劇場公開日 2021年7月17日

「【30歳になっても、何者にも成れない閉塞、焦燥、諦観を持った男女の、”草の河”での不可思議な出会いと、強烈な永遠の別れを描くロードムービー。】」リバー・オブ・グラス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【30歳になっても、何者にも成れない閉塞、焦燥、諦観を持った男女の、”草の河”での不可思議な出会いと、強烈な永遠の別れを描くロードムービー。】

2022年8月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

ー インディペンデント感が半端ないが、非常に魅力的で蠱惑的な吸引力を持ったロードムービーである。-

■楽園リゾート都市・マイアミのほど近く、何もない郊外の湿地で鬱々と暮らす30歳の子持ちだが、母性のない30歳の主婦・コージー。
 彼女はいつか自分の元に現れ、子供も引き取る人が現れる事を期待し、新しい人生を始めることを夢見ていた。
 そんなある日、コージーは同じように現実に失望しながら生きる男・リーと出会い、行動を共にすることに。

◆感想

・コージーの父が、ドラマーになる事を夢見ながらも、田舎の刑事になり、しかも自らの拳銃を紛失する。
 そして、隣町のリーの友人がその拳銃を拾い、リーに”売ってくれ“と依頼し、そこにフラフラと””草の河”を歩いて来たコージーと出会う設定が、妙に秀逸である。

・二人は当てもなく、車に乗り、”新たなる世界”を目指そうとするが、世界は変わる訳でもなく、モーテル暮らしをする閉塞した日々を過ごす。
ー コージーの顔付が、微妙に変化していく様。自分に新たなる世界を齎してくれると思っていた、リーは、只のチンピラだった・・、と気付いていく・・。-

<ラストの、コージーが平然と行った行為は、彼女が元々、精神的に不安定だった事も鑑みても、衝撃的である。>

NOBU