「しみじみとした味わいのある作品」バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
しみじみとした味わいのある作品
豪華な出演陣が少しずつ登場して和気藹々と進むバラエティみたいな作品である。誰が主演とは言い難いが、流石に名のある役者たちばかりとあってそれぞれの台詞のシーンは例外なしに堂に入っていて、誰かが喋るとその人が主役に見える。
中でも松重豊は何気ない台詞のシーンでもずっしりとした存在感があった。濱田岳は持ち前の器用な演技で喜怒哀楽を過剰に表現して笑わせる。
有村架純は説明し難いけれども人を惹き付ける何かを持っていて、この人が動いたり喋ったりするたびに思わず注目してしまう。映画やドラマで度々ヒロインに起用される理由がやっと解った。
菜々緒のフツウの演技は悪くなかったが、エキセントリックな女の役を見慣れているだけに、やや存在感に乏しかった。天海祐希はいつも通りの普段着の演技。この人は何を演じても一緒だが、それが一番の長所である。
その他の役者たちも全力投球。中には力が入りすぎている人もいたが、濱田岳や柄本時生は雑な扱いにも動じない肝っ玉の大きさを見せていた。流石の俳優魂だ。
老練な落語名人が語る古典落語みたいで、クスクスと笑いながら鑑賞するのに丁度いい。しみじみとした味わいのある作品である。
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