「リアリティと生々しさを含んだ青春映画」くれなずめ といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
リアリティと生々しさを含んだ青春映画
先日松居監督の『ちょっと思い出しただけ』を鑑賞し、甚く感動したので、監督の過去作として評判が高かった本作『くれなずめ』を鑑賞いたしました。本作を紹介した映画レビュアーさんのネタバレ無しの感想などを事前に拝見していたので、ざっくりとしたあらすじ程度は知っている状態での鑑賞です。
結論ですが、面白かった!!
リアルというより生々しい、いわゆる「陰キャ」と呼ばれるような日陰者たちの青春と、大人になってからも続くその友情を描いた感動的な作品でしたね。私も学生時代は自他共に認める陰キャでしたので、登場人物と自分を重ねて観てしまう場面も多く、ちょっと泣きそうになりました。
正直、終盤の急展開とかは面食らいましたけどね。本作を批判的にレビューする人も多いのも理解できます。でも私は何だかんだ楽しめたし感動したし、良い映画だったと私は思います。
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学生時代からの仲良しグループが友人の結婚式で余興をやるために5年ぶりに集まった。披露宴から二次会までの道すがら、学生時代の思い出話に花を咲かせる彼らは、それぞれが仲良しグループの一人である吉尾(成田凌)との思い出を回想する。
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結婚式の二次会へ向かう道すがらの会話と、過去の吉尾との思い出。現在と過去を行き来しながら、仲良しグループである彼らの関係性が描かれます。そして映画中盤で判明する吉尾の死。まるで実際にいるかのように描かれていた吉尾は幽霊とかではなく、他のメンバーたちが自分たちの頭の中に思い描いていた幻覚(妄想とも呼べる)だと判明します。
私は実は吉尾が死んでいることは事前にネタバレ食らってて知ってました。てっきり『シックスセンス』的に本作の終盤の大きなどんでん返しで判明するのかと思いきや、序盤から分かりやすく伏線が張られていたり映画の中盤であっさり判明したり、全くどんでん返しではなかったのが驚きでしたね。本作は吉尾が既に死んでいることは大前提で、彼を喪った仲間たちがどう生き、どう先へ進むのかということが映画の主題であると感じました。
本作の魅力は色々あるんですけど、何より素晴らしかったのが役者陣の演技ですね。
仲良しグループを演じた俳優さんは全員もれなく素晴らしかったと思います。最近大活躍中の若手俳優の見本市みたいな俳優ラインナップです。
個人的には若葉竜也さんが特に好きですね。『街の上で』『神は見返りを求める』でも素晴らしい演技を見せてくれた彼は本作でも光っています。少しチャラけたように見えるけど心の中には情熱を持っている役を見事に演じていました。
正直後半のガルーダをはじめとするトンデモ展開は驚きましたけど、何だかんだあれも計算づくで脚本書いているんだろうな~って感じはありました。多少強引な展開だったのは誰の目から見ても明らかではありましたが、ああでもしないと「あの世にいる本物の吉尾と話す」なんてことはできなかったでしょうし。
多少は設定や構成やストーリーにツッコミどころがあることを認めつつ、しかしながらしっかり感動してしっかり楽しめる作品だったと思います。オススメです!!