「「住めば都」って誰がどういうつもりで考えた言葉なんだろう?」ビバリウム スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
「住めば都」って誰がどういうつもりで考えた言葉なんだろう?
クリックして本文を読む
あこがれのマイホームを探している若いカップルがいかにも胡散臭い不動産屋に導かれるまま、すべてが無機質で不可思議な住宅街に軟禁されるストーリー。
そして、謎の男の子の赤ん坊の存在がより不穏な雰囲気へと鑑賞者ともども誘う。
全然観ていて癒されない「ビバリウム」である。
ストーリー冒頭、巣から落ちて死んでしまったひな鳥は
結局のところ、主人公カップルの行く末を暗示していた。
一見幸せそうな家族というのは
囚われた姿なのか?
そして、人間も生き物に過ぎず、
自然の摂理に従わざる負えない存在だということか?
あるいは、見落としていて気づかないところに実は自分達が望む道へのヒントがかくされているのか?
例えば、謎の男の子がTVで見ていた幾何学模様は実は住宅街の地図だったのか?持ってきた本の中にもそれが隠されていたのか?
鏡のように自分たちの醜い姿を真似する子どもにイラつく気持ちはわかるが、子どもはちゃんと見てるし、ちゃんと示しているということか?
「住めば都」という言葉は厳しくつらい環境も慣れてしまえば馴染んでくるという意味だが、
本作の主人公たちが「突き落とされた」風情も人情もない迷宮を見たら、
必ずしもそうではないと反論したくなるものだ。
しかし、それはひょっとしたら大人の驕りなのかもしれない。
人間の驕りが時に自然の怒りを買うかのように。
見限られない生き様をみせなくてはとちょっと焦った。
コメントする