ボクたちはみんな大人になれなかったのレビュー・感想・評価
全111件中、41~60件目を表示
その時初々しい二人を繊細にその後現実を残酷に
2021年劇場(配信)鑑賞44本目 良作 64点
ネトフリで鑑賞。
当方数ヶ月前からそれなりに楽しみにしていて、ネトフリと同時公開とのことだったのでネトフリで鑑賞しましたが、十分楽しめたがお金払わずに見れるならそれで良いかなって感じでした。
森山未來の演技が非常に良かった。
伊藤沙莉も陰ながら応援していて、彼女の他の作品であるタイトル拒絶も個人的に評価が高く、今作も役に忠実で良かったです。
なんかこういう群像劇他にもあった気がするけど思い出せない、、、
ただベタな恋愛ものではなくて、淡くて苦くてイニシエーションな今作のような経験いいですよね。
是非。
さて、大人の定義とは?
森山未來が21から46歳の佐藤を演じてます。同じ時代を生きる伊藤沙莉演じるカオリとの関係を描く作品かと思ってたら全く違ってました。ずっと彼の回想。時系列はバラバラ、きっと彼が思い出してる順番なんだろな。
カオリも彼が付き合った女の1人でしかなかった。新宿、渋谷、六本木など、バブル期を知ってる今のおじさん、おばさんには懐かしいシーンだらけ。記憶と音楽の繋がりが強調されてたな。
ただ、ストーリー的には何もなかった。仕事やプライベートを回想してるだけなんで、あぁ、あんな奴いたな。とか、当時はそうだったなぁ。とかの繰り返し。昔を知らない若い人には理解不能だと思うよ。ビックリしたのは沙莉ちゃんのベッドシーン、まさかね。
新宿の映画館で観たので、駅までの途中にあるロケ場所に立ち寄った。さっきまで何度もスクリーンに映ってた場所に自分が居るなんて、なんか笑っちゃった。しかも2人が持ってたWAVEの手提げ(記念品でもらった)持ってるし。主人公と同時に昔を思い出す為の映画。なんだかなぁ〜。
ボクたちはみんな大人になりたくなかった
休みの日に朝早く起きてNetflixで映画。
ああ、幸せ。ああ、生きてる。
もうこれだけで祝日の甲斐がありますね。
という訳で、現在劇場でも公開している本作をNetflixで鑑賞することに。本当は劇場に足を運びたいんですけど、時間が合わないのでパスで。
これまたいい映画ですねぇ...。
渋くて静かで優しく苦しい大人な恋愛映画。花束みたいな恋をしたみたいに、誰かと一緒に見て語りたくなるようなそんな深い映画でした。
1999年、彼女のかおり(伊藤沙莉)は今度CD持ってくるからねという言葉を最後にその場を去り、ボクたちは終わった。2020年、順風満帆に仕事をこなすようになったボク(森山未來)はそんなあの頃を思い出す。
別に捻りもなんにもないですこの映画。
ただひたすらに、主人公に起きることを遡りもう一度現在へと戻るだけの映画。それなのに、何故か面白くてグッと胸に来るものがあって、まるでカセットテープで音楽を流してるかのようなそんなちょっと苦い雰囲気に包み込まれる。映像の美しさだとか音楽の渋さだとか、そういう要素が上手いことハマって素晴らしい作品になっている。
25年間の月日を経て主人公とその周りの人々はどうなったのか。普通な暮らし?まともな生き方?群青劇として非常に見応えがあって、2時間があっという間だった。意外と人って脆いんだな、人って情けないんだなって、単純に希望の光みたいな表現をするよりも勇気が貰えて、この映画見ると人肌が恋しくなるし明日もとりあえず生きようって思える。人生振り返ったら、こんな道通ってきたんだ、自分。ってなるんじゃないかな。
森山未來に圧倒される2時間。
20歳の若々しくまだ世間知らずで弱っちい佐藤。
40歳の普通だけどなんとか仕事をこなす佐藤。
まさか同じ人が演じてるとは思えない。まだまだ20歳役出来ます、彼は。なんの違和感もないし、37で20代を演じているわけだから安定感は半端ない。25年間の佐藤を本当に丁寧に演じていた。東出昌大も長い期間同じ人を演じている訳だが、彼もまた立ち居振る舞いや話し方で歳の変化を感じさせていた。2人とも素晴らしい俳優です。
映画館に見るとなると少し物足りないかも。
