「制作の苦労が垣間見えた気がした。」映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021 XIAN666さんの映画レビュー(感想・評価)
制作の苦労が垣間見えた気がした。
約1年半のインターバルを経て、久しぶりの映画ドラえもん!
冒頭のドラえもん登場シーンでは、タケコプターで飛ぶその影を見せてから登場するという演出がとても良かった。
「ドラえもんが来てくれた!」と、きっとのび太と同じ様にホッと安心して涙が出そうでした。
内容としては概ね良い出来だったと思います。印象に残ったのは作画の良さ。
戦闘シーンがとても迫力がありましたね。
そこだけなら別の映画のよう!
あとはしずかちゃんの作画に過去一気合いが入っていたような...?
いつもより5割増で可愛いく見えました。
そしてタイトルにもした「制作の苦労が垣間見えた」部分とは、脚本と演出。
これは非常に難しい部分だったんだろうと思えます。
まず重苦しいテーマをどう扱うかという事です。
クーデターを起因とする惑星規模の国での内戦に巻き込まれる、という一見子供向け作品とは相容れそうもないテーマが軸となりストーリーが進んでいきます。
これをどこまで細かく描くのかが難しい。
大雑把過ぎると脚本の説得力がなくなってしまう。
しかし細すぎると子供向けでなくなってしまうし、尺も足りなくなる。
ちょうどいいバランスを保つのに苦労しただろうな...と感じられました。
恐らくその苦労の結果が主要キャラクター全員の深堀り。
もう全員主人公かの如くフォーカスが当てられていましたね。
戦争映画になってしまい得るようなシーンは進行に必要な部分以外はナシ。
上手く出来ていました。
しかし個人的には、映画ドラえもんとは時に子供に現実的な世界観を突きつけて成長させてくれる物だと思っています。
なのでもう少し内戦をリアルに描いても良かったかな、と思わなくもないかも...。
旧作もそうでしたが、ピリカ星に向かうまでが少し長いですよね。
早々に向かってしまうとリアルな描写を増やさざるを得なくなるのを回避するためなのかな?
非現実的な世界を大冒険する作品が好きな身としては、そういう意味でも少し物足りない部分もありましたが、やはりキャラクターの深堀りが良過ぎたのもあって満足でした!
来年は延期にならないといいな。
楽しみです。