「ちゃんと理解していけば大丈夫。この類型の映画の研究はこれから、かな?」ズーム 見えない参加者 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
ちゃんと理解していけば大丈夫。この類型の映画の研究はこれから、かな?
今年10本目(合計77本目)。
そこそこ人気が出そうなのに、大阪市ではなぜかやっている映画館が2つだけ。
※ 個人的には「パリの調香師~」が気になるところです。
こちらの映画は68分と短いのか、そのために1000円均一になっています(どんな割引も使えない)。
映画のタイトル通り、去年(2020年)のコロナ問題から勃発したテレワークなどで着目を浴びるようになった、Zoomやスカイプ、teamsなどの「遠隔チャットソフト」を題材とした映画です。明確に「コロナ」といった語は出ませんが、テーマがそれにあるのは明らかで(「ロックダウン」という語は出てくる。日本では憲法の関係で行うのは難しい)、そこそこの短期間で作った映画なのかな、とは思います。
そのため、確かに理解に難しい点があるとか、68分は(オール1000円という点を考えても)短いとか色々あるかと思います。そこは難しいところですね。
ただ、コロナ問題もいったいいつまで続くのかわからず(もちろん、コロナ問題が終わっても、また別の病気が流行れば同じになる。一昔前のSARSなど)、その観点では今後「ズームなど遠隔チャットソフト」を題材としたアクション、推理物、恋愛もの…といった類型が作られていくのかもしれません。今回はホラーもので、確かに「ズームを使用する」という性質からその描写に限界がある点は否定できないものの、逆にズームなど遠隔チャットソフトだからこそできることも当然あるので(例えばファイルの共有など)、特に「推理物」などとは(研究が進めば)相性はあり、今後のコロナ問題(まぁ、さっさと収まってほしいですが…)にもよりますが、そういう類型の映画がつくられていく、その「先駆け」となりえる映画かと思います。そのため、多少は難があることは承知した上で行くのであれば、「そこまで」ひどくはないかな、という印象です(B級映画というほどひどくなく、どう言ってもA-映画程度の評価どまりです)。
このような、時代に対応した映画ができていくそのきっかけ(多分、これよりも前にもあるんでしょうね)となった映画で、しかもその短さから「1000でさくっと1時間(68分)で見て帰る」というのなら、それはそれでありかな、と思っています。
減点要素は、上記のこと(そのような事情のため、68分と短い代わりに1000円であること、おそらく低予算であろうと推知できること)を理解した上で、下記の0.3減点で4.5まで切り下げています。
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(減点0.2) 途中から「神・精霊との会話・交流・コミュニケーション」といったややオカルト的な話題が出てきます(それに対応して使われる英単語も字幕もマニアックになってきます)。ただ、日本ではそういう文化がほとんどないので(せいぜい、「キツネの文化」ないし「こっくりさん」くらいのお話)、その理解がないと、途中から「この人たちは本気でやってるのかネタなのか」が不明であり(なお、海外ではこういう文化は普通にあるようです。信じるかどうかは別にして)、そこは字幕にもう少し表現の工夫があってよかったと思える点でしょう。
(減点0.1) Zoomがテーマの映画ですが、Zoomソフトの画面の一部(や、エラー画面、通知画面など)が翻訳されておらず、個人で翻訳しないとわからない点がありました(英検準1くらいあればいけます)。実はちゃんと読むと本質論でないので翻訳しなかったのだろうと思いますが、それなら全部しない、やるなら全部やるで統一しないと(途中からは全部翻訳されている)混乱してしまう点です。ただこれも、「翻訳する側も特急でつくって納品したのかな」という推測は可能なので(このご時世「だからこそ」この時期に公開したかった、と考えることもできる)、そこは減点対象からは0.1程度としています)。
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