家で見るとソファでだらーっとしながら見れるから、全然飽きずに楽しめたけど引き締まった空間だと何だかもどかしかったかもしれない。25年間を描いている割には、出来事が少なかったし丁寧に描くために省いているのかもしれないけど、物足りなさは感じざるを得なかったかな。
でも、個人的には花束みたいな恋をしたと並ぶくらい好きな作品でした。エンドロール後も観客に問いかけるようで好印象だったし、森山未來と伊藤沙莉のカップリングが独特なオーラを放っていて好きだったし、2人で見たらもっと面白いのかもと思った。暇な時にぜひ。
30代未満の人におすすめできない、チケット代の無駄
NETFLIXの作った、芸術系映画館に入った商業(お金のための)映画。
映画関連知識を持ち、30代まで後1年の自分からみても映画素人が作った技術性も何もない駄作。これでも外国で長年住んでいいか悪いかはともかく、色んな経験をしてきた人間だと自己評価しているけど。
納得いかないとこ
・物語が断片的かつ、深みがない▶︎監督の腕だな
・この物語の設定だと、最も共感する人たちは映画館に行くだろう ▶︎残念(ネットフリックス配信の方がいいかー映画館はなしだな)
いいとこ
・断片的だからこそ、心を刺さるポイントもいっぱいあるだろう。「好きな音楽」、「心が通じ合う人」、「忘れられない人」、「自分がゴミだと思ってしまうとき」、「普通になりたくないときと憧れるとき」、「仕事のこだわりと失意」....自分の人生を重ねたければ、重ねられる要素も多い。▶︎狡賢いしか思えない
↑ぐらいしか感じてなかった
悔しいけど、ビール飲んですぐ忘れそうな映画だった。
ちょっと監督のナルシズムが出過ぎてるような
原作が大好きで20年ぶり位に映画館に足を運んだのですが、もうちょっとかおりとの関係性にフォーカスを置いた方が良かった。時代を遡りつつ伏線を回収するあたりがややしつこく、最後の回想は目が回った。そして何より原作にある、かおりが長年付き合う中でSEXの時に見せる表情を伊藤沙莉で撮らないのは、何で彼女を使ったのかと。期待し過ぎていたせいもあるが、スミマセン評価低くつけました。萩原聖人が魅力的でした。
大人になってるよね
オープニングはつまんなそうだったんだよね。
酔っぱらい二人がゴミ収集所に転がり込んで、『そんなうまい具合にゴミのところに転がり込まないよ』と思ったし。そこで「あんたたちは いいわよね」と『うわー』って感じの台詞くるしで。
そこから少しずつ過去に遡っていって、主人公の歩みが紹介されんの。
遡るたびにね、『かつての方が日本は元気だったな』って思うの。カラ元気だとは思うけど。
主人公はテレビ番組のテロップを作る会社に勤めてるみたいで、大変そうなの。
観てて思ったんだけど、かつてはテレビって時代の才能が集まってたんだよね。だからムチャクチャなことやっても、時代の最先端でイケてる感じがあったし、なんとかなってたろうな。
今のテレビは違うもんね。そこでムチャクチャなことやったら「なんだこれ?」って思っちゃうね。
役者さんはSUMIREがまず良かったな。いるだけでいい。
マンションから飛び出て森山未來に抱きつくところは『そうだよねえ』と思った。
伊藤沙莉も良かった。はまり役だね。他の役者さんは考えられない。
話は全体として「こんなことが、ありました」で終わってるんだけど、ノスタルジーに浸ったってしょうがないよね。それで、どうすんだっていう。
タイトルは「大人になれなかった」だけど、実際はみんな大人になってるよね。ただ、若い頃に思っていた「つまらない大人」になったかも。
「つまらない大人になりたくない」と世俗的なことを避けていたら、つまらない大人になってしまった。つまらなくない大人になるためには、世俗的なことにぶつかっていかなきゃ駄目だったんじゃっていう話に見えたよ。
バブルがはじけた後の世界は若者から何かを奪い去った
バブルがはじけた後の始末の仕方は、弱いもの貧しいものへ負債を押し付けることであった。彼らは生きる方向を見失ったが、うすうすは気が付いていた。自分たちが80%のゴミの構成員だとしても、残りの20%の支配層、富裕層もクズなのであることを。ここに描かれた青春像は決して普遍的なものではなく、時代の制約を受けた特殊なものであると理解した。不満や怒りをごまかさず、それをぶつける場所、相手を明示したかった。
