猫と塩、または砂糖

劇場公開日:

猫と塩、または砂糖

解説

第38回ぴあフィルムフェスティバルのコンペティション部門「PFFアワード2016」でグランプリを受賞した「食卓」の小松孝監督がPFFスカラシップ作品として制作した商業映画デビュー作で、ひょんなことから一緒に暮らすことになった2組の親子の奇妙な同居生活を独特のユーモアで描いたホームコメディ。社会を拒絶し、自主的に母のペットの「猫」であることを職業として生きることにした佐藤一郎は、慎ましい母・恵子やアル中で糖尿病だがプライドだけは高い父・茂と3人で暮らしている。ある日、母がかつての恋人である金城譲二と再会したことをきっかけに、一家は金城とその娘・絵美と同居することになる。佐藤家の長男・一郎を「私はいったい、何と闘っているのか」の田村健太郎、両親を宮崎美子と諏訪太朗、母の元恋人・金城を「HK 変態仮面」シリーズの池田成志、その娘・絵美を歌手の吉田凜音が演じる。

2020年製作/119分/G/日本
配給:PFF、マジックアワー
劇場公開日:2022年7月23日

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(C)2020 PFFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)/一般社団法人PFF

映画レビュー

4.5常識に挑む独創性と、意外なほど真っ当な映像センス。新しい邦画を求める映画好きなら見逃せない

2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

幸せ

端的に言うなら「新感覚のホームコメディ」ということになろうか。監督の小松孝は、早大在学時にシナリオ研究会に所属、デイトレーダーで失敗、ニート生活という変わったキャリア?を経て、PFFアワード2016でのグランプリ獲得を受け、PFFスカラシップ作品として制作した本作で40歳にして商業映画デビューとなる。

タイトルに含まれる「猫」は、監督のニート時代が反映されたであろう主人公・一郎(田村健太郎)が、買い物やゴミ出しなどの軽作業で母(宮崎美子)を手伝うほかは家でゲームなど好きなことをしてごろごろしている状態を“職業”とうそぶいて命名した言葉。一郎はたとえば、サラダに塩ではなく砂糖をかけてみる。世間の常識に挑む一郎(そして小松監督)の姿勢が題名で示されているのだが、けっして頭でっかちで偏狭な作品ではなく、ほどよいユーモア感覚と意外なほど真っ当な映像センスと軽妙な編集テンポで楽しませてくれる。

アル中でやはり家でごろごろしている父(諏訪太朗)とで、世の常識からは外れているものの一応の均衡が保たれた穏やかな暮らしを送っていた佐藤家に、母の元恋人の男(池田成志)とその娘(吉田凜音)が居候することに。5人の奇妙な同居生活はやがて、互いの関係性を、そして個々の生き方を変えることになる。

わかりやすい成長物語ではないけれど、「家族の役割ってなんだろう、親子の関係ってなんだろう?」と、多くの人が日常の中で当たり前すぎて深く考えないテーマに気づかせてくれる。理屈っぽいところもあるけれど、ポップにまとまっていて、笑いもたくさん。新しい邦画を求める映画好きなら見逃せない快作だ。小松孝監督の今後の活躍にも大いに期待する。

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高森 郁哉

3.0いや、とりあえずチョコレートください。

2023年1月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ほうほう。なんかきっと変な映画なんだろうなと思いながら見ました。登場人物は5人。呑んだくれの父。過保護の母。母の猫として生きるニートの息子。母の元恋人で再婚相手の新しい父。その連れ子で父専属のアイドルをしている陰キャの娘。

あ~なんか頭痛くなってくる設定。とにかく一人一人がかなりズレてるのに、更にみんなで一緒にひとつ屋根の下。もうそら変ですよ。ただ私は意外に落ち着いて鑑賞できました。息子の声が良かったお陰かな。

ストーリーにこれといって意味はなさそうだし、かと言ってコメディでもなく、やっぱなんか変でした。鑑賞後は甘い物が欲しくなります。

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はるたろう

4.5人の心の奥を描く作品

2022年11月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

人の心の奥底を描く作品ではないか。
客席から小さい笑い声が何度も漏れ聞こえてくる。間違いなくコメディ。繊細で絶妙な演出も含め、とても面白い。
しかし笑っているうちに、このクレージーな人間模様は、どこか遠い世界のことのようで、実は案外自分のすぐ隣の家で起きていても不思議ではない狂気にも思えてきた。変わり者のおじさんおばさんのニュースを時々見かけるじゃないか。さらに言えば、普通の人間のつもりである自分も、人生の歯車がひとつ狂うだけで、世間からズレた不思議さんになってしまうのでは。そう思えてきた。なんだか心の奥を監督に覗き込まれたような気がしてきた。

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yasu

4.0話の流れが予想出来ない凄さ。

2022年8月8日
iPhoneアプリから投稿

PFFってどうなんだろうシリーズという、自分の勝手なシリーズ第二弾。

凄く面白い。
話の流れが予想出来ませんでした。

細かい事は色々あるよ、この家の収入源はなんだ?とか、都合良すぎるよとか、猫なのか?とか、多肉植物はなんだ?とか父と娘の関係の説明しろよ、、とか、、。

でもね、若々しい魅力となんだか新しいセンスを感じるんだ。どんどん影響うけたり、逆転したり、、展開も凄いなと思った。池田成志、吉田凛音、宮崎美子が凄く良かった。
美術と映像はパッとしなかったけど最後の凛音ちゃんカットが素晴らしく綺麗だったから許す。

映画と関係無いけど映画.com最近レビューの編集機能無くなりましたか?私のような文才の無い人間には凄く不便なんで戻して欲しいです。

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masayasama

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