「下ネタも社会風刺も『恋人たちの予感』リスペクトもある鉄板ラブコメ」エマの秘密に恋したら よねさんの映画レビュー(感想・評価)
下ネタも社会風刺も『恋人たちの予感』リスペクトもある鉄板ラブコメ
オーガニック食品会社パンダ社の営業担当エマは出張先で大失敗、失意のまま飛行機に乗り込むが搭乗機が乱気流に突入、パニックになったエマは隣席の男に今まで誰にも言ったことのない自身の秘密や愚痴を洗いざらいぶち撒けてしまう。飛行機は無事到着、気を取り直して出勤したエマは上司からパンダ社のオーナーであるジャックが訪問してくることを知らされる。社員一同が緊張する中に現れたのは、エマが何もかもぶち撒けてしまった隣席の男だった・・・。
アニメーションでエマのキャラクターをさりげなく紹介する洒落たオープニングから始まる物語は結構スパイシーな下ネタ満載、かなり忖度を効かせた字幕でその辺りが薄められてますのでこれは翻訳者は苦労したんじゃないでしょうか。しかしそれはてんこ盛りではあってもあくまで添え物。付き合う前から相手が自分の秘密を何もかも知っているという絶望的にこっ恥ずかしいシチュエーションからスタートするエマの恋が直面する数々の危機を軽快なテンポで見せる楽しい物語。自ら製作総指揮も務めているアレッサンドラ・ダダーリオがとにかく最初から最後までキュート、キャメロン・ディアス引退後長く空席だったラブコメクイーンの座に相応しい名演を繰り広げています。そんなメインストーリーに隠し味として添えられているのが嫉妬、モラハラ、ジェンダー差別等のギスギスした人間関係あるある。男性陣なら軽視しがちな描写もしっかり取り上げているのが印象的。ニューヨークを舞台にしたコメディなので、エマがエレベーターで鉢合わせした彼氏に見せる顔芸に『恋人たちの予感』へのリスペクトを見ました。個人的には劇中で何度もコスられるImagine Dragonの”Demons”、この歌詞がエマの心情にシンクロしているのに感動しました。出来れば歌詞にも字幕をつけて欲しかったという一点を除けば鉄板のラブコメだと思います。