「【女性の生きづらさ】」Swallow スワロウ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【女性の生きづらさ】
異食症をモチーフにしながら、欧米でも未だに生きづらさを抱え、自分が何者かを求めてしまう女性や、それを取り巻く家庭や社会をテーマにしているのだと思う。
日本でも女性の地位向上が叫ばれながら、なかなか変化出来ないところは似たようなものではないのかと思う。
(以下、ネタバレ含みます)
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仮にレイプ犯の子供でも堕胎を許さないキリスト教の因習、
女性にとっては、子供を作る事が最も重要な使命のようになっている家族、
現代的な夫婦の関係を上部だけで取り繕い、実は封建的で、会話などない夫、
マニュアル通りに物事を進めようとする夫の両親。
唯一、寄り添ってくれるのは、シリア難民のルアイだが、シリアでは弾丸から逃れるので精一杯で、他に余計なことは考えられなかったという彼の言葉は重い。
ハンターは、自分の出自故に、実の母親は打ち解けてくれない。
キリスト教の教えに従って堕胎はしなくても、所詮、扱いはレイプ犯の子供なのだ。
この矛盾は、この社会の矛盾として象徴的に使われているのだ。
そして、レイプ犯であるにも関わらず、ハンターの父を求める姿も切ない。
そして、赦し。
エンディングの多目的トイレの赤い血はなんだろうか。
異食症故のものだろうか、それとも身籠った子供がどうにかなったのだろうか。
愛する人の子供でないことは、レイプ犯の子どもと同じだと示唆しているのだろうか。
一部のあらすじ紹介に、スリラーという表現があったが、これはスリラーではないと思う。
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