「多少の難はあるがラブコメの王道。(条件はあるが)お勧め。」エマの秘密に恋したら yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
多少の難はあるがラブコメの王道。(条件はあるが)お勧め。
今年16本目(合計83本目)。
まず、この映画、原作のタイトルは "Can You keep a Secret?" で、訳せば「秘密を守れますか?」程度の意味。これをどう訳すと日本のこのタイトルになるのかはわからず…。ただ、この映画で「秘密を守る」という部分は大きなファクターがあり(ここはネタバレ回避のため詳細省略)、まぁぶっ飛びすぎて意味不明な意訳でもないので、そこは許容範囲内でしょう。
---
※ ここでは、canとcouldでは意味が違います。canの場合は「果たしてあなたにはできますか?」という挑戦的な意味合い、couldでは「~していただけますか?」という語気緩和用法(条件法)で、微妙に意味が違います。ここでは明確に前者の用法です。
---
どうも先行して放送したところもあるようで、22日(金曜日(2日前))一斉公開ではなかったようです。よってここである程度の情報を得ていたのですが、ラブコメの王道をいっている感じは正直しました。ミステリーものという分野にはなりませんが、至るところに「秘密」が隠されており、その中には「んんん?」という部分もあるものの、エンディングにいくにしたがってきれいに収束します(多少の解釈の揺れがあっても、まったく意味不明なところはなさそう)。そのため、ミステリーものという分野ではないものの、「最初に見て序盤の「んんん?」という部分をズバリ当てられるか?」という観点で見に行くのも(まぁ、趣旨違いな気もしますが)一考かなと思います。とはいえ、多くの方が書かれている通りラブコメ映画という評価の軸が基本だろうと思います。
そういう観点で見ると、多少「うまくいきすぎじゃない?」とかというのも出てくるかと思いますが、そこは映画ですし、極端にご都合主義が過ぎるもの(映画という範疇を超えても展開が支離滅裂とか)でないので、そこはまぁラブコメもの(ギャグものというカテゴリには入りづらいが、0.5割~1割程度でそう見ることはできる)という観点からは、ひくほどべったりでも困りますが、映画の描写の範疇からはあるかなと思いました。
そういえば…。映画の中で主人公の同僚の方でアルテミスさんという方が出てきますが(フランス人の血もひいているとのこと)、実際にそのような神秘的なお名前の方は(実際に調べると)いらっしゃるみたいですね。ちょっとここはびっくりしました。
ちょっと気になった点を書いて評価に入ろうと思います。
大きな傷ではないものの、どちらもそこそこ重要な点であり、やはり書かざるを得ないかなと…。とはいえ、一応配慮はされており、大きな減点対象にしませんでした(各0.1の4.8を5.0まで切り上げています)。
----------------------------------------------------------------------------------
(減点0.1) 主人公およびその関係する登場人物の中に、特定の手足の先天異常(皮膚系にも入る?)を患っている方がいて(ネタバレ回避のため、範囲を限定していません)、それを告白するシーンが出てきます。ただ、ストーリーにはほとんど関係せず、かつ、一般には重度にはなりにくいほうですが(少なくとも手や足の一般的な使用に支障をきたすものではない模様)、それがファクターとなる部分はまるでなく、一方で整形的な観点(美容、美貌という観点)ではハンディになることも否定はできず、それを「秘密の一つ」に入れているのは、ちょっとどうかな…(もちろん、日本の重度身障に相当しうる程度のものを無意味に茶化して入れるのは大幅減点を免れない)という気はしました(ラブコメなのか、先天性疾患に対する理解の問題提起なのか混乱してしまうし、比較的メジャーな先天疾患であるため、当事者の心情にもある程度は配慮すべき。遺伝子関係なく日本でも程度の差はあれいらっしゃるようです)。
(減点0.1) 日本では映倫のコード上では制限なしのG指定ですが、よくG指定で通ったなぁ…という印象はします。PG12ギリギリの(下手するとG15?)「大人の営み」は何回も出てくるし、かといって日本語版の字幕もその部分をぼかさずバンバン書いているので、G指定だからって家族全員で見に行くと凍り付くんじゃないかな…とは思います(これに限らず映倫のコード基準がよくわからない…)。ただ、表現の自由には最大限配慮する必要はありますし、「上限ギリギリでみてもG15?」という程度で、あからさまにG18やらという状況ではないので、ここはこの程度にしました。
(減点なし) 全般に日本語字幕は丁寧なほうですが、物語序盤で embark という語が翻訳されていない部分があります(数か所)。動詞用法として「(船・飛行機などに)乗船する」「(会社などで、ある事業に)投資する」の2つの意味ですが、物語のストーリー(予告分で把握できる範囲で)上、両方の解釈、ないし「両方同時に意味を持たせた」ようにも思えます。かつ、そこそこレベルの高い語彙なので、あえて日本語版では翻訳しなかったのかなという気もします(真相は正直不明。そこそこ語彙レベルの高い単語なので「あえて訳していない」ことでヒントを伏せた、という見方もできる)。ただ、そうだとすると「うまくやったなぁ」という印象はあります。
----------------------------------------------------------------------------------