「冒頭の藤井くんのメモ「はなればなれになった男女 別れのその先」とい...」僕たちは変わらない朝を迎える トガシパンダさんの映画レビュー(感想・評価)
冒頭の藤井くんのメモ「はなればなれになった男女 別れのその先」とい...
冒頭の藤井くんのメモ「はなればなれになった男女 別れのその先」という文章を映画の半券に書き込む。
藤井くんが手繰り寄せた特別な夜、よかった。寧々との夜は言わずもがな、村上さんとの夜も未来から見れば特別になってしまうのかもしれない。
変わらない朝を迎えるとしても、たった一言本音を言うことでその夜を特別にすることはできる。海で話したこの2人はたぶんこの先会わないだろうし、会うとしても藤井くんが言う“大丈夫になってから”だと思う。結婚しても他に特別な人いるんだね。
ある男の子に「✳︎✳︎✳︎さんは特別だから」とふんわり言われたのを思い出す。今となっては互いに恋人がいる。たまにというか頻繁に思い出しているけれど、特別だからもう会わないのだと思う。好きな作家の文章でこんなものがある。“いいおとなだから、わかっている。本当に失いたくないと思っていたら、さらりと手放すものだし、本当に愛していたら、一切連絡を遮断する” どうして好きだって思うのに会わない選択をわたしは選び続けているのだろう。何かのせいにして、会いに行けば楽になるのにと思っていたけれど、この文章を読んではっとする。そしてこの映画を見て、そんな感情や関係が存在するのだと確信した。
理想と希望の違いってなんだろと思ってみていた、、。理想ばかりで創り上げて仕舞えばそれは綺麗事になってしまう。少々不恰好でも、少々言葉足らずでも、着飾らずに本音で伝えるだけでいい。舞台監督である藤井くんが役者に求める「不器用な人」「愛情深い人」ってそういうことなんじゃないかな。自ずと舞台なり映画の創作物は作り手の実体験に基づくものだろうし。
秋だからか、こんな映画を見てしまった。人肌が恋しいんじゃなくて、君が恋しいんだよってのはいつかの私の日記です