こんな人は多いと思う。
若い人はエモいって感想みたいだけど
40代の私は少し苦しくなってきたな。
切ないっていうかね。
90年代のモノが不足していた時期、
小沢健二のようなアーティスト、
各雑誌が作った世界観に魅了された
若者は、それに染まっていった。
染まるために必要以上にお金を欲しがってたね。
2000年から時代の変化がありすぎて
気持ち的に取り残されてしまった人は
多かったかもしれない。
主人公にとって、幸せは
忙しい中に暇を見つけて
面白いことをする、
ワクワクすることだけだったわけで。
それがだんだんなくなってきて、
慣れてきて。擦れてきて。
それが大人になったということなら
全然つまらないね。
お金ではもう買えない甘酸っぱさ。
気持ちだけ戻りたいんだよね。
よくわかる。切ないね。
でも、今の若者は
これが観れてよかったと思うよ。
いつか、40、50歳になるのだからね。
自己肯定感の薄れているこの時代で
普通に生きてきたのに、こんな事になってしまった。
多くの人が思っているだろう2020年以降の世の中を表しているような作品。
大人になれなかった、という言葉は世の中に適応することなく生きてきた、ともとれるし、
もっと先を進めるはずだったのに、不本意に止められてしまった現代をも表しているのかと思った。
ラスト、自分の思い出の場所を振り返っていく佐藤(森山未來)の姿は印象的だった。
今の自分を作ってきたのはやはり過去なのだ。『普通だな』とつぶやく佐藤。『普通』とは、大多数だな、とも考えられるが、プレーバックした自分自身を観て、まあよく生きてきたな、という自己肯定にも取れた。生き辛くなってしまった現在、少しでも自己肯定感を感じられるラストシーンは極めて印象的だった。早くこんな日々が終わってほしい。でないと、これ以上生きるのが辛くなるだけだ、と私は切に願う。
森山未來演じる主人公、佐藤よりは少し年齢は若いが、自分も95年から現在は、物心ついてから今日までの日々なので、必然的に自分が生きてきた25年を思い出してしまった。
きっと自分なら小沢健二じゃなくて、CharaやYEN TOWN BAND、Cocco、globeなんかが流れるだろうな。シネマライズやスワロウテイルのポスターは本当90年代のカルチャー。原宿や道玄坂の雰囲気もよく再現したと思う。
ただ、推しの女優のベッドシーンはあまり見たくなかった。たまに『これ、必要?』というラブシーンがあるので、ああいうのなくなれば良いのに、と言うのが個人的な見解。
こんな毎日だけど嫌いじゃないんだ
燃え殻さんのTwitterが好きでよくお気に入りに入れていた。人生の痛みを知る人の言葉は優しい。
優しくてちょっぴり悲しい。その悲しみの正体はなんなのか?それがこの映画の中で描きたかったことなのだろうか。
森山未來と伊藤沙莉のコンビが新鮮でよかったな。説得力があった。芯があるお芝居。
私は女性だし佐藤よりもかおりさんに共感ができた。私も「普通」を嫌い、エキセントリックに生きてみたいと思った。でも今、ありふれた「普通」の幸せを享受して生きている。
だけど、これは「大人」になったといえるのか?心がそれを拒否している気がする。
いつまでも、佐藤のように自分の中で「あの頃」を美化し纏わりつく感情があるから、どこかでまだ自分が歳をとったことを受け入れられないでいる。
いつまでも心はあの頃のままでいたい。
世代は違えどこういった感覚は普遍的なものではないか。
この映画は印象的な台詞が沢山ある。その中でもSUMIREちゃんが演じるスーの「こんな毎日だけど、嫌いじゃないんだよね」って台詞がよかった。
好きだとか幸せだとか言えないけど、嫌いじゃない。その感覚がなんだかわかるなと思ったし、その台詞を放ったスーちゃんの横顔綺麗だったなぁ。
脇を固めるキャラクターもよかった。
特に七瀬役の篠原篤さん、最高。
もっと彼を掘り下げてほしかった…と思うくらいだ。
きっとこの映画を観た気持ちもあと数日で忘れるだろう。そして普通の日常に戻る。
