「【肯定感】」ボクたちはみんな大人になれなかった ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【肯定感】
この作品中にかかるオザケンの「天使たちのシーン」は、僕も大好きな曲だ。
そもそも、僕は、オザケンの多くの楽曲の肯定感が好きだ。
この作品は、過去を辿り、過去を肯定してみせることによって、更に、今を肯定しているように思えるのだ。
過去を肯定しているというのは、あの頃は良かったとか、今と比較して、過去を過度に美化して懐かしむことではない。
当然、過去を振り返って、あの時、こうすれば良かったとか、後悔したりすのとも違う。
過去の楽しかったことも、辛い思い出も、彼女と過ごした貴重な時間も、身体を重ねたことも、別れも、寝る時間を惜しんで働いたことも、対立も、友情も、自分ならではのエピソードも、全て受け入れて、その事実を単に肯定しているのだ。
そして、今も昔も肯定し、更に、きっと未来も肯定しているような気がするのだ。
オザケンが「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングに出演した時のタモリさんとの(僕の理解では)割とよく知られた話しがある。
オザケンの「さよならなんて云えないよ」の中の歌詞
「左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる。僕は思う。この瞬間は続くと。いつまでも」について、
タモリさんが、”この瞬間は続く、いつまでも”と云うのは、人生の最大の肯定じゃないかと思うと話していたのだ。
そして、冒頭でも紹介した「天使たちのシーン」がかかる場面で、映像にタイピングされる歌詞の一部
「神様を信じる強さを僕に」
が、なんか、とても意味があるように思えるのだ。
きっと、神様を信じることは自分を信じることと同じだ。
そう、これこそが鍵となって、人生の肯定感につながるのではないのか。
タモリさんが人生最大の肯定だと言っていた、あの歌詞の肯定感に…。
僕は、子供の頃思い描いていたような大人になっているのだろうか。
何十年も変わらず、同じことを祈ったり、願ったりしてるような気がする。
変わらない趣味も多い。
仕事もそれなりにしている。
自分より好きな女みたいな話が映画にあったように思うが、僕には、自分自身より好きだなと思った女性が過去に3人いた。残念ながら、彼女たちとは結婚はしなかった。
だが、後悔などはなくて、今でも好きだけど、自分を形作ったものという感じでいる。
この映画では、自分に親切にしてくれたヤクザが云々という場面があるが、刑事事件なんかではないけれども、僕がリスペクトしてた人が、こんな事を!みたいなことはあった。
振り返れば、いろんな事を経験して、やり過ごしてきた。
「ボクたちはみんな大人になれなかった」のではなく、「ボクたちはみんな大人に…なった」のだ。
そう思う。
ところで、オザケンは岡崎京子さんと交流があって、映画「リバーズ・エッジ」に曲を提供した時は、なんか嬉しかった。
岡崎京子さんの作品にも肯定感を感じる。
ボクたちは一応大人にはなった気がする。
ワンコさん
こんにちは。
コメントへの返信有難うございます。
自身の過去や未来ときちんと向き合う、という事でしょうか。簡単なようで、難しいですね。若い当時、深く考えず日々生きていた気がします。