「完成度8割」映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021 makesmile0807さんの映画レビュー(感想・評価)
完成度8割
ドラえもんの映画は幼少期の頃から何十回も繰り返し見ています。今作はその中でも特に好きな作品であり、期待していました。
(良かった点)
・現代的な映像、迫力のある戦闘シーン。
・一部を除き、声優が合っていた。
・静ちゃん、スネ夫が仲間を助けに行くシーン
で戦車を操縦不能にされる際、現代的なパル
スミサイルが使われており、時代背景が考え
られていた。
・原作に限りなく近い内容ではある。
(悪かった点)
・自由同盟パイロットの声優‥あれだけセリフが
あるならばプロを起用すべきだった。違和感
しかなかった。
・姉を登場させた意味が無い。
・パピの姉は大統領の親類なのに自由同盟の
大臣が姉を呼び捨てしているのに違和感。
・挿入化が微妙。
・チーターローションを使用したシーンがカッ
トされている。
・戦車が変形する意味があまり無い。
・捕まる際にのび太が離れ離れになる意味が
無い(ラストのパピの落下シーンだけのた
め?)
(総評)
偶然にも今の時代背景(ロシア、ウクライナ)に合致した内容。
原作を上手く活かし、オリジナル要素が入っているから原作ファンも概ね満足するだろう。
アストロタンク、パルスミサイルなど現代的な変更部分が盛り込まれており、戦闘シーンは見ていて面白かった。
また、スネ夫の「君ひとりで危険な目には‥」のセリフは原作では「女の子ひとり‥」であり、時代的に差別などを意識しているのかなと思う。
しかしながら、やはり詰めが甘い部分が見受けられ、原作を超える内容にはなっていない。
視聴後の涙や感動が無いのだ。
原作は視聴後に子供ながら感動して涙した記憶があるが、今の子供達にこの作品を見ても感動の気持ちは湧かないだろう。
激しい戦いのシーンや、ギャグ要素で楽しむ子供はいると思うが、大人になって思い出す作品ではない。
恐らく映画の尺的な原因もあるのだろう、所々駆け足になっている感じが否めない。
新キャラの姉は活かされていない上、ラストで一瞬だけ両親の写真が登場。それまで両親に触れてすらいないのに‥感動を誘おうとする無理矢理感が感じられる。
原作ならば重要なシーンの静ちゃんとスネ夫の倉庫でのやり取りもサッパリしている。
静ちゃんの「そりゃあわたしだってこわいわよ。でも‥このまま独裁者に負けちゃうなんてあんまりみじめじゃない!」というセリフは原作映画ならば涙を堪えたような感情のこもった名セリフだが、本作は本当にサッパリしていた。
他の方も書かれているが武田鉄矢さんの「少年期」を聴きたかった。恐らく「少年期」を挿入するだけでも雰囲気は変わり、一緒に観に来ている親世代も「あぁ、懐かしい‥」と感動するだろう。あのシーンは自由同盟のメンバーがギターを弾きなながら何とも言えない哀愁を漂わし、寂しげな表情が戦争の悲惨さを表現していた。リメイクにあえて起用するというアイデアは無かったのか?
原作ならばパピが中盤で捕まるため、本作の方がセリフ、登場シーンが多い。その為なのかパピが物語の中心になっている気がしてしまう。
のび太達が影が薄い‥。
実に惜しい、勿体無い作品。原作ファンからは満点は得られない作品となってしまった。
ただ、リメイクの精度は高く、再鑑賞もしたい気持ちになる良作ではあると思う。
次回は「海底鬼岩城」あたりをリメイクしてもらいたい。次こそは原作を超える作品を‥。