「拘りと憧れ」野球少女 ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
拘りと憧れ
今年は韓国映画を早くも3本見れている事に感謝しているのですが、「KCIA」と「藁にも〜」は個人的にハマらずモヤモヤしていました。
そんな自分にナイスなストレートをくれた作品が今作でした。女だからという理由だけでプロになれないと断定された少女が突如やってきたコーチと共にプロを目指すために成長する物語です。ストーリーは王道ながらも、まっすぐゴールを目指すのではなく、堂々巡りでゴールへ向かう感じがかなり好みでした。
お恥ずかしい話、自分は「梨泰院クラス」を見たことが無く、イ・ジュヨンさんはポスターで初拝見でした。28歳なんですね…高校生にしか見えなかったです。もどかしい感じや鬱憤が溜まったような感じの演技がとても良かったです。キリッとした顔立ちがとてもかっこよかったです。
役者陣のいやらしい感じが個人的に良かったです。殆どの登場人物は主人公の否定側に立っているので、いやらしい感じは最初から滲み出ているのですが、最初のトライアウトの受付の男のバカにしたような態度の演技がとても面白かったです。露骨〜笑
コーチがかなり厳しい言葉を放ちながらも、裏では主人公のことを思ってくれていて、少しずつ練習にも付き合っていき、互いに刺激しあっていくみたいな流れも王道ながらワクワクしました。リトルリーグから一緒だった子の恋心が逐一挟まってきますが、然程いらなかったと思います。
投球シーンですが、ここに難アリでした。まぁ経験者やプロじゃ無い限り130km出せないのは知っていましたが、投球フォームでの肘が曲がっておらずピーンとしてたので、違和感を覚えました。アングルを急いでキャッチャー側に回したり、明らかにそれは早く落ちるだろうというボールがキャッチャーまで届いたりと不思議な時間でした。ドラマパートに力を入れるより前に投球に力を入れて欲しかったです。
ドラマパートも父親の逮捕はそこまでいらなかったかなと思います。父親は基本的に口だけ人間として描写されていますが、母親への救済がままならないままなのが非常にもどかしいです。でも娘は父親を信頼している複雑ですね…
最終的にプロの二軍に入るという形で物語は終わりに向かいますが、運と実力が拮抗したラストの話し合いのシーンも物語に説得味を見せていて良かったです。まだここから彼女のストーリーは続いてく…な感じで終わります。ひとつの映画として綺麗に終わったのが良いと思います。これからも女性プロとプロは分かれたままの時代が続いていくとは思いますが、そんな時代を打ち破ってくれる本作の主人公みたいな女性を待っています。
鑑賞日 3/5
鑑賞時間 12:05〜14:00
座席 H-11