だから今はこの気持ちを忘れないように記したいと思う。この気持ちも過去になるから。
つまらない大人を生きる私の物語だった。
「46才。つまらない大人になってしまった」もうこれだけで胸がいっぱいになりました。なんてつまらない大人になってしまったんだ。こんなハズじゃなかったと、いつから私もこんなことを感じながら生きているんだろうか。
46才の佐藤。2020年コロナ禍。ゴーストタウンと化した東京の夜。偶然再会した懐かしい友。まるで走馬灯のように25年間を遡ってゆく物語。テレビ業界の片隅で忙殺される日々。汚れてしまった価値観。矛盾と権力と金。そして時代の移り変わりの中で出会った女性達。タイピング音に合わせて時間軸が変わってゆく構成が見事にハマっていた。
ところで森山未來という俳優は時空を操れるんだろうか。21才の佐藤は確かに21才だったし46才の佐藤は確かに46才だった。何かに一生懸命になりたかったあの頃の自分と、打算で生きる今の自分。何度だって生まれ変わると胸を張る胡散臭い実業家の横でほくそ笑んでいるのは、もしかしたら私かもしれない。
出演者も豪華。(ちょっとどこに出てたか分からなかった方もいます。)伊藤沙莉、東出昌大もよく合ってましたが、特に篠原篤が素晴らしかった。七瀬は今作のキーパーソンでしたね。ママ姿も可愛かったです。
FAX、公衆電話、文通。私も10代を過ごした90年代が懐かしかった。文通もしてたし、オザケンのコンサートも行ったな~。遠い昔の話。さてラストシーン。25年間を見直すように、あるいは払拭するかのように走る佐藤を見ていたら少し気持ちが軽くなった気がした。そして気付けば目の前に大勢の人の波。その中へ消えてゆく。明日の私のように。
(*´-`)後悔と悔恨の念、、、、つまらん大人になったのか、、、。
1999年顧客を接待漬けにする日々、、、。ノストラダムスの予言を信じ有り金全部使ったあの日。その過程でいろんな人と出会いました。接待先のオカマバーの娘たち。囚われて助けてあげたい借金漬けのクラブの女、本来一緒になる予定の娘。滅茶苦茶な別れ。
結構この映画と重なりブルーになりました。
全くお恥ずかしい人生。なぜ手を取って逃げてあげなかったのか?なぜずっとついていてあげなかったのか?私の現実は超カッコ悪いものです。
あの時こうしておけば、、、ああしておけば、、、。ワナワナする映画ですよ。
今は月に4-5本見る映画と週末バイクで出かけるのが唯一の楽しみ。つまらん大人になってしまったのか、、、、。アンゴルモアの大王は現れず。
40代 50代の人におすすめです。ワナワナしますよ。絶対に。
伊藤沙莉、、、やっぱり良き!!微妙なとこがいい!クドイが『映像研には手を出すな』での声優としても大好きです。
森山未來、、、映画がしまります!『犬王』期待!
SUMiRE、、、妖怪大戦争出演、、、、予想通り出てきましたよ!
東出昌大、、、役者としてヤッパリ上手いよ、頑張ってくれ。
46歳。つまらない大人になってしまった。
これはね、ポケベルとかバブルとか、そういう世代に向けて作られた映画。そしてさらに、「今」を悩み、「過去」を後悔している人間の心をえぐる映画。
「ふつう」がいいとか、物足りないとか、20代、30代、40代、その時その時の自分にとって違うもの。「ふつうがいい」は、つまらないのかな。そう思ったら泣けてきた。ふつうがつまらないとは思わないけど、そこを悩んでいる佐藤と、僕自身こそ、つまらない大人になったなと思った。なれないものにはなれはせず、今の自分が本当の自分。
書きたいことはごまんとある。だけど、それはすべて自分の人生の言い訳のようで、なんか悔しくて書けやしない。この映画が刺さらないひとは、言い換えれば幸せな人生を過ごしているよ。
おまけに、さんざん本編でオザケンとかでノリノリだったのに、エンディングでキリンジの「燃え殻」を流してきた。(たぶん原作者のペンネームもこれからとったのかもしれない。)ヤスの歌声が、傷口に擦り込まれる塩のようにざらざらと耳にこびり付いて涙があふれた。
そして、一番好きだった人の声で、
そちらはどんな人生でした?
