「ムーミン誕生秘話ではなく、若き日の恋愛や創作を描いた作品」TOVE トーベ ゆっきーさんの映画レビュー(感想・評価)
ムーミン誕生秘話ではなく、若き日の恋愛や創作を描いた作品
この作品はムーミン誕生秘話、と云うよりトーベの若き日の恋愛や、創作、彼女がどんな人だったのかを描いている。
ファーストシーン。
戦時下で防空壕に避難しながらもムーミンのイラストを描いていた。もう既にムーミンが誕生していた。
恋人の女性のヴィヴィカをずっと一途に愛していたが、向こうは気に入れば誰とでも寝てしまうタイプ。
正式にプロポーズされたアトスとも、ヴィヴィカを忘れられず別れてしまう。後にスナフキンのモデルになった男性だそう。
このシャンティ・ロニーと云う俳優もチャーミングだった。
アトスはトーベから『女性と寝た』
と告白されて、正直どう思ったんだろう?当時、同性愛は勿論タブー。病気であり、犯罪だったとのこと。
アトスはトーベともし婚姻関係を持ったとして、トーベとヴィヴィカ、アトス、ヴィヴィカの夫の4角関係になるのはさすがに無理だったんだろうなぁ。
トーベも、やがて奔放なヴィヴィカに耐えられなくなり、パリで別れを告げる。
たが、その時にトーベは『絵画もイラストも漫画も舞台もやりたい。だけど一つには絞れないの』
『だったら全部やればいいじゃない』舞台監督だったヴィヴィカが助言する。
ヴィヴィカは確かに魅力的。どことなく『燃ゆる女の肖像』に出てきた画家役の女優さんと重なる。格好良くて男前なのだ。
ムーミントロールの絵本は次第に子供たちに読まれるようになり、イギリスの夕刊紙にも6年間連載契約を結ぶ。
この辺りで映画は幕を閉じる。
何となく女性目線の作品だなと感じたのですが、やはり女性監督でした。
トーベの女達らの逞しさ、芸術家特有の際立った個性。繊細で傷つきやすいところ。煙草やワイン、パーティー、踊ることが大好き。愛に一途。情熱家。
そんな人間くさい彼女に魅力を感じた。トーベ役の女優さん、アルマ・ポウスティも人懐っこく、とてもキュートだった。