決めつけず可能性を考える事が
何事も大切なのかもしれませんね