と聞こえた気がした。
違うことばかりが気になってしまった
エモくて胸がキュッとなる
時代背景や流行を散らばせながら、1995年から2020年までの主人公・佐藤の人生を辿る本作。主人公とは10歳差のある私でも、東京周辺で青春の大半を過ごしたこともあり、なんとも言えない感情が胸に込み上げてくる作品でした。
主人公の佐藤が過ごした20〜30代は、特に大きな出来事もない普通の生活しかない。普通を嫌っても、至って普通の人にしかなれていなくて、何者でもない。
懐古する思い出が眩しく見えても、それもまた普通のこと。
映画としても、事件や印象的な出来事が起きるわけじゃありません。なのにエモくて胸にささる。
大人になること、普通の人生を送ること、それが出来る人と出来ない人。25年も経てば考え方が変わっていて普通だけど、変われないまま一人取り残される人もいて。
佐藤に共感する人も結構いると思いますが、私もその一人です。
タイトルなし
申し訳ないが、Netflixにて鑑賞。しかし部屋を暗くして止めず動かずで鑑賞。序盤もしかして死別話なのかと勘ぐるも、facebookの画面で相手が家庭を持って幸福そうにしている姿をみて普通じゃんと呟くところで、その時点では何故か安堵。全編を見終わったあと、その言葉を最初に発したのが伊藤沙莉であったこと、そしてその言葉に縛られていたのが森山未來であったこと、それらも含めて、今をよしとする他ないことなどを考える。
特段長い映画ではなかったのだが、時間の断面を遡っていく構成が何故か心地よく、長編を見た感覚。Netflixならではの金のかかった映像で過去の景色も再現され、また何でもない景色もとても美しく撮られていた。こうした作品も世界に配信されることの喜びを、他人事ながら感じた。
役者は萩原聖人も東出昌大もはまっていた。伊藤沙莉は近頃どんどん可愛くなってきて、この主役も違和感がない。そして森山未來はいい仕事をしている。
凄くよかった。
大人になってほしい
大人の叙情詩を覗かせてもらった感覚、世代じゃないとキツイかも
オザケンが復活した時、オジサンと揶揄されたように、あの頃だけを見てる大人って結果痛く見えてしまう。物心つく頃には21世紀だった自分にとって、ただの叙情詩にしか写らなかった。
変わりゆく東京とその変化を逆説的に辿るのは、来年公開の『ちょっと思い出しただけ』と実はイコールコンディション。比べるものではないけど、あちらの方が心情の可視化が上手くて描写も繊細。だから観ていて引き込まれる。こちらはというと、時代とその頃の彼らだけで、何を投げているのか正直見えなかった。変化がもたらした影響と関わっていく人々の生き方が淡々と連なっている、だけみたいな。分かりやすくしろ、と言っているんじゃなくて、単に分からなかったってこと。
森山未來は常に何処を見つめていたのだろうか。SNSが全盛の今ですら、ふとした繋がりもプチっと突然切れることにちょっとドキッとする。それすらない時代、意味もなく突然糸が切れることは、動脈が切れるような痛みなのだろうか。掴み所のない個性を持っている彼だが、今回ばかりはあまり見えてこなかった。伊藤沙莉も最後まで掴めない人だったし。単純にターゲット層から漏れてしまった気がする。
CM業界で名を馳せている森義仁監督のデビュー作。それをいきなり世界展開で披露するNETFLIXの挑戦ぶりに驚く。きっと配給会社なら慄いてしまうような冒険が彼らなら出来るのだろう。そこは純粋に驚く。
私たち、結婚しました
観るひとの人生の色によって、本作品の評価は著しく変わるだろう。年齢、生きてきた場所、音楽は好きか、好きならばどんな音楽を聴くか、どんな恋愛をしてきたか、どんな失恋をしてきたか。
そして今、幸せに生きているかどうか。
森山未來が演じる佐藤は、2020年で46歳。私よりひとつ先輩だ。伊藤沙莉が演じるかおりと同じく、私の妻は「普通」を嫌う。渋谷や原宿で遊ぶフレームの外に、恐らく私たちは居るし、クラブのVIPに佐藤が陰気くさく酒を飲んでいる時、私たちはフロアで踊っていた。WAVEよりタワーよりHMV派だったけど、偽の星空が見えるラブホテルで彼らがイチャついている時、隣らへんのホテルで私は腰を振っていたのだ。
そして、彼らと同じ時代を生きた私たちは、CDを借りパクされることなく無事結婚。お陰様で佐藤とかおりに二十数年前の自分たちを重ねて観るという、追体験ともまた違う、何とも不思議な時間を過ごさせてもらった。貴重な経験ができたと思う。
ただコレが映画の評価となると少々難しい。観る側の人生によって180度感想も変わるだろうし、理解自体ができないシーンもあるだろう。だから人様に軽はずみにお薦めもし辛い。点数なんか付け辛い。恐らく観た人が口を揃えるのは、20〜40代を見事に演じ分ける森山未來の凄さぐらいだろう。
それにしても子どもの頃、ボクたちは「大人になりたい」なんて思っていただろうか。私は未だに大人になんてなりたくない。46歳で言うべき台詞ではないとは知っている…。
しかしコレはかおりが「普通」を嫌っていたことと同意なのだろう。普通を受け入れて大人になる人生。それをかおりが今どう思っているか知る術はない。佐藤すら分からないのだ。私たちが知る必要はない。
全111件中、41~60件目を表示