「大人の叙情詩を覗かせてもらった感覚、世代じゃないとキツイかも」ボクたちはみんな大人になれなかった たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の叙情詩を覗かせてもらった感覚、世代じゃないとキツイかも
オザケンが復活した時、オジサンと揶揄されたように、あの頃だけを見てる大人って結果痛く見えてしまう。物心つく頃には21世紀だった自分にとって、ただの叙情詩にしか写らなかった。
変わりゆく東京とその変化を逆説的に辿るのは、来年公開の『ちょっと思い出しただけ』と実はイコールコンディション。比べるものではないけど、あちらの方が心情の可視化が上手くて描写も繊細。だから観ていて引き込まれる。こちらはというと、時代とその頃の彼らだけで、何を投げているのか正直見えなかった。変化がもたらした影響と関わっていく人々の生き方が淡々と連なっている、だけみたいな。分かりやすくしろ、と言っているんじゃなくて、単に分からなかったってこと。
森山未來は常に何処を見つめていたのだろうか。SNSが全盛の今ですら、ふとした繋がりもプチっと突然切れることにちょっとドキッとする。それすらない時代、意味もなく突然糸が切れることは、動脈が切れるような痛みなのだろうか。掴み所のない個性を持っている彼だが、今回ばかりはあまり見えてこなかった。伊藤沙莉も最後まで掴めない人だったし。単純にターゲット層から漏れてしまった気がする。
CM業界で名を馳せている森義仁監督のデビュー作。それをいきなり世界展開で披露するNETFLIXの挑戦ぶりに驚く。きっと配給会社なら慄いてしまうような冒険が彼らなら出来るのだろう。そこは純粋に驚